次のターゲット

「なっ……!?」


 一条が驚いていると、神崎は狂ったように笑いながらカッターナイフを振り回してきた。


「あははははっ! 死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 神崎は血走った目で叫ぶと──勢いよくカッターナイフを一条に向けて突き出す。


(まずい……!)


 一条は咄嗟に躱そうとしたが──間に合わなかった。右腕に鋭い痛みを感じると同時に、赤い血が流れ始める。


「ぐっ……!」 


 一条は痛みで顔を歪めながらも、神崎の手首を摑むと──そのまま押し倒した。

 そして、一条は馬乗りになって神崎の腕を押さえつけると、手に持っていたカッターナイフを奪い取ったのだ。


 すると、神崎は悔しそうに一条を睨みつけた。


「離せぇぇぇぇぇぇ!!」

「断る」


 一条はカッターナイフの先端を神崎に向けると──冷酷無情な表情を浮かべながら口を開いた。


「チェックメイトだ……犯罪者予備軍」

「ひっ……!」


 神崎は恐怖で顔を歪ませると──泣き叫んだ。


「いやだ……! 死にたくない! お願いだから殺さないでくれよぉぉぉぉぉぉぉ!!」


(こいつ……完全に頭がおかしくなってやがる)


 一条は呆れ顔になったが、すぐに口を開いた。


「神崎……お前は生きる価値のないゴミクズ野郎だ。でも、だからといって、お前の命を奪うつもりはない……が、俺を自殺に見せかけて殺そうとしたのは……許せない!!」


 一条はカッターナイフの刃を神崎の首元に突き付けた。


「ひっ……!」

「なぁ、神崎……教えてくれよ。どうやって自殺に見せかけて俺を殺そうとしたんだ?」

「そ、それは……」

「早く答えろよ」


 一条が殺気を放ちながら問い詰めると──神崎は震えた声で答えた。


「お、お前の首を絞めて窒息させた後……こ、この屋上から……お、おお、落とすつもりだった……」

「なるほどな……。だが、一つ言わせてもらう。俺がお前ごときに殺されるわけないだろ?」


 一条は冷たい口調で言い放つと──カッターナイフを勢いよく振り下ろした。

 すると、刃先は神崎の首筋を掠めて地面に突き刺さったのだ。


 その瞬間──神崎は恐怖で顔を歪ませた。


「ひっ……! ゆ、ゆゆ……許して……ください……!」

「そうだな……反省しているようだし、許して──やるわけねぇだろ! ゴミクズ野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 一条はそう叫ぶと──神崎の顔面を思いっきり殴り飛ばした。神崎は悲鳴を上げながら地面に倒れ込むと、殴られた箇所を押さえながら苦痛の表情を浮かべた。


「うぐぅぅ……!」


 一条は倒れた神崎に馬乗りになると──神崎の顔面を何度も殴った。拳が顔にめり込む度に神崎は悲鳴を上げるが、一条は一切手加減することなく殴り続けた。


 しばらくして、一条は殴る手を止めると──神崎の顔は血だらけになっていた。鼻や口などから血を流しており、原型を留めていないほどにグチャグチャになっていた。だが、神崎はまだ意識があったようで──弱々しい声で懇願してきた。


「ゆ……許して……ください……」

「無理……」


 一条は冷酷に言い放つと──神崎の腹を思いきり踏みつけた。


「ぐあぁぁぁぁぁっ……!」


 神崎は絶叫を上げながら悶絶する。


「俺は……お前を……絶対に許さない!!」


 一条は怒りに震えながら叫ぶと、神崎の髪を掴んで無理矢理起き上がらせた。


 そして──頭突きを食らわせたのだ。


「ぐあぁっ……!」


 神崎が再び悲鳴を上げると、一条は膝蹴りを放った。すると、神崎は後ろに倒れそうになるが──一条が腕を引っ張って阻止する。

 

 そして、再び一条は神崎の腹部を殴り始めた。


「うぐっ! あぐっ! ぎゃっ!」


 神崎は苦痛の表情を浮かべると──涙を流しながら懇願した。


「ゆ、許して……ください……! ぼ、僕は……もう……逆らいませんから……!」

「はぁ? お前、何言ってんの?」


 一条は呆れたような表情を浮かべると、神崎の胸ぐらを掴んだ。


「お前は自分の欲望のために俺を消そうとしたんだ。そんな奴を簡単に許すわけねぇだろうが!」


 一条はそう言うと──神崎を勢いよく地面に叩きつけた。


「がはっ……!」


 神崎は苦しそうに咳き込むが──すぐに上体を起こそうとした。しかし、それより先に一条が馬乗りになり、首を絞め上げたのだ。


「ぐぅぅ……!」


 神崎は苦しそうに悶えるが、一条は手を緩めなかった。そして──もう片方の手で拳を握りしめると、原型を留めていないほどにグチャグチャになっている神崎の顔面を思いっきり殴ったのだ。


「ぐあぁぁっ!!」


 神崎は悲痛な叫び声を上げると、手足をバタバタと動かしていた。だが、一条は容赦なく殴り続ける。鼻が折れてもなお、殴ることを止めなかった。そして──神崎の顔面は血だらけになってしまったのだ。それでもなお、一条は拳を振り上げようとした瞬間──神崎の股間から液体が流れ出していることに気づいた。


(失禁したのか……)


 一条は呆れ返った表情を浮かべると、馬乗りになっていた状態から立ち上がった。


 そして──。


「次はお前だ……東雲」

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