第25話 王宮へ招待となる

 スチュワート殿下――このウィルハース王国の皇太子が工房にやってきた⁉


 ボクは慌ててひざまづくと、アリシアもボクの隣までやってきてひざまづく。


「ヒロト君、アリシア君、立ち上がってください。こちらこそ、連絡もなしにやってきた無礼をゆるしてほしい」


 殿下はそう言うのだが、今まで――召喚前も含めて――王族の人と顔を合わせたことなんてなかったので、どうすればイイのかわからない。アリシアもそんな感じだ。


 すると、勇者アレンさんがニコやかに「言うとおりにしてイイんだよ」と言ってくれた。それでボクたちは立ち上がる。アーノルドさんはニヤニヤしていた。

 いったい、どうなっているんだ?


「こうしてやってきたわけは、本日、正午から行われる娘、シャルロットのお披露目式の中で、ヒロト君、アリシア君に名人マイスターの称号を与えることが決まったからなのだよ」


「――えっ?」

 ボクとアリシアは同時に声が出てしまう。



 マイスターといえば、職人のうち、大きな功績を残した人物だけが手にする称号。それだけでない。騎士ナイトと同じく準貴族の扱いになる。つまり、待遇的には貴族と対等なのだ。


「本日、急に決まったことなので、キミたちに信じてもらえないかもと思い、私から直接伝えにきた。さっそくだが、王宮までお連れするので、ついてきてほしい」


 王宮に行くって――そんな――

「ボ、ボク、王宮に着ていけるような上等な服なんて、持ってないです」

「私もです――」


 ボクとアリシアは三人にくらべ、みすぼらしい自分の服を見て慌てる。


「服はこちらで用意する。その格好のまま、馬車に乗りたまえ」


 殿下がそう言うと、アーノルドさんがボクたちの後ろに立って、「さあさあ! 時間がないんだ!」と背中を押した。



「殿下、この盾を持っていきましょう。この盾を見せれば、彼らがマイスターであることに異議を申し立てる者は現れないでしょう」


 そう言って、アレンさんができたばかりの魔盾まじゅんを手にする。


「おお! それはイイ! きっと、会場が盛り上がるぞ!」

 アーノルドさんも乗り気だ。


 な、なんか、大変なことになってきたぞ……

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