第3話 出会い、そして、始まり ②


さて、美月も仕度をしているみたいだし、俺も試したいことがあるから外に出るか、玄関は鍵を持っていないので(なくても開けれる)ベランダから出るとするか

ベランダの方に向かうと「す、すぴかはん」呼び止められるので振り返ると「・・・・また会える?」寂しそうな顔をされてしまったので

「美月が帰ってきてから話そうと思っていたのだが、その、美月さえよければ、俺をここに泊めて欲しいと思っている」

正直、屋根がある場所で好きな人と一緒に生活するのが理想だが、美月に迷惑はかけたくないっという思いもある。


返答を待っていると、美月は椅子から立ち上がりこっちにゆっくりと歩いてくる、近くまで来ると抱き着いてきてがっしりと背中に手を回される

俺の胸板におでこをつけながら「うん、うちからいなくならんといて」俺も美月を抱きしめて美月が満足するまで抱きしめていると

「なぁ、スピカはんってお金あるん?」

痛いところを突かれてしまったな…ない!っと正直に言うべきなのだろうな


「…すまない、この星で稼ぎ方がわからなくて、路銀がない」

申し訳なさそうに抱きしめた美月の背中を撫でているとガバっと顔を上げて「ほな!うちが養う!うちが養うから、そばにいて!」

っぐ、非常にありがたい申し出なのだが、この俺が、何もせずに責務を果たさずにぐーたらと子供のように養われるのは違う!!だが、背に腹は代えられない!!


「すまない、何か良い稼ぐ方法が思い浮かべば稼ぐ、その間まで世話になってもいいか?」

戦士としてのプライドが圧し折れる、誇り高き戦士の一族であるこの俺が…

「いいんよ、うちが頑張って働く働いて養うんや…うちはスピカはんが傍に居れば…それでいい」

健気なその言葉に自然とお互いの唇を合わせていた、長い間、キスを堪能していると

「だから!あかんて!愛欲に溺れたらあかんゆーてるやん!スピカはんは情熱的すぎるねん!!」【そこが好きなんやけどなぁ】

ばっと勢いよく離れたと思ったらカバンから何かを出している


「はい!これ!」すっと一枚の紙を渡される何だろうと受け取ると、こ、これは!?

「うちかて、そんなに稼いでるわけやないから、1万でも辛いってのちゃんと覚えといてや?」

この星の、この街で一番高い通貨じゃないか!


「い、いいのか?」これさえあれば、食事に困らない!!気になってた、あの店や、あの店にも入れる!!

「ええよ!けどな、無駄遣いしたら、あかんで?」困ったような顔をする、美月は学童だ、仕事も殆どしていないのに、大変だろうに…


「ああ!もちろんだとも!大切にしっかりと物の値段を把握しきってから使うさ!」

美月の想いを、しっかりと受け止める!これを元手に仕事探しをするのもありだな!!


どうせなら、美月が家を出るまで家におり、その間は、他愛のない会話を続ける、会話の中で様々な気付きを得られたし、この様な会話でも楽しめるのは愛なのだろうなっと今まで感じてきたことがない安らぎを感じながら他愛もない会話である、至福の一時だった。


美月が、いってきますっと玄関に向かっていくので、俺も玄関についていく。


美月が靴を履き終えて、くるっと向きを変えてこちらをじっとみている、なんだろうか?

手招きをされるので近寄り、顔を下げろと合図を送られるので膝を曲げて顔を近づけると熱いキスをする


ただ、唇を合わせるだけのキス


「ぃ、ぃぃてきます」顔を真っ赤にして玄関を開けて飛び出すように出ていった

鍵を閉めなかったので鍵を閉めて、俺も試したいことがあるので、その現場にいくとしよう。


ベランダに向かう途中で美月が先ほどまで化粧をしていた机に何か紙が貼られているので何か見ると

どうやら、今日のタイムスケジュールが書かれている


どうやら、講義が終わるのが昼の3時みたいだな、ふむ、美月の場所も、今現在も把握しているので、迎えにいってみるのも良いのかもな。


さて、俺の着ている服をこの街の人達が来ている服装へと変化させて、っと、うむ違和感はないな。

では、いこうか


ベランダのカギを開けてベランダにでる。ちゃんと魔術で鍵を閉めてからベランダから飛び立つ、当然、人に見られないようにジャミングをかけながらだ。


さて、気になること、やれそうなことは全て試してみないとな

俺がこの街に落ちてきた場所であり、時空のひずみがあった場所、かろうじて時渡の鎧とのリンクが繋がっている場所


目を閉じて時渡の鎧がある場所へと意識を向けるとやっぱり、ここを経由しているのがわかる。


では、やるべきことは一つ!


この辺り周囲に防御壁を展開!!出力は魔法の規模で!

続いて轟音対策!音が漏れないように周囲に防音結界を張る出力は魔法の規模で!

更に!周囲に光が迸るので光が漏れないように防光結界を張る出力は魔法の規模で!


多重に幾重にも近隣に被害が出ないように徹底的に防御壁を張っていく


この規模の防御結界であれば並大抵の攻撃では破壊できない、この世界でいうなれば溶岩ですら軽く受け止めれる、質量で言えばそうだな、雪崩洪水も軽くせき止めれるだろう。


熱量に関しても太陽の光を完全に遮断しようと思えば遮断できる。


ここまで頑丈に!屈強に!する理由は一つ、発動すれば衝撃が外に漏れ出てしまう程の威力を次元の裂け目が、あるであろう場所にぶちかますからだ!!

結界が吹き飛びそうなら、その時点で、終了予定だ!



