第34話 ダンジョン内に街を作ろう その5
「ここだ。」
俺は、思い出しながら道をたどり、ロリサキュバスがいた場所まで戻る。
「姫さまっ!」
サキュバスたちが慌てて駆け寄る。
倒れているロリサキュバスを抱き起した、ママサキュバスは俺を引っ張りこむ。
「おいっ、お前っ!姫様に精気を分けろっ!」
「せ、精気って……ヤレってこと?俺死んじゃうんじゃぁ?」
倒れているロリサキュバスは、胸が小さいことを除けば、カズトの好みではある。
ヤレるなら、ぜひやりたいっ!
しかし、ママサキュバスの話では、サキュバスと交わると、精気を搾り取られて、人族の生命力では耐え切れず死んでしまうという。
「大丈夫だ、交わらなければいい。」
ママサキュバスがニヤァっと嗤う。
「えっとそれは……。」
「大丈夫だ、手伝ってやるからな……。」
「えっ、あっ、あぁぁぁぁ……。」
俺はサキュバスに囲まれ、あっという間に裸に剥かれ、お粗末な息子をさらけ出す。
「ふっ。」
サキュバスたちが俺を見て、ふっと嗤う。
……その笑いは何でしょうか?
「えっ、あっ、ちょ、まっ……あぁぁぁぁ~~~……。」
サキュバスたちは俺を取り囲むと、あらゆる手を使って精気を絞り出し、寝ているロリサキュバスへと注ぐ。
具体的な描写は避けるが…………くすん、もうお婿にいけない。
隅っこで俯きイジイジしてる俺をよそに、ロリサキュバスはゆっくりと目を覚ます。
「ン……」
「姫さまっ!」
「姫様が目を覚まされたっ!」
サキュバスたちが大喜びする中、ロリサキュバスは自分の身体を撫でまわし、何か考えている。
「……そういうこと……まぁよいのじゃ。」
ロリサキュバスが俺の傍まで寄ってくる。
「お主が妾を助けてくれたのじゃな……ご・主・人・様。」
そう言いながらニヤァっと嗤うロリサキュバス。
これはヤバい、怒ってらっしゃる。
「みなのもの、聞けぃっ!」
ロリサキュバスは、その場にいるサキュバスたちに声をかける。
「まずは、妾を助けてくれたことに礼を言う。」
ロリサキュバスがそういうと、サキュバスたちに喜色の笑みが浮かぶ。
「そして、妾はご主人様を得ることになった。……こちらが妾のご主人様じゃ!……お主名は何という?」
「えっ、あっ、……カズトだけど……。」
「皆の者、カズトが妾達の王じゃ!これより、カズトの言葉は私の言葉!カズトの命は私の命!心せよ!」
ロリサキュバスの言葉に、サキュバスたちが一斉に平伏する。
……えっと、なにがどうなってる?
「さぁ、ご主人様よ。妾達に何を望む?エッチなことかえ?」
「あ、いや……エッチなことは大歓迎だけど……やったら死んじゃうだろ、俺?」
「うむ……ご主人様が死ぬと妾もヤバいからのぉ……しかし、臣たちにもエナジーを分けてやらないといけないしのぅ……何かいいアイディアはないかぇ?」
「と、とりあえず、戻らないか?」
俺は周りを見回すと、いつの間にか9階層の魔獣が集まってきている。
「フム、無粋なやつらじゃ。」
ロリサキュバスが他のサキュバスたちに向かって手を振ると、サキュバスたちは周りの魔物たちを殲滅していく。
「……すげぇ。」
100体近くいた魔物があっという間に殲滅されていくのを見て、俺はサキュバスたちと敵対しなくてよかったと思うのだった。
◇
「つまりだなぁ、ここを冒険者たちの休息する場所として……。」
今、俺はロリサキュバスとママサキュバスを相手に思いついたことを話している。
10階層に戻った俺達は、まず、お互いの情報交換から始めることにした。
というより、俺が魔王ってどういうことだと問い詰めたかったのだ。
ロリサキュバスは名前をリリアと言い、正真正銘の魔王とのことだった。
話によれば、魔族のそれぞれの中で、魔王種と呼ばれる突出した力を持つものが稀に現れる。
その者たちが、その力をぶつけ合い、最後に残ったものが魔王となる……らしい。
リリアは、その戦いを勝ち残った……と言えば聞こえがいいが、実は他の魔王種たちから「魔王?なんかめんどくせぇ。お前やれよ。」といった感じで押し付けられたのだとか。
