第37話 やっぱり、ロリ女神ちゃんの所為だった……分かってましたよ。

「ふん、約束だからね、三つまでは応えてあげるわよ。」


面白くなさそうにそっぽを向くロリ女神ちゃん。


その間に、服を着替えたアスカが横に来て、小さな声で「ごめん」と謝ってくる。


……まぁ、アスカが謝る必要はないんだけどね。


「じゃぁ、まずはさっきの質問。アスカとエッチすれば、アスカを隼人のもとに帰すのか?」


「……。」


ロリ女神ちゃんが目を逸らす。……それがすべてを物語っていた。


「ちゃんと答えてもらうぞ。アスカをちゃんと戻すのか?戻さないなら、さっきの事やエッチの強要などを何故した?これが一つ目の質問だ。」


「ぶぅ……二つの質問を無理やり一つにまとめるなんて、童貞のくせに知恵をつけたわね。」


面白くなさそうな顔で俺を見るロリ女神ちゃん。


暫くして、ハァーと大きなため息をついてから口を開く。


「まぁ、約束だからね。……その胸糞デカおっぱいちゃんを、勇者君の元に戻すのは無理。エッチな事をさせようとしたのは、その姿をため……勇者君も喜ぶしね。」


「どういうこと?」


ロリ女神ちゃんの言葉に疑問符を浮かべるアスカ。


「つまり、アスカの映像を勇者のもとに持ち帰ることで、アスカを帰したことにしようとした……つまり、の姿って事じゃないか?」


俺がそう解説してやると、アスカは毛虫を見るような目で俺を睨む。


「それくらいは分かってるわよっ。そうじゃなくて、隼人が喜ぶってどういう事、って聞いてんのっ!」


……そっちね。っていうか知らんがな。


「それは二つ目の質問って事でいいかしら?」


ロリ女神ちゃんが艶然とした微笑みを向ける。


アスカが頷こうとするのを押しとどめ、代わりに応える。


「いや、さっきの答えの補足を求めている。」


「………まぁ、いいわ。サービスしてあげる。」


ハァっとため息をつくロリ女神ちゃん。そして……


「それはねっ、勇者君がNTR寝取られ属性だからよっ!」


ビシッと指をさしポーズを決めるロリ女神ちゃん。


「な、なんだってぇぇぇ!!」


一応お約束で大仰に驚いて見せる俺。


それを冷ややかな目で見るアスカ。


……いや、ね、お約束というものは……ってそんな目で見ないでください、アスカさん、ゾクゾクするじゃないですか。


「そのイケメン勇者、属性持ち過ぎじゃないか?」


俺はアスカの視線に悶えながら、ロリ女神ちゃんにそう言うと、ロリ女神ちゃんも、はぁ~と深いため息をついて落ち込んだ声で答える。


「そうなのよねぇ……。おっぱい星人で人妻熟女スキー。そして寝取られ万歳の俺様M男君なのよね。そこまで属性付けてるなら、ロリコンもつけたっていいじゃないのよっ!」


ぶつぶつと愚痴を漏らすロリ女神ちゃん。


なんでも、イケメン勇者は、大きな胸が好きなおっぱい星人というだけではなく、人妻にも目がないそうで、貴族の奥様と色々といかがわしい事をしているのだそうだ。


なに、それ羨ましい。


そして、イケメン勇者が今お世話になっている第一王子と、趣味嗜好が合うらしく、どっちが、多くの奥様を墜としたかを競い合っているらしい。


しかも、共にNTR属性だったらしく、近々、王子の婚約者をイケメン勇者が頂いちゃう代わりにアスカを王子に差し出すことが決まっていたらしく、その決行日前にアスカがいなくなって大騒ぎだったという。


まぁ、ある意味、アスカの貞操を護ったともいえるわけで、アスカは複雑な表情を浮かべて悶々としている。


その後、アスカがメイド服で俺を膝枕している映像を見て、イケメン勇者と王子は、ははぁはぁしだし、さらには、王宮内でメイド服が流行ったという。


……と言うか、勇者も勇者だけど王子も王子だよなぁ。流石類友……ってか、その国大丈夫か?


「それで、新たな燃料投下の為に、アスカが襲われている所を記録しようとしたわけか。」


成程、と俺は理解する。


あえて触れていなかったが、今回のロリ女神ちゃんの服装は、ミニスカのメイド服だ。

大きく空いた胸元が物悲しいが、これはこれでアリだと思います。


ありがたや~と一応拝んでおく俺。


その時、ツンツンと俺の袖が引っ張られる。


振り向くと、リリアが何か言いたそうな顔で俺を見ていた。


……はい、わかってます。


俺はリリアに軽く頷くと、ロリ女神ちゃんに向き直る。


「じゃぁ二つ目の質問。サキュバスたちを何故こっちの世界に跳ばした?」


そう、ダンジョンの中にサキュバスたちが現れたのは、このロリ女神ちゃんの仕業だ。


その推測は、かなり早い段階からあって、サキュバスたちとの話し合いを経て確信に変わるものの、その理由だけが分からなかった。


だから今度ロリ女神ちゃんにあったら聞こうと思っていた事だ。


「サキュバス?……あ、あぁ、アレね。勇者君がサキュバスに興味を持っちゃってさぁ。ほら、アイツらってみんな胸でかいじゃん?あんなのただの飾りだってのに、勇者君にはそれが分かんないのよ。」


