短文① 幻想臨界廃城アリスムーン その2
お茶会のティターンによると、最近、廃城の周りの石たちがおかしいらしい。
元気のないように、ピコピコと音を鳴らして光っているそうだ。
時々、フォーと大きな音を鳴らしては、風と熱を出している。
もしかして、夏風邪をひいたのだろか?
僕たちはお茶会後、氷の精霊力の強い場所である、凍れる泉の妖精に頼んで氷をもっていくことにした。
機械石たちへのお見舞いの、熱さましの氷は気に入ってくれるだろうか。
ついでだから、錬金術の魔法店でケーキを持っていくことにした。
機械石は食べないけれど、傍にいる友達の機械妖精が持って行ってくれることがある。
あいつらはシャイだから、食べるところを見たことがないが、僕たちと一緒だろう。
僕は出立のことをW字型の機械妖精に書いて、飛んで行ってもらった。
そして、ティターンとドライアドと一緒に後をついてくように、機械石のところに遊びに行った。
僕のお出かけ用の台形型機械妖精は足にフィットして跨げるからとても楽しい。
機械石たちは整列するように、縦に並ぶのが好きらしい。
一度もその整列を乱したことがないので、僕は器用なやつだなと思っている。
僕たちは熱で苦しむ機械石の頭に、氷を入れた袋をそれぞれのせてやった。
最近は暑くて、彼らの熱気を帯びた体にはきついのかもしれない。
機械妖精や石たちは、僕たちより体温が高いみたいだしな。
ティターンが石の日よけを作ってくれたり、ドライアドが植物を生やして彼らの周りを草木で覆ってくれた。
しばらくすると、彼らは楽そうな寝息を立てていた。
僕たちは、彼らに感謝の言葉を告げ、大事にするように言うと。
お菓子を置いて、そっとその場を去った。
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