第22話 ゴブリン軍団

俺達は少し細めの道を抜けるとまるで闘技場のような部屋に出る。


「まるで戦いましょうって感じの部屋だな。」

「あ、見てくださいあそこ!」

そう言ってニーナが指指した先には武装したモンスターが新たに生まれていた。


「モンスターが生まれてる……ってことはやっぱりエヴォリュートだったね。バル、どうする?」


「もちろん討伐するよ。その為に来てるんだから。」

(出てきたのはゴブリンナイト6体、ゴブリンアーチャー3体、ゴブリンメイジ5体か。)


「来るぞ!構えろ!」

ゴブリンナイトはこちらに気づき向かって来ている。後方ではゴブリンアーチャーは弓を引き、ゴブリンメイジが杖を構えている。


(ゴブリンメイジが2体しか構えを取ってない、しかもかなり後ろの方にいる。ということは支援、もしくは回復系の魔法を使うのか。)


「後ろの奴等は俺がやる!2人はゴブリンナイトを頼む。」


「うん!」

「わかりました。《オールアップ》」

ニーナは俺達2人に光の能力上昇バフ魔法をかけてくれたのか力が湧いてくる。


ゴブリンアーチャーは力が弱いのか矢がこちらまで届いていない。ゴブリンメイジのファイヤーボールもコントロールできておらず全く当たる気がしない。


この良い機会に俺は思いつきの技を試してみる。

(この前のダンジョンで体外の魔力操作のコツは大体掴めた、その時の感覚を思い出せば………。)


「《速射》×2」

俺は魔力を少し多めに込めた矢を放った。

ゴブリンナイトの集団の1番後ろに居た奴が矢の前に立って剣で叩き落とそうと振る。


(今だ!)

俺は矢に込められた魔力をコントロールし、上方向に変える。

(そして、こう!)

ゴブリンナイトの攻撃を上に避けた矢は下向きにまた方向を変え、先程からファイヤーボールを放っているゴブリンメイジに一直線に向かっていく。

“グサグサッ!”


矢は見事にゴブリンメイジの眉間に刺さって断末魔を上げる間もなく一撃で絶命した。

「よし、成功だ!普通の矢より魔力を多めに入れてるから威力も上がっている。名付けるなら《制御射撃コントロールショット》だな!」


俺はニーナ達の方を見るとニーナは《オールアップ》に加えて《スピードアップ》をサリーにかけているらしくサリーはものすごい速さでゴブリンナイトを切りつけていたが、切りつけられた傷は少し経つと回復している。


(ニーナはサブスキルの二重詠唱を持っているのか、サポート職の聖女と相性がいいな。だが、回復役のゴブリンメイジが持っている杖の効果は魔法範囲アップの効果が付与されているのか?やっぱり回復役から倒しておくべきだったか。)


俺は先程と同じように魔力を矢に込めて構える。

(今度は矢を分裂させていくようなイメージで………。)

「《曲射》」

俺はゆっくりとイメージし矢を斜め上に放つ。矢は天井付近で上向きから、下向きに変わってゴブリンメイジの方に向かって落ちていく。


そして、俺のイメージ通り矢は枝分かれしていくように分裂していった。最終的には10本ぐらいまで増えていきゴブリンメイジの体に突き刺さる。


(複数相手なら使えるかもだけど分裂しているせいか威力が下がっている、おかげで雑魚敵にしか通用しないが。)


「これで…ラストっと。」

サリーは最後のゴブリンナイトを切り捨てた。


「おぉ、もう倒したのか。少し見ただけだがサリーは常に一対一で戦うようにしていて立ち回りが完璧だったよ。」

「一対一になればいつもの戦闘と変わらないからね思った通りに倒せたよ!」

サリーは興奮しているのか倒した今でも剣を振っている。


「ニーナも補助魔法の精度が高かったぞ、それに複数対象のオールバフを発動しながらスピードアップをサリーにかける二重詠唱はすごく良かった。」

「あ、ありがとうございます。」

ニーナは照れているのか顔を赤くして下を向いた。


「それにしてもやっぱり見慣れないなぁ、サリーが大剣を使うなんて。」

「だって派手な方がいいじゃん、ちょっと重いけど身体強化を使えば簡単に振り回せるし。それにこれは僕の誕生日にパパがくれた大切な愛剣だからね。」

「アルファーナ公爵閣下って王国騎士団長なんだよね?」

「そうだよ、僕の自慢のパパなんだ。」

「まあ、サリーはファザコ……。」

「違うからね!?」

ニーナの言葉を遮るようにサリーが顔を真っ赤にして叫んだ。

そんな会話をしていると………。


「お、なんか出てきたぞ。」

部屋の中心に光が集まっていき、現れたのは1つの宝箱だった。

「エヴォリュートの魔物を全滅させると宝箱が出るんだよね。それに、中身もレアな物が多いんだ。でも、たまに罠だったりするから慎重に開けないと。」

「レアな物か、楽しみだな。罠に関してはおそらく大丈夫だ。宝箱に魔力は感じないし、それより早く開けよう。」


宝箱を開けると、青い宝石がついたネックレスが入っていた。

「これってネックレス?」

「綺麗ですね。」

「いや、ただのネックレスじゃないとおもうぞ。魔力が込められてるし一回鑑定してみるか。」

「そうですね、一度持ち帰って後で鑑定してもらいましょう。」

「え、今鑑定すればいいじゃんスキルもってるし。」


「え………。も、持っているんですか鑑定スキル!」

「うん、この前ダンジョンに行った時たまたまね。」

「鑑定スキルは商業系か盗賊系のジョブスキルだったはずなんですが。」

「まあ薄々わかってたけどね、バルって規格外だし。」


(なんか非常識みたいに言われるんだがこのくらい常識内だよな?)

「《鑑定》」



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  ・犠牲のネックレス


  [致命傷になりうる攻撃から装備者を

   守ることができる。ただし、一度

   発動すると壊れてしまう。]


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「一度きりの身代わりか、ニーナが持っておくのがいいだろう。」

「僕もそれがいいと思うよ。僕たちは不意打ちにもなんとかできそうだけど、ニーナはサポート職の聖女だしすぐに対処するのは厳しいだろうしね。」

「こんな貴重なもの、ありがとうございます。」

そう言ってニーナはネックレスを首にかける。


「うん、思った通りだ、ニーナ凄く似合っているよ。」

「あ、ありがとうございます………。」

ニーナはまた顔を赤くした。


「さあ、宝箱の中身も取ったしそろそろ帰るか。……ってどうしたんだサリー?」

サリーはなにか言いたげな顔でこっちを見て、

「はあ〜〜〜〜これだから無自覚は。」

そう言って溜め息をつく。

(何の話?)

俺はサリーの言葉を不思議に思いながらこの部屋の入口に向かう。

(この反応………まさか!)


「ちょっと待った、……何か来る!」

目線の先には召喚魔法陣が光っている。

そして現れたのは……………。


「ミ、ミスリルゴーレム………。」

ニーナが恐怖で声を震わせながら出てきたモンスターの名を口に出した。




--------------------


突如現れたミスリルゴーレムにバル達はどう立ち向かうのか!?



ぐだぐだ書いていたら約1ヶ月も経っていました。申し訳ございませんでした。m(__)m







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