第15話 勇者?

昼御飯を食べに来た俺達は食堂のメニューの前で立ち止まっていた。


「メニューって結構多いな、………なんだ?このラーメンってのは。」

(醤油ラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメン、豚骨ラーメンか、色々種類があるみたいだな。)


「それはたしか王都で最近流行っている食べ物らしいです。私はまだ食べたことはありませんが。」

「僕は一回食べたことあるよ。なんかねスープに麺と肉と野菜と味付けされたゆで玉子が入っていて、特にスープがすごく美味しいんだよ。」


「へ~、俺ラーメンにしようかな。醤油?味噌?豚骨?何これ?」

「たしかラーメンは東の島国から伝わってて、その国のハッコウ?ていう方法で作ったらしいよ。」

「東の方に島国なんてあるのか、初めて知ったんだけど。「最近同盟を結んで交流が始まったばかりなんです。」」

ニーナが食いぎみに言い出した。


「なんでもその国の近くに魔王領の大陸があるらしく、今まではその間に『死の海域』と呼ばれる所があり、魔王軍を退けていたみたいですが、いつこの状況が変わるかわからないからお互いの文化を共有して対策を練るためらしいです。」

「東の方にも魔王領があるのか、ニーナよくそんな細かいところまで知ってるね。」

俺がそう誉めるとニーナは。


「そ、そんなこと無いですよ。これでもこの国の王女ですから。」

ニーナは少し照れたようにそう言った。

「まあ確かに王女なら知っててもおかしくないか。」

俺がそう言うとニーナは不機嫌そうな顔をした。

(なんで?俺誉めてるよね?)

「これだから鈍感は。」

やれやれとでも言うようにサリーが言った。

(鈍感?俺が?俺は常に魔力探知を使っているからむしろ敏感だと思うけど………。)


「それより早く決めないと食べる時間がなくなるよ。」

「そうだな………、俺は醤油ラーメンにしようかな。」

「おい、そこの女2人!」

「私は塩ラーメンにしてみます。」

「おい!聞いているのか!!」

「僕は豚骨にしよーっと。」

「俺を無視するんじゃねぇ!!!!」

「わざと無視してんだよ、そんぐらい察しろ。」

俺は魔力探知で事前に面倒くさそうな奴が来るのを感じ取っていた。


「お前に話しかけてねえよ!俺が用があるのはそこの女2人だ!」

(そこの女2人ってニーナとサリーのことか?ていうことはこいつ平民か?)


「僕達に何か用?」

「聞いて喜べ!!お前らを俺の妻にしてやる。」

「お前らってニーナとサリーのこと知らないってお前平民だろ。」

「俺をそんじょそこらの平民と同じにしてもらっては困る。なんたってこの国の初代国王と同じジョブの勇者だからな。」

(こんなやつが勇者?てゆうかこの学園こんなやつばっかだな、しかも全員が上位職。)


「お断りします。」

「僕も断るよ。」

「はあああ!?!?俺は勇者だぞ!今までに片手で数えるほどしかいないんだぞ。もういいからこっちに来い!!」

そう言って自称勇者はニーナの腕を強引に掴む。

(流石にこれは見逃せないな。)

そう思ったとき。


「君は俺の妹に何をしているのかな。」

「誰だお前は!」

「俺はノアール・ヴァン・ガルティナ・グルトニアこの学園の生徒会長をしている。」

「ちっ、生徒会長かよ。ここは一旦引いてやる。」

そう言って手を離して去っていった。


「大丈夫だったニーナ?」

「ありがとうございます、ノアお兄様。」

「サリーも大丈夫だった?」

「大丈夫だよティアお姉ちゃん。」

ノア兄さん達はニーナ達の心配をする。


「バル、少しは守ってやれよ。」

ノア兄さんはそう言って肩を組んできた。

「ニーナが腕を掴まれた時は流石に助けようとしましたよ。」

「もっと早くだよ。それこそ『おいお前!俺のか…』いてててて!ティア、俺の耳を引っ張るな~~~。」

「はいはい、馬鹿なことしてないで。」

(俺のか?ノア兄さんは何を言おうとしたんだ?)


「それよりも3人とも、昼まだでしょ。一緒に食べない?この馬鹿も一緒だけど。」

「おいティア!馬鹿とはなんだ馬鹿と……痛い痛い痛い、勘弁してくれー!」

「もちろん大歓迎です。」

「ティアお姉ちゃんと一緒?やったーバルももちろんいいよね?」

「いいに決まってるだろ。」

「え、みんな俺のことは無視?」

こうして昼飯を食べた俺達は午後の選択授業の場所に移動した。







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