第25話 はぁ、ロリ女神ちゃんの被害者でしたか……ペロペロは……ダメですね、ハイ。

「クッ、これは数も制限しないとダメだよな。」


俺は群がるコボルトを一体、また一体と切り伏せながら中央へと進む。


数が多いが、幸いにも、コボルトたちは、中央へ意識を向けているので、倒すことはたやすい。


背後から追撃しているようなものなので、後方にいるレイナたちも、それほど危険に陥る事無くコボルトたちを粉砕している。


「しかし、これほどの数のコボルトを引き付けるとは……さぞかし魅力的なサキュバスなんだろうな。」


俺はコボルトの群れを切り伏せながら中央へと進んでいくと、その壁になっているコボルトの向こう側に、剣を振るう女のこの姿が見えた。


……アレがサキュバスか。


やや幼いながらも、剣を振るうたびに揺れる二つの見事な果実。


流石はサキュバスさんだ。ありがたや~、ありがたや~。


俺は、その果実に向けて拝んでおく。


しかしそのサキュバスさん、かなりお疲れの様だ。


足元もおぼつかなく、コボルトたちに組み伏せられるのも時間の問題である。


最初はその様子を見るだけでも、と思っていたが、まだ、事が始まる前であれば話は変わってくる。


あのサキュバスを使役することが出来れば、俺の言うがままにやりたい放題。


だったら、こんな犬っコロたちに穢されるのを、黙って見ている筋合いもない。


……確か、テイムは相手が弱ってるほど成功率が高いんだよな?


サキュバスは、ランクD相当の強さでしかないが、殊、対男性においては脅威度Bランクに跳ね上がる魔物だ。


男性のみのパーティでは、気を抜くとAランクのパーティでも不覚を取ると言われている。


だからまともに相対してはテイムすることは不可能に近いのだが、現在の状況であれば……。


俺はコボルトに組み伏せられそうになっている、サキュバスに向けて、テイムを試みるのだった。




「マジか。成功しちゃったよ。」


サキュバスとの間に見えない絆がつながったことが、はっきりと自覚できる。


その証拠に、俺の中から、魔力がサキュバスに向かって流れだし、瀕死だったサキュバスが力を取り戻す。


テイマーの固有能力『主従の絆』だ。


主人の体力、魔力などをテイムした魔物に分け与える能力。これにより一時的に限界以上の力を発揮させることも出来る。


魔物との絆が深まれば、逆に魔物の体力や魔力を使うことも出来るようになるし、互いの能力を使うことも可能になるという、テイマーの唯一無二の強力な能力だ。


力を取り戻したサキュバスが、囲んでいたコボルトを薙ぎ倒していく。


……あれ、俺達より強いんじゃね?


サキュバスの最大の攻撃手段は魅了であり、直接的な攻撃力は弱いと言われている……が、コボルトを一撃で切り伏せているあの姿から見れば、少なくとも、自分より強いというのは分かる。


俺は、コボルトの背後から、急所を斬りつけながらサキュバスの様子を伺っていると……。


……今、目が合ったよな?……って言うか、本当にサキュバスか?


ふと疑問がよぎるが、よく考えれば、この世界の魔物についてよく知らない事を思い出す。


……まぁ、とりあえずは、この場を凌いでからだな。


あのサキュバスは、すでに俺の支配下に置いたのだ。疑問点を聞くことだって、そのえっちぃ身体を舐めまわすように見る事だって、その先のことだって、思いのままなのだ!


わっはっはっはっは!と、突然高笑いをする俺を、コボルトたちが遠巻きに見ている……いや、キミタチ、そんなドン引きする様な目で見ないでくれるかな?



俺は少し悲しくなりながら、ドン引きしているコボルトたちを屠っていった。




「さて、本番だぜ。」


群がるコボルトたちをすべて倒したところで、俺はサキュバスの下へと歩んでいく。


後方では、まだレイナたちが戦っているが、残りも少ないので、すぐに殲滅して追いつくだろう。


それまでに、やることやっておかないと。


『そうだぜ!千載一遇のチャンスだ!相手が魔物とか関係ないぜ!やるんだ、やってしまえっ!』


俺の中の悪魔君が興奮気味に騒ぎ立てる。


『だめよっ!こんな所じゃケダモノと一緒じゃないっ!やるなら、お部屋で落ち着いて、優しくしてあげないと!』


天使ちゃんが反論するが……ヤルことを止めているわけではない。


俺は悪魔君と天使ちゃんに後押しされながら、サキュバスの前に立つ。


「あなたが、助けてくれた……ってわけじゃなさそうね。」


目の前のサキュバス?が、俺の有る一点を見て、諦観の表情を見せる。


「……何を考えてるか知らないけど、目一杯抵抗するわよ。」


そう言って剣を構えるサキュバス?