いくぞ!!唸れ我が右腕、叫べ!虚空めがけて撃ち放つ心構えで構えよ!!


右腕に魔力を徹底的に集めていく、

魔力濃度が高まり辺り一面から

・色が消える - 光の消失

・更に魔力を高める周りからの音が消える - 空気振動の消失

・更に、魔力を高める!!辺り一面の動きが止まる - 時という概念にまで干渉するほどの質量!!!


ここだ!!この臨界点ギリギリの魔力量!!吹き飛べ!!純粋なる魔力の暴力!!


千年という時すら凌駕するほどの純粋たる力の暴力!!エンシェントエナジー!!


俺がこの世界に落ちてきた一点に向かって魔力を圧縮し、暴発させる!爆発した瞬間にそのエネルギーが一転に集約される

その衝撃はすさまじく、辺り一面から色・光・音・時、存在に必要な物全てが消失するように力を圧縮し爆発した箇所に吸い込まれていく

その吸い込まれている力の力場がどの様に解放されるのかしっかりと観測する


全ての動きがとまる…流石の俺もこれの直撃を何も対策せずに直撃すれば確実に死ぬ、この大地に向かって解き放てば恐らく、この星の四分の一くらいの質量を吹き飛ばして宇宙へと弾き飛ばすだろう…


圧縮された力の力場に全てが吸い込まれ…このまま耐え切れずに時空が裂けてくれるといいのだが、一点に集約された力場が突如崩壊し圧縮した全てを解き放とうとする

瞬時に直観で、理解する、これをこの場で解き放てば美月が居る場所だろうがおかまいなしに、この大地が吹き飛び消える。


危険だ!


展開していた全ての防御壁を一点を囲う様に集め防御壁そのものを、さらに包み込むように防御壁を展開し全力で上空へ打ち上げる

「んぬぅおぅりゃぁ!!!」

勢いよくはじぎ飛ばしたエネルギーの塊は遠い遠い僅かに見える星よりも更に遠い場所まで吹き飛ばす、破裂する衝撃に防御壁も耐え切れず


炸裂する


宇宙を漂う小惑星を犠牲にして


時空が裂けた場所を見てみるが、反応が一切ない…だめか、圧縮して引き寄せるように裂ける物かと思ったが、存在している世界が違うから干渉のしようがないのか?

はぁっと疲れがどっと体を襲う、立つのも辛くなりその場に座り込む…


「今日はもう無理だ」

体に宿る魔力の大半を注ぎ込んだ究極の純粋な力でこじ開けようとしたけれども失敗に終わった。


次も同じような一撃を放つのは不可能だ、最低でも二日は欲しい。

魔力を練り上げて体内に貯蔵しないと…


あれ以上の威力は、この星が悲鳴をあげるし、膨大な魔力を広範囲にまき散らしていては他の魔力を持つ生命体にこの星を見つけられかねない。


外宇宙からの知的生命体に侵略されていない世界なのだから、その辺りは自重しないとな、俺のせいでこの星が争いに巻き込まれてしまったら

しっかりと外宇宙の敵から、美月を守りながら戦い続けないといけなくなる、そうなると尚更、使命を果たすことが出来なくなるからなぁ。



つい、頭に過ってしまった言葉



使命…っか、何時だって思い出せる故郷で過ごした日々、怨敵が我ら一族並びに、ありとあらゆる生命体にしてきた悪行。

そいつを滅ぼすことが世界中、いや、銀河中、全ての生き物の悲願。通称、【星喰い】


あいつに喰われた星の数は数えきれない、それによって星もろとも滅んだ生命体の数何て底が見えない


そして、常に疑問に思うのが、そこまでの生命体であれば別に、喰らわなくても自己完結できそうな気がする、いったいやつはそれ程のエネルギーを有して何を成そうとしているのか?


時魔の一族が推測するのは多次元への干渉ではないかと言っているが、俺には理解できん、神にでもなるつもりか?既に神とまごう事なき力を有しているのに?


会って話をしてみたいと旅立つ頃は思ったが、長い旅を続けていく度にやつとは絶対に分かり合えない存在だと身に染みているからな。


仮にやつと出会ったら時渡の鎧を使ってシグナルを本国に向けて発信し、発信した後は確実に殺されるだろうな、運が良ければ時渡の鎧の力で過去に戻り、凡その座標を本国に知らせて自分は役目ごめんとなるだろう。


あのような、星すらただの食事とするような存在に適うわけがないからな、本国に居る伝説的大英雄たちが総出で挑んでも…


宇宙は広い、銀河は広い、この世界は広い、あのような怪物を倒しきるような存在が生まれるのを待ち続けるしかないのだろうか?


俺に時魔の一族だけが持つ次元を観測するための特殊な器官さえあれば、時空への干渉が出来るのだがなぁ。

明後日は違う方法を試してみよう、きっとあるはずだ、何か方法が…


そう時渡の鎧を見つけて全ての使命を終わらせてから俺は、美月と共に人生を歩めばいいんだ…


過去に戻れる時間をこの日にセットすればいい、そうすれば俺は、死んでもここに帰ってこれる


うん!当面の目標は変わらず時渡の鎧を手に入れよう!戻れる日を選べるのかは知らんが!手に入れてからアクセスすればいい!


うむうむ、愛する人が居て、心も体も腹も満たされれば考えがまとまるというものだ!!いや、素晴らしいな!愛というものは!全てが輝いて見える


いや、あの輝きは俺が解き放った魔力の渦が暴発して小惑星を巻き込んだせいで発生した光だ…


…ここまで降り注ぐ光、魔力の拡散、感知されないか、これ?…っさ、街でもぶらつくか!!



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