第19話 秀才ポンコツお姉さんと勉強する「大丈夫だよ! 今はできなくても全然いいから。これから優斗くんを、あたしが鍛えまくってあげる」

「ふっふっふ。そろそろお勉強しよっか!」

「本当に教えられるんですか? 愛理さん」


 夕食を食べて、お風呂に入った後、


 リビングで愛理さんに勉強を教えてもらうことに。


 お風呂上がりのいい匂いがして……


「失礼ね。ちゃんと教えられますよーっ!」

「いや、ちょっと信じられなくて……」


 朝はいつも幼児化するし、


 お酒飲むと、セクハラオヤジ(?)になるし。


「一応、クイックアリスなんだからねっ!」

「そうでしたね……」

「むむむ。その微妙な反応は何かなー?」

「何でもないです」


 今も偽物なんじゃないかと思う時あるけど、


 愛理さんは、本物のクイックアリスだ。


 チャンネル登録者100万人の人気配信者で、


 TVのクイズ番組にも出る、美少女東大生で——


「じゃあ、現状の把握から始めようか!」

「えーと、何から話せば……」

「最後の模試だと、成績はどれくらいだったの?」


 急に先生みたいになる愛理さん。


 雰囲気がさっきと少し違う。


「C判定……合格可能性50%でした」


 亜美や佐藤は、模試でD判定。


 俺はC判定だったのに、なぜか自分だけ落ちた。


「なるほどね。苦手な科目は何?」

「英語です」


 どちらかと言うと、俺は文系科目が苦手だ。


「そっか。わかった。じゃあ、これから実力テストを受けてもらうねっ!」

「えっ! いきなりテスト?!」

「そうだよー! まずは今の力を見ないと、戦略を立てられないからね。優斗くんのために作ったんだ」


 愛理さんはニッコリと笑う。


 いきなりの抜き打ちテスト。


 もしかして……意外とスパルタな先生?


 それに、いつテストなんて作っていたんだ?


「大丈夫だよ! 今はできなくても全然いいから。これから優斗くんを、あたしが鍛えまくってあげる」

「わかりました……」

「ちゃんと受からせてあげる。安心してあたしに着いてきてね」


 愛理さんが、俺の頭を撫でる。


 少しくすぐったい。


「子ども扱いしないでください」

「だってかわいいだもん。仕方ないでしょ!」


 さらに、わしゃわしゃと撫でる。


「……やめてください。犬じゃないんですから」

「はいはい。……ではでは! 実力テスト始まるよ! いい点ならご褒美あげるからねー!」



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