「落ち着けよ、大体お前は俺にテイムされた魔物だろ?ご主人様に剣を向けるなよ。」


「だ、誰が魔物よっ……ってなんで???」


サキュバス?が剣を降ろし、その事に慌てている。


……なんか様子がおかしいな?


違和感を感じるが、そんな事よりっ!


「とりあえず脱げっ!脱いで、そのたわわなものを見せてくれっ、そして触らせろっ!」


我ながらゲスいもの言いだと思うが仕方がない。それが目的だったのだから。


「いやよっ!なんでそんな事っ……って、イヤッ、なんで……。」


抵抗するサキュバス?だったが、その言葉とは裏腹に、手は衣類のボタンを一つずつ外していく。


ゴクリ……


もうすぐ、もうすぐだ。


ボタンが一つ外れる度に、内側からの圧力が衣類を押し出し、こぼれそうになっている。


そして最後のボタン……これが外れれば、未知なる扉が開かれ……


ガンっ!


背後から堅いものが思いっきり叩きつけられる。


「ガズトさん何やってるんですかっ!」


「カス様が、また女の子泣かせてるにゃ。」


「甲斐性なしの事をクズトと呼んでいい?」


レイナが、サキュバス?の女の子に、マントをかけて、その露わになりそうな身体を隠す。


「あわわ……大丈夫ですかっ!」


レイナたちの出現に、安心したのか、そのまま意識を失い崩れ落ちるサキュバス?の女の子。


「とりあえずおうちまで運ぶにゃ。」


「カズトさん、お願いできますか?」


「クズト様、余計な事したらメッ!」


どうやら運ぶのは俺の役目らしい。


ただ、変なところを触らないように終始監視付きだったけど。


それでも、マント越しに触れる果実の柔らかさは極上だったと言っておこう。



「……私の名前は、佐久明日香。こっち風で言うなら、アスカ・サクね。」


屋敷のベッドの上で目を覚ましたサキュバス?の女の子はそう名乗った。


彼女はサキュバスではなく、俺と同じ日本からの召喚者だったらしい。


話を聞けば、ロリ女神ちゃんが入れ込んでいるイケメン勇者の幼馴染で、一緒に召喚されたものの、勇者の貢ぐロリ女神ちゃんに苦言を呈していたら、気付けば迷宮の中に跳ばされていたという事だ。


で、何が起きたが分からず混乱していたらコボルトたちに囲まれていて、そして俺に助けられたという訳だ。


「助けてくれた事には感謝するわ。でも……。」


彼女は自分の首元に手をやる。


そこには従属の証の首輪がついている。


おれとの主従契約の証だ。


あまりにも可愛くないという事で、三人娘の手によってリボンが取り付けられているが、……そう言う問題じゃないよね?


「でも、対人間相手にテイムが出来るなんて聞いたことないのですけど。」


ミィナがそう呟く。


ミィナだけでなく、レイナたちにも、殊と次第を話してあるので、何が起きているのかは、皆が承知している。


「たぶん……ロリ女神ちゃんの仕業だろうなぁ。」


ロリ女神ちゃんは、前回の去り際にこう言い残していったのだ。


「私の邪魔する淫乱サキュバスも送るから可愛がってあげてね。」


と……。


しかし、佐久明日香……サクアスカ……サキュアスカ……サキュバス……無理があるだろ、ロリ女神ちゃん。



「はぁ……これからどうしよ。」


サキュバス……いや、アスカがため息と共にそう呟く。


「とりあえず、身の振り方が決まるまで、ここに居ればいいですよ。……いいですよね?カズトさん。」


ミィナがにっこりと笑いながらそう言ってくるので、俺は大きく頷いておく。


と言うか、頷く以外の答えを認めない迫力だった。


「いいのかな?助けてもらったうえに、そこまでお世話になっても……。」


ちらりと俺の方を見ながら呟くアスカ。


「構わないよ。部屋も余っているし好きなだけいればいい。俺も同郷の者がいるのは嬉しいからな。」


……たまにボケても、元ネタが分からないこの世界の人間相手には、むなしさを感じるんだよっ。


そう目で訴えると、理解してもらえたのか、クスリと笑うアスカ。


「じゃぁ、しばらくはお世話になろうかな。助けてもらったお礼もしたいし、何より、コレだから、逃げることも出来ないしね。」


アスカは自嘲しながら首輪に触れる。


「大丈夫ですよ。アスカさんが嫌がるようなことはさせませんから。」


ミィナがそう断言すると、レイナたちもうんうんと頷く。


しかし、俺がご主人様、という事実に変わりはないのだっ!ミィナたちが何を言おうが俺の命令は絶対……のはず。


ロリ巨乳の美少女の御主人様……これだけでご飯三杯はイケるっ!


と言う事で俺は思い切って聞いてみる。


「あのぉ……夜のエッチなご奉仕は……。」


「「「「「ダメに決まってるでしょっ(にゃ)!」」」」」


……デスヨネ~。


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