第13話 一悶着

「結構です。」

ニーナが冷たくあしらう。


「そんなこと言わずに一人前の俺達が教えてやるよ。」

「2人は俺の連れなので。」

そう言って受付に向かおうとすると。


「クソガキは引っ込んでろぉぉぉーー!!」

スキンヘッドの男が殴り掛かってきた。


「《縮地》」

俺は縮地で男の横に移動し足を引っ掛けて転ばした。

「兄貴!テメェ!」

そう言ってスキンヘッドの男の取り巻きモヒカンが剣を抜いた。


(こいつ剣を抜いたぞ。)

俺が戦闘体制になると。


「やめておけ。」

そう言って制止したのは………。

「あ、あんたは孤高の騎士ガルダ!!」

「お前達じゃそこの少年に勝てない。」

「なっ…………。」

スキンヘッドの男達は言葉を失った。


「ガルダさん、まだいらしたんですね。」

「冒険者同士に敬語は必要ない、なんだか敬語は気持ち悪くてな、ってそういえば貴族様だったな。」

「わかった、俺のことはバルって読んでくれるか。」

「おうっ!わかったぜバル。」


「ガルダさん、どうして俺達が負けるって言い切れるんですか!」

納得いかないのかスキンヘッドの男がガルダに問う。


「どうしてってまず、さっきお前は何もわからずに転ばされていただろう。」

「そ、それはちょっと油断していただけで………。」

「そんなものが実戦で通じると思っているのか。」

「―――くっ!」

「それに先程お前はCランク冒険者だといっていたが、バルはBランクだし俺とのタイマンで勝っているからな。」

「「「はあ!?!?」」」

スキンヘッドの男とその取り巻き2人が驚きの声を上げた。


「おいおいマジかよ。」

「孤高の騎士ガルダと言えばSランクモンスターのファイヤドラゴンを単独討伐したっていう………。」

「いや、流石にハッタリだろ。」

周りの冒険者達がざわめき始めた。


「実際に学園の試験官として一対一で負けた。まあ、火力では負けないけどな。」

(ガルダさんって負けず嫌いなのかな。)


「だから、あまり喧嘩を売るなよ。」

ポカーン

スキンヘッドの男達は開いた口が塞がらなかった。


「ガルダさんって王都を拠点にしているのか?」

「いや、今日はAランクダンジョンのモンスターを間引きに行っていただけで普段は拠点にしている場所はないな。」

「そうなのか。」

ガルダは俺の後ろにいるニーナとサリーを見たあと少しニヤつきながら俺に向かって。


「今からその2人を冒険者登録させるみたいだがその2人の彼女ぐらいまもってやれよ。」

「か、かにょっ!」

ニーナはびっくりしたのか噛んでしまっている。


「いやいや、2人はただの友達だよ。ね、2人とも。」

そう言って振り向くとニーナは絶望したような顔をしていて、サリーは呆れたような顔をしていた。


「こりゃ難しそうだな。」

ガルダは同情の目をしていた。

(何に同情したんだろう?)


「そろそろ俺達は行くから。」

「おうっ!2人も頑張れよ。」

「はい!ありがとうございます!」

サリーが答えた。ニーナはというと………。

………チーン。

(さっきと変わってない!?)

「おーい、大丈夫かー?」

俺はニーナの顔の前で手を振った。


「――はっ、私!諦めませんから!」

「何を?」

「ななな、何でもないですぅーー。」

ニーナは顔を赤く染めた。


俺達は冒険者登録用のカウンター前に来ていた。

「こんにちは!冒険者登録ですか?」

「ああ、この2人の冒険者登録を頼む。」

「わかりました、それでは1人ずつこちらの水晶に手をかざしてください。」

まず、ニーナがかざした。

すると、水晶は白く光りそのあと、隣の板が白く光って1枚の冒険者カードが出てきた。


「―――!こ、こちらが冒険者カードでございます。」

「ありがとうございます。」

「で、では次の方どうぞ。」

今度はサリーが手をかざすと、水晶は先程と同様に白く光って冒険者カードが出てきた。

「――!こ、こちらが冒険者カードでございます。」

「ありがとうございます!」

「ついでにパーティー登録もできるか?」

「それなら、冒険者カードをお借りします。」

俺たち3人は冒険者カードを渡す。

今回も俺の冒険者カードを見て受付嬢は驚いていたが、すぐに元の表情に戻った。


「申し訳ございません。パーティーを組むにはパーティーメンバーのランクの差は1つまでとなっております。」

(そういえば冒険者登録した時に注意事項でいってた気がするな………その時はパーティーを組む予定なんて無かったからなー。すっかり忘れてた。)


「そうですか………。」

(ニーナが落ち込んでる、そんなにパーティーを組みたかったのか。なんだか申し訳ないな。)


「ランクアップ手伝ってやりたいけどランクの低い依頼は受けられないからなー。」

(うーん、どうしよ。)

俺が悩んでいると。


「大丈夫です、私達で頑張るので少し待っててください。」

ニーナは覚悟を決めたような顔でそう言った。

「そうか、待ってるよ。」

こうして俺達は一悶着あったものの、無事冒険者登録ができた。パーティーが組めなかったのは予定と違ったが、ニーナとサリーの冒険者登録が出来たからよしとしよう。

ちなみに寮には門限ギリギリに着いた。マジで危なかった。



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次回から授業回が始まります。


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