第9話 入学試験


赤髪の腰に剣を差した男ががニーナに挨拶してきた。


「ダリマ様お久し振りですね。」

(ニーナに話しかけているし会うのも久し振りらしいから、辺境伯とかの息子かな。)

そうボーッとしながら思っていると。


「おい!貴族の恥!視界に入るな目障りだ!!」

「そうだな、殿下はお優しいから口に出さないから俺が言ってやろう。………お前のようなごみの分際で殿下に喋りかけるな不愉快だ。」

「ちょ、ちょっとバルから話しかけたんじゃ………。」

俺は手でニーナを抑える。


「本人が言ってないことをまるで代弁であるかのように言うのはやめてもらって良いですか。それに、私は貴方の部下でもないのでそれを聞く義務はありません。」

俺は淡々と言う。


「良いだろう、どちらが上の存在かをわからせてやるよ!!」

そう言ってダリマは剣を抜いて俺に向かって振り下ろしてきた。


「おっと。」

俺は慌てて避けた。

(あ、危ね~~~、こいつとうとう剣を抜きやがった。)


「ちょっとなにをしてるの!!」

「ふん、避けたか運の良い奴め、これでも喰らえ《ホーリークロス》」

「ちょ、やめなさい!!」

俺はバック転で避けた。


(このスキルは……聖騎士かな、どうしよこれ、下手に攻撃したら家の方にダリマの派閥から手だして来そうだし。)

「ちょこまかとうざったい、つぎは外さず一撃で仕留める。《ジャッ》………」


「こんなところで何をしているのかな。」

“ざわっ!”

「おいっ、あの方ってノアール殿下だよな。」

「ティアルシア様もいるぞ!」

ノア兄さん達が現れて周囲にざわめきが起こる。


「ノアール殿下!こいつがニリナス王女殿下に付きまとっているので指導してるところです。」

「そうなのニーナ?」

「ううん、私からバルに話しかけたよ。」

「だそうだけど。」

「な、そんなはずは…。」

「ニーナのことを信じられないの?」

「い、いえそういうことでは…。」

「じゃあまず自分の非を認めて謝罪をするところからじゃないのか。」

「申し訳ございませんノアール殿下ニリナス殿下。」

「謝る相手が違うんじゃないか。」

「ぐ……、す、すまなかった。」

そう言って俺に頭を下げた。


「謝罪を受け取ります。今後はあまり噂を鵜呑みにしない方が良いですよ。」

「ぐ、お前ら行くぞ。」

そう言って取り巻きを連れて去っていった。


「はあ、ノア兄さん最初から居るなら見てないでもっと早く助けてくださいよ。」

「いや~、何か面白いことが起きそうな気がしたんだよな~。そういえばサリーと会うのは初めてか。」

「初めまして!僕の名前はサリア・ヴァン・アルファーナ、ティアお姉ちゃんの妹で君と同じ12歳だよ!気軽にサリーって呼んでね、僕も君のことはバルって呼ぶから。」

そう言って出てきたのは青色の髪でサイドテールの髪型で淡褐色の目をした少女だった。


「わ、わかった。」

(何でこの人達はたかが貧乏男爵家の嫡男でしかない俺とこんなにもフレンドリーに接するんだろう?)

そう不思議に思いながらも俺は了承した。


“ゴーン、ゴーン”

試験開始の合図となる鐘が鳴った。


「そろそろ試験が始まるみたいだね。じゃあ3人とも頑張ってね……て、バルは頑張らなくても大丈夫か。」

「ちょ、ノア兄さんそれってどう言うこと!」

「それではこれから実技の試験を始める。今回の試験官はこの国唯一のSランク冒険者孤高の騎士ガルダ殿だ。」

「今回は俺が試験官を努めさせていただく。手加減してやるから死なねえ程度に頑張れ。」

そう言って紹介されたワインレッドの髪を持つ男が自信満々に挨拶をした。


「それでは試験番号を呼んでいくので呼ばれた者は前に出て……。」

そう試験監督が説明しているとき偶然にも試験官の男と目が合った気がする。嫌な予感がしてすぐに目を逸らしたが。


「試験監督、俺は最初にあいつと戦う。」

そう言って俺は指を指されるのであった。



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次回バルの本領発揮です。



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