第4話 時間を殺した私の行為
「今回は、私の学校で行います。」
そう言われ、私は現在の状況を振り返る。
今日、キプトの学校では文化祭が行われるらしい。
そして、今回の敵はそこに来るという。
「私は…何をすれば…?」
恋人役。そうキプトは言う。役だけ強く言ったことには、触れない方がいいだろう。
「では、一度帰ってください。午後イチでここに来てくれればオッケーですので。」
一度、家に帰ることになった。
「私の命、託しましたよ」
その一言が頭から離れない。
私がうまく立ち回らなければ、キプトは間違いなく死刑になる。
それだけは絶対に避ける必要がある。
初めて会った時は、絶対に従ってはいけないと思っていたのに、
「私、キプトが好きになっちゃったもんな…」
私の顔は、微かに赤く染まっていた。
「おおー、良いですね!」
「お客様、どうです?」
「最高です。ここにします!」
私は、財布を冷やしていた。
「まいどありー」
キョロキョロ…よし。
ギギギと、軋む音を聞きながら私はキプトの家の扉を開けた。
そして、それらを段ボールに詰めた。
私は、強盗をしていた。
そうこうして過ごした午前中。
私が財布を冷やしたのも、強盗をしたのも、無駄になるかもしれない時間だ。
キプトは言っていた。
「私が捕まっても、あなたは関係ない。ただの被害者だ。もしあなたが見つかった時は、私が脅していたと素直に伝える」
それでも、無駄になるのだ。
私は、絶対にキプトの罪を背負う。
でも、背負えなかったとしても、無駄になるのだ。
そんなことを思いながら私は、所有者の変わった家に背中を向ける。
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