―15― ユメカ、トラップを踏む!
「よーしっ、気分がいいし、ユメカにやってほしいことを募集するぞー! コメントどしどし書き込んでくれー!!」
バグベアを倒したわたしはすっかり気分がいいのでリクエストを募集する。
【フロアボスを倒して】
【フロアボス!!】
【水着になって】
【もっと強いモンスターを倒して】
「ふむふむ、わたしにフロアボスを倒してほしいのかー!」
あと、水着になってほしいっていうコメントがチラホラある。ユメカの水着姿を披露したら、エッチくて大変なことになっちゃうけど、いいのかー?
「ちなみに、フロアボスってなーにー? 有識者のひとーおしえてー」
【ここのフロアボスはフェニックスだよ】
「フェ、フェニックスッッ!!」
ビクンビクン! 興奮しすぎて、思わず痙攣しちゃったね。
え? だって、あのフェニックスだよ。
「フェニックスで作ったポーションはねー、五大ポーションの一つと言われて、味がちょーう格別なんだよ――! 特に、〈フェニックス・ボヌドー〉と呼ばれるポーションは憧れだなぁ。あれって、簡単には作れなくて、水はただの水じゃダメで聖水じゃないといけないし、フェニックスの素材の採取の難しくてね、フェニックスの血がポーションの素材に必要なんだけど、ちょっとでも純度が下がると、味が劣化してしまうから、めちゃくちゃ大変! あぁ、飲んでみたいなぁ、ユメカも飲んだことないんだけどー、人生で一度は飲みたいなぁ」」
【突然の早口に草】
【興奮しすぎwwwwww】
「よっしゃあー、ユメカフェニックスちゃん狩りにいくー!!」
そうと決まれば、即行動! うぉおおおおおおフェニックスちゃん、どこー?
ひたすらダンジョン内を走り回る!
あれれー、ぜんぜん見つからないんだけど!
「そもそもフェニックスがどこにいるのかユメカ知らないやー」
【うーん、この鳥頭】
【落ち着けwwwww】
【知らないで走ってたんか……】
「ねぇー、フェニックスちゃんどこー? 早くフェニックスちゃん狩りたい、早くフェニックスちゃん狩りたいのー、ねぇ教えて教えて教えてーっ!!」
教えてくれないとやーやーなの! リスナーが教えてくれるまで地面に転がってバタバタするのやめないんだ!
【だから、落ち着けwww】
【今調べてるからちょっと待って】
【ポーション飲むと幼児退行する女】
それから、調べてくれたリスナーの指示に従ってダンジョンに進む。
【ここの通路をまっすぐいけばフロアボスにつく。けど、途中トラップがあってひっかかると大変だから気をつけて】
「うるせぇええええ! トラップなんて知るかー!!」
そんなことよりわたしはフェニックスと戦いたいんじゃー!
カチリ、とスイッチをしたような音がする。
どうやら通路に隠されていたトラップが作動するスイッチをしてしまったようだ。
【は? なにしてるの?】
【ちょ、これはまずいって】
【気をつけろって言ったやろ!】
わたしのミスを指摘するコメントが大量に流れる。
「てへっ、ユメカやっちゃった」
とりあえずあざとくしておけば、視聴者のみんな許してくれるよね!
【かわいい】
【かわいい】
【かわいい】
【かわいい】
「リスナーのみんな愛してるぅうううううう!!」
予想通りの反応をしてくれたリスナーたちに感謝を述べる。
なお、トラップにひっかかったため、わたしは落とし穴に落ちていた。
「ここ、どこー? フェニックスちゃんはー?」
【モンスターハウスに落ちたんやで】
【モンスターハウスに落ちたら普通は死ぬぞ】
【他のリスナーがモンスターハウスに落ちたら絶望するんだが、ユメカはなぜか安心できるwwwwww】
【フェニックスちゃんはいませんwwww】
モンスターハウスなにそれ……?
気がつくと、たんさんのモンスターが周りにたくさんいる。
けど、フェニックスちゃんはどこにもいない。
「フェニックスちゃん以外に用はないの……ッッ!!」
ボカ、ボカ、ドカン!
次々とわたしはあらわれるモンスターを拳で粉砕していく!!
【レベル400超えのモンスターがあっさり溶けていく……】
【どこまでもむちゃくちゃな女だな】
【ひえっ、モンスターってこんな簡単に倒れるんだっけ?】
【彼女は特殊な訓練を受けています】
【これ見たら、モンスターが弱いって勘違いする人続出しそう】
「よっしゃぁああああ! 全部倒したー! 待っていてねー! フェニックスちゃん!」
モンスターハウスに出現するモンスターを倒したわたしはそう宣言する。
【フェニックスちゃん逃げて……】
【フェニックスちゃんかわいそう】
【次の犠牲者はフェニックスか】
「だから、リスナーのみんな、わたしよりフェニックスのほうに同情的なの!!」
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