【年末年始は不定期投稿になります】俺たち青春活動部！

回想① 私の中学時代 （※碧視点）

　私は、常盤碧。男子から密かに人気があるみたい。ちょくちょく告白もされる。

　それでいて野球部のマネージャーとして、日々野球部の為に色々と頑張っている。　

　私は、不器用だけど……高校生になる時、野球部のマネージャーになるって決めたから！

　今度は、“こっち側”で頑張るって――

　そもそもモテたって、意味がないんだよね。私が好きな人は、ただ一人だからさ。あいつは鈍感だし、私の事なんか意識してないんだろうけど！　

　そう考えると、ちょっとムカつくよね。私がいるのにさ。

　私とユウ、そして昇とは中学時代の野球部で出会った。私たちの中学の野球部はかなり強豪で、部員も多かったし練習も厳しかった。

　昇は投手、私は二塁手、ユウは遊撃手だった。ユウも私も昇も、中学時代は野球に打ち込んでいた。今となっては、昇だけになっちゃったけど……

　実際、私も野球は好きで上手い方だった。でも、ユウと昇は別次元だった。簡単に速い球は投げるわ、ホームランは簡単に打つわで、これが天才なんだと思った。

　これがプロに行く人なのかな、と思ったぐらいだった。実際、昇はいくつか誘いも来てたみたいだし、ユウに対してもいくつか誘いはあったみたいだ。事件を起こす前まで、はね。

　私、ユウ、昇の三人は、一年生の中で期待されてすぐに試合で使われるようになった。私は、あの二人とは違うし……と思いながらも期待されるのは嬉しかったので、とにかく頑張った。ユウと昇には負けないように。

　ただ私は女子だったこともあってか、馬鹿にされることも多くなった。先輩からは、

「何でお前まで、試合に出てるんだ？」

　とか

「女子は、お呼びじゃないんだよな。あいつら二人の実力には程遠いし、可愛いからってお気に入り起用か？」

とか。さらには同級生からは、

「女子だからって、調子に乗るんじゃねぇぞ」

　みたいな事を言われたり……きっと、女子に負けている悔しさからだろうけど、色々と酷いこと言われたな。本当に辛かった。

　そんな中、私たち三人がレギュラーになった。本当に嬉しかった。女子だからって、馬鹿にしている奴らを見返そうと思った。

　そしてユウや昇と、初めてスタメンで試合に出た時のことだった。相手もかなり強豪で、少し私は緊張していた。

　ユウと昇は、チームの中心で常に明るく振る舞っていた。全国制覇目指して頑張ろうとか、こんな相手にビビるなとか、最後まで諦めず戦おうとか。人間性も含めて、二人は本当に凄いなと思った。

　私は、緊張してベンチ裏で心を落ち着かせていると、他のチームメイトたちがやってきた。

「何でお前がスタメンなんだよ。負けたら殴ってボコボコにするからな」

「また監督のお気に入り起用か。エッチな事でもしてるんじゃねぇ？」

　私は、ただ我慢した。ここで、殴りかかったりして問題を起こせば迷惑がかかる。特に、中心となる二人には迷惑をかけられない。

　その時に、あいつは来た。ただ、私を助けに……

「おっ、何してんの？　緊張してたり？　楽しんでこーぜ」

「ゆ、雄哉……何でもないよ」

　チームメイトたちは、そそくさとベンチに戻っていった。ユウは、

「全く、酷いこと言うよな。そもそも、お前の実力も分からないなら野球をやめた方が良いまである」

　と言ってくれた。私を助けてくれるんだ、と思った。

「あ、ありがとう」

　でも最初はただ、チームのために助けてくれたのかと思った。けど、違った。ユウは、ちゃんと私も見てくれていた。

　試合が始まって、私はいきなり何でもないゴロをエラーした。きっと、プレッシャーに押しつぶされそうになっている。他のチームメイトの目や初のスタメンで……

「気にすんな！　お前の持ち味は守備だろ！　グラブさばきは、お前が一番だ！　監督も分かってるからお前を起用してるんだ！」

　遊撃手のユウは、私にそう力強く言ってくれた。

　そこで私は、楽になった。見てくれてる人がいたんだって。

　次の打者の打球も、私の方に飛んできた。でも、もう大丈夫。

　私は、速い打球を練習通りに捕球し、二塁に投げる。

「それだよ！」

　そう言いながらユウが捕って、一塁に投げた。一塁もアウトで、併殺打となった。

「やればできるじゃん。その調子だよ」

　私は何だか照れて、何も言えなかった。もしかすると、この時からユウに惚れていたのかもしれない。けど、同時に問題が悪化した原因でもあった――