……スミマセン。俺にも分かりません。


大きさに貴賤はないですが、大きいモノには特別なロマンが詰まっていると思うのも、また心理なのですよ、ハイ。


「むぅ~……童貞の妄想乙!」


俺の思考を読んだのか、ロリ女神ちゃんが腐った魚を見るような目で、俺を睨む。


だから、その目、ゾクゾクするので、もっと……じゃなくてやめてください。


「まぁ、そう言う訳で、あの世界から、知性ある女性型魔物を含めて代表的な女性型魔族をこっちのダンジョンに送ったってわけ、……嬉しいでしょ?」


「嬉しいかと問われれば嬉しいですが……ちなみに他にはどんな?」


サキュバスたちとのエッチは叶わなかったが、他の女性型魔物と聞いて胸が高鳴る。


「んーっと、魔族で言えばリリスやラミア、ヴァンパイア、マーメイドあたりかな?。魔物枠だと、アラクネとかアウラウネとか……。」


ロリ女神ちゃんが一つ一つ種族名を上げていく。


この様子だと、あっちの世界のメス個体絶滅するんじゃないか?


いや、それより……


「な、なぁ、アラクネとかラミアとかって、え、え、エッチできるのか?」


「童貞キモッ!」


ロリ女神ちゃんが迫る俺を弾き飛ばす。


「落ち着きなさいよっ!……やろうと思えばできなくはないけど……。」


口籠るロリ女神ちゃんに三つ目の質問という事で詳しい事を教えてもらう。


アスカには、くだらないことに質問枠を使うなっ!と叱られたが後悔はしていない。


因みに、魔族や魔物とのエッチは、基本的には難しいという事が判明しただけだった。


サキュバス族とエッチするのは可能だが、人間の脆弱な身体では精を吸い尽されて死亡するといった例のように、種族の壁というものが大きく立ちはだかるのだ。


例えばヴァンパイア族。


彼女たちとエッチは可能。サキュバスと違って、交わって精を吸い尽されることもない。


ただし、彼女たちはエクスタシーに達する瞬間吸血をしてくるらしい。そして、その時の彼女たちは自制が効かず、人間が相手の場合、大抵は血を失い過ぎて死に至る……らしい。


例えば、スノウレディ……日本では雪女と呼ばれる魔族。


彼女たちの場合、彼女たちから積極的にエッチを求めてくる。


しかし彼女たちと抱き合えば抱き合うほど、体温が徐々に奪われて行き、精を放った後は一気に体温が下がって息絶えるという。


そのほかの魔族や魔物についても、大抵の場合、下半身が人外の場合が多く、そもそもエッチしたくても難しい、もしくはできない。


高レベルになれば完全人化が出来るものもいて、エッチが可能になることも多いが、例えば、ラミアとかアラクネなどは、エッチの最中に相手を食べるというし、アルラウネなどの植物ベースの魔物は、エッチした相手を苗床にする為、生きて帰ることは出来ないという。


つまり、エッチがしたければ人間か亜人にしておけ、と言う事らしい。


「じゃぁ、もういいよね?」


ロリ女神ちゃんは、いろいろ語り終えるとその場を去ろうとする。


結局何しに来たのか分からないが、俺はショックでそれどころではなく、軽く手を振って見送ろうとした、その時……。


「ちょっと、待つのじゃ。」


リリアがロリ女神ちゃんを呼び止める。


「何よ。もう帰る……ん…だ……から……。」


鬱陶しそうに言いながら振り返るロリ女神ちゃんだが、リリアの姿を見て固まる……。


「うそっ……なんで魔王がここに……。」


「なんじゃ?妾がここにいたら不味いのかぇ?」


「いぁ……その……さよならっ!」


ロリ女神ちゃんは顔を青ざめさせ、あっという間に消えてしまった。


「むぅ……他に跳ばされたものの所在を聞きたかったのじゃが……。」


残念そうに呟くリリア。


「今の様子、明らかに何か隠してるよね?」


ふくれっ面のまま呟くアスカ。


「まぁ、その内、また姿を現すと思うよ。……多分。」


去り際のロリ女神ちゃんの様子は尋常じゃなかったので、また姿を見せるかどうかは怪しい、という事は言わないでおいた。


結局、イケメン勇者のアレな性癖が分かった以外、なんの状況も変わってないことに俺が気づくのは、それから数刻後の事だった。

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