第3話 出会い、そして、始まり ①

朝日と共に目が覚めて、起きてすぐに行動する。

のが、今までの俺の習慣だったが…それをする必要は、今日は無いな

なぜかって?決まっているだろう、俺の胸の上で安らかに気持ちよさそうに涎を垂らしながら寝ている愛する女性がいるからだ。

彼女をこんな朝早くから起こす必要もないのでな


寝ている彼女の尻でも揉みながら起きるのを待つとしよう、まったりと過ごすさ


さて、まったりしながら、考えを廻らせないとな。

どうやってこの後、時渡の鎧の元へ辿り着けばいいのか、方法を考える。


頭に浮かんでくる思いついた術式を組んでは、指先で発動させていくが、うまいこといかず失敗する。

時への干渉はある特殊な器官がないと不可能だと言われ続けているが、それをどうにかしないことには、この先は、どうすること出来ない…


まぁ、一朝一夕でどうにかなