第26話 お約束なんて、大嫌いだぁぁぁぁ!
「ねぇ、……欲しいの。」
メイド服を来た黒髪、黒目の美少女が、俺に迫って来る。
幼さの残るあどけない顔立ちに相反する、ボリューミーなお山が、この上ない背徳感をもたらしている。
何故このようなことになっているのか?
……そんな事は問題じゃない。
問題なのは、現在のこの状況だ。
美少女が「欲しいの」といって迫ってくる。
つまり、アレか?そういうことなのか?
『決まってるだろ!それに女のコにここまでさせておいてヘタるんじゃねぇ!ガバっといけ、ガバっと!』
悪魔くんが勢いよく語りかけてくる。
『ちょっと落ち着きなさいよ。そんなんだから童貞って言われるのよ。よく考えなさい、今までだって、似たようなことあったでしょ。』
童貞ちゃうわっ!……違わないけど。
頭の中の天使ちゃんに、セルフツッコミを入れてから、考えてみる。
たしかに今まで、散々騙されてきたが、眼の前の美少女……アスカが俺を騙す理由もメリットも無いはずだ。
『そうだぜ。それにコイツとは、主従関係にあるんだ。なにか企んでいても「命令」して無理やりやっちゃえばいいだろ。』
……フム、たしかにそうだな。
『ダメよ、無理やりなんて。人としての道を踏み外してるわ。』
天使ちゃんが必死になって止めるが、悪魔君がカウンターを放つ。
『なに言ってるんだよ。騙そうとした時点で、悪いのはアイツだろ?反撃されても、それは自業自得ってもんだ。言うだろ?撃っていいのは撃たれる覚悟があるやつだけだって。』
……たしかにその通りだ。
俺は悪魔くんに後押しされ、おもむろに、そのボリューミーなお山に手を伸ばす。
……なんだ、この柔らかさは!?
例えるなら極上の……。
バシっ!
俺の思考は、痛烈な平手打ちによって遮断される。
「なにするのよっ!このヘンタイっ!」
アスカは胸を両腕で庇うようにしながら後ずさる。
「ヘンタイって……「欲しい」って言ってきたのはそっちじゃないか。えぇい、面倒だ。「命令」だ、ヤらせろ!」
「たしかに欲しいとはいったけど……そんな命令聞けるわけ無いでしょっ!アンタ、あの子達にもそう言って無理やりヤッたの?このロリコンっ!」
「バッ、ろ、ロリコンじゃねぇっ……多分。それに、ヤッてるんだったらこんな命令しねぇよっ!っていうか、なんで「命令」に逆らえるんだよっ!」
ゼェゼェと、息を切らせながらお互いに叫び合う。
「ハァ……取り敢えず落ち着きましょ。」
「そうだな。」
二人して息を整え、深呼吸して落ち着く。
「まずあなたの勘違いを正してあげるわ。」
「勘違い?」
「えぇ。あなたと私は現在主従関係にある。コレは
「その通りだ。だから主人である俺の命令には逆らえない筈だろ?」
「そこが間違っているの。下僕である魔物が「命令」を受け入れるのは、逆らえないぐらいの圧倒的なレベル差がある場合、受け入れてもなんの問題もないと判断した場合、そして、受け入れてもいいと思うぐらい信頼関係が築けている場合なの。だから、理不尽な命令には、ちゃんと拒否反応を示すし、そのようなことが続けば、見限って主従関係が破棄されるわ。……私の場合は破棄できない制約がかかってるみたいだけど。」
「なん……だと………。いや、しかし、初めてあったとき、ちゃんと俺の命令が……。」
「あのときの私は、それこそ戦闘不能一歩手前だったからね……圧倒的な戦力差ってわけ。」
……つまり、アレか?
これからサキュバスみたいな女性型の魔物をテイミングできたとしてもエッチし放題にはならないってことなのか?
俺は、ガックリ、とその場にうなだれる。
「あ~、そんなの落ち込まれると、罪悪感が……。」
「だって、欲しいって言った、欲しいのぉって……。」
「だからそれは……もぅ、しょうがないわね。」
アスカは困った顔をしながら、俺を抱き起こし、膝枕してくれる。
「これぐらいなら……してあげるわよ。それならいいでしょ。」
アスカが、多分、顔を真っ赤にしながら言う。
多分というのは、俺からはアスカの顔が見えないからだ。
頂きの向こうから見える、ミィナの照れたような顔もいいが、この、圧倒的な頂きに遮られ、アスカの声を聞くことしかできない、というのもいいもんだ。
ウム、コレはイイモノだ。
「あのね……。」
頂の向こうから、アスカの声が降ってくる。
「ここは、いい場所ね。……見ず知らずの私に、みんな良くしてくれるし、見てた限り、あなたも、ヘタレでどうしようもなくエッチだけど、悪い人じゃなさそうだし……。」
「イヤ、俺は悪い人だぞ。美少女はみんな力尽くで襲ってハーレムにいれるっ!」
「……って妄想をしてるだけの、ヘタレ童貞さんでしょ?」
「童貞ちゃうわっ!……違わないけど。」
……くぅ~、こんな少女にまで童貞呼ばわりっ……ありがとうございますっ!
「で、そんなヘタレな男から、童貞を奪いたかったんだろ?クソビッチ!」
クスクス笑うアスカに、仕返しのつもりでそう言ってやる。
……と、とたんに股間あたりが急速に冷え込み始める。
「ねぇ、知ってる?凍傷がひどくなると、ポロっと崩れ落ちちゃうんだって。」
……イマ、ナントオッシャイマシタカ……。
「ゴメンナサイ。可愛く優しく聡明なアスカ様。」
……うん、ここは戦略的撤退しか無いでしょう。
「でね、話が戻るけど、私が欲しいっていうのは、新しい武器のことなの。」
……デスヨネ~、えぇ分かっていましたとも。
こんな美少女が、俺になんて惚れることがないくらい、わかってたんだよっ!チクショー。
「なにも泣かなくても……。」
涙目になっている俺の頭を優しく撫でてくれるアスカ。
「武器を用意してもらうお礼に、こうして、メイド服で膝枕してあげたじゃない。好きなんでしょ、こういうの。」
……なんですとっ!!
何故アスカがメイド服を着ているのかが疑問だったが、俺のためだったのか。
うん、これだけでご飯三杯イケる。
流石はオタを幼馴染に持つ少女。ツボを心得てらっしゃる。
しかし……。
「もう一声。」
フッ、ロリ女神ちゃんからもらったこのギフトは、安くないのだよ。
「……はぁ、仕方が無いなぁ。」
アスカはため息を付きながら俺を起こして、その腕を絡め取りながら上目遣いで俺を見上げる。
そして……。
「おにいちゃんのぉ……、硬くてぇ、強いの……が欲しいのぉ…。ダメ……かなぁ?」
そんな言葉を耳元で囁かれて、落ちない男がいるだろうか?
勿論、俺は一瞬で陥落したよ。悪いかっ!
こうして、俺は、アスカのための装備を作ることになったのだった。
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