第39話 フラッグ・スタンズ!
「よ〜し、じゃあ手早くやっていこうか」
浅田さんは到着するとすぐに、マユさんと打ち合わせを始めた。
しかし流石は、カメラマンチーム。
二人が打ち合わせをしている間にも、必要な機材を取り出し組み立て作業を行なっている。
そんな中、真希さんが重そうなアルミのケースを両手で持ちながら、近寄ってくる。
「浅田さんとマユさんが外で撮影している間に、モッチーと私は中で準備だね!」
「はい、そうですね。物撮りを先に終わらせたいみたいです」
「あぁ〜機材、邪魔なるもんね。開店までにセットをバラす感じで?」
「です。急な予約が入っちゃったみたいです」
うんうん、と真希さんが頷く。
入社して二年とは思えないほど、頼り甲斐がある人だ。
というか、貫禄?
「真希さん。カクテルの撮影、バック紙とか使うんですか?」
「使う使う。あとで、切り抜きするし。カクテルの色を出すにはちゃんとした照明が必要で、グラスの向こうが透けてもいいように白バックも使わないと……トレペもいるかな〜」
カウンターを眺めながら、考える素振りを見せる真希さん。
やがてラップのような物を取り出し、カウンターテーブルの上に敷き始めた。
「傷防止ですか?」
「そだよー。撮影で傷つけたら弁償とかなっちゃうし、商品とかだと買取とかなっちゃう。機材ってぶつけやすいから、けっこう怖いんだよ!」
そう言われると、いきなり緊張感が高まる。
「私、めっちゃ高いグラス割ったことあるし!」
それはそれで、別の意味で緊張してきた。
「真希さん、それ盛大なフラグ……」
「やめてよー、そういうのー。もれなく回収しちゃうー」
「それはほんとに、やめてください」
私たちのせいでマユさんが頭をさげる、そんな最悪の未来予想図が浮かんでしまった。
マユさんにそんな迷惑だけは、かけたくないのだ。
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