第一部 廃れた共産主義とは

共産主義の概念

共産主義とは

 本題に入る前に、共産主義(communism)、社会主義(socialism)。この2つは違いが無いとは言えませんが、定義がややこしいので、ここでは同じ意味として考えます。

 まずは、名前そのものに注目していきましょう。共産主義の「共」と「産」。まず「共」とは、"いっしょ"という意味があります。そして、「産」とは"生み出す"という意味を持ちます。また、「communism」とは「common」が由来となっており、"共有の"などの意味を持ちます。この様に"共同"という意味を強く持ちここに生み出すという意味が加わります。つまり、「共同体」が社会を構築する・生み出すというのが、「共産主義」ということですね。

 共産主義の中には、色々な思想があります。「マルクス主義」、「レーニン主義」、「マルクス・レーニン主義」などが有名ですね。これらの説明をすると、もうこれだけで内容の大半が埋め尽くされてしまうので、ここでは「マルクス主義」はマルクスの思想、「レーニン主義」はレーニンの思想、「マルクス・レーニン主義」はスターリンの思想と定義します。


 本来の共産主義とは、「共同体」が社会を構築するということです。この「共同体」というのは単に人々をランダムに抽出しグループ化したものなのですが、理想の「共同体」があり、それは家族や近隣住民の様な親しい関係で結ばれており、困ったことがあれば互いに助け合うというものです。

例えば、野菜が余ればおすそ分けをしたり、近隣を掃除したりなどです。

 この理想を追いかけるために重要となるのは、「優しさ」です。人に親しみを持って接することが必要となります。


 共産主義とは弱者救済のシステムであり、格差を作らずみんなで一緒に社会を歩んでいくというものです。そのために、まず「共同体」の中から協力していき、やがて社会全体に広げていきます。


 さて、共産主義は近代からの概念ですが、思想自体は近代以前にも存在します。その中でも特に有名な思想は古代中国から存在する「儒教」です。

人間に与えられた先天的な能力を「性」し、全ての人間は「善」を追求するという考えであり、これは「惻隠そくいん」「羞悪しゅうお」「辞譲じじょう」「是非」の心を始めとして現れ、この「四端」が育つことによって「仁」「義」「礼」「智」の「四徳」が完成します。そして、これらの四徳が「共同体」を構成する人々には必要となります。


 このように、共産主義には「優しさ」が必要だと思います。ところで、「優しさ」といえば、例えば電車で他人に席を譲ったり、荷物が重たくて苦労している人を助けたりすることだと思います。では、ゲームで友人が試行錯誤しながらもう少しで倒せそうな敵をあなたが代わりに倒すのは「優しさ」なのでしょうか。

「善」を語るときに、必ず善にくっ付いてくるてものがあります。それは「偽善」です。私が考える「偽善」というものは、困っている人がたくさんいる中で1人だけを助けることではありません。「優しさ」を使って他人の自由を奪うことが偽善と思います。


 共産主義の「優しさ」というのは、全ての国民が飢えないように仕事を与えるということです。仕事には困らず、毎日を生きていくことが出来るというのはとても素晴らしいことです。しかし、人々は自分のやりたい事を仕事にしたり、お金を稼ぎたいなど、仕事を自由にしたいはずです。しかし、私有財産を認めず共有財産を強要する共産主義の「優しさ」は仕事やお金の自由を奪ってしまっていると考えました。

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