「じゃから、ちょうどよかったというわけじゃ。」
リリアが楽しそうな笑みを俺に向け、俺に魔王を押し付けた経緯をそういって語った。
その後、サキュバスたちが、なぜこのダンジョンにいるのかを問いかけると、サキュバスたちにもわからないらしい。
サキュバスたちは、元々もっと広い森林の中に隠れ里的な集落を構えていたのだが、ある日気づいたらここにいたらしい。
何が起きたかわからないまま、とりあえず、その場にいたオークキングを倒し、リリアがいないことに不安を覚えながらも、ママサキュバスが中心になって生活環境を整え、今に至る、とのことだった。
そんなサキュバスたちの当面の問題は、リリアの存在とこれから先の事だった。
リリアについては、まったくどうしようもなかった。
大体、自分たちでさえ何がどうなっているのかが分からない状況で、この場にいないリリアの状況など分かるはずもない。
それより大きな問題は、サキュバスたちの食糧問題だ。
一族総出で調べたところ、今居る場所は2k㎡の閉鎖された空間で、植物はともかく、動物は存在しなかった。
唯一の獲物であるオークキングからエナジーを絞り取り、細々と命を繋いでいく毎日。
唯一の救いは、エナジーを搾り取り過ぎてオークキングが消滅しても、2~3日後には復活していることだ。
味と量に我慢すれば、何とか生きていくことは出来ることが分かっても、このままではジリ貧だと思っていた所に、俺が現れたという事だ。
「やっぱり、人族の男の精が一番だよ。」
ママサキュバスが舌なめずりをする。
ママサキュバスの言によれば、例えるなら、オークの精の味は、三日ほど放置した腐りかけの……間違っても熟成などではなく、純然たる腐りかけの肉……臭くて不味いという。
それに比べて、人間の精は熟成されたA5等級の霜降り特上肉のような味わいなのだそうだ。
「だったら……。」
そう言って、俺が提案したのが、このフロアを冒険者向けの街として再構築することだった。
これから冒険者たちがどんどんこのダンジョンの攻略を始める(……はず)
ただでさえ、入るたびに地形が変わる高難易度のダンジョン。
10階層までくるとそれなりに疲弊していることは間違いない。
そこに休憩できる場所があれば、きっと立ち寄るに違いない。
安全に休める宿泊施設だけでなく武器や防具の修理や、消耗品の販売所、素材の買取場所などあれば、必ず立ち寄る。中にはここを拠点に活動する冒険者のチームも出てくるだろう。
売り上げの数%を税収として計上すれば、村の財源も潤う。
そして、サキュバスたちが運営する夜のお店的な物があれば、冒険者たちは必ず利用する……って言うか俺なら利用したいっ!
ママサキュバスに確認したところ、サキュバスたちは直接交わって精を吸収する以外に、淫夢を見せて吐き出させた精を回収吸収することが可能……と言うか、本来はこのやり方で精を吸収するのが普通だそうだ。
直接の吸収は、効率はいいが、コントロールが効かずに、吸収しすぎて相手を干からびさせてしまうので、コントロールできる間接吸収によって、長い期間にわたって吸収できるようにするらしい。
つまり、その方法であれば、冒険者たちは、一夜の夢でダンジョン探索によって溜まったストレスなどを癒すことが出来、サキュバスたちにとっては、労せずに食事を得ることが出来るという、まさにWinn-Winな関係が築ける。
俺がやることは、冒険者たちを多く誘致することと、10階層の街についてのルールを決めること、ダンジョンコアを使って10階層へのエネルギーを少し多めに供給することぐらいだ。
各お店については、村で希望者を募るのもいいかもしれない。
俺がそのような事を話していくうちに、ママサキュバスも乗り気になって、時間も忘れて街のレイアウトなどの詳細を詰めていった。
因みに、サキュバスたちが見せる淫夢は最高でした、とだけ言っておこう。
カズト、16歳……この度、晴れてキスを経験済になったものの未だ童貞……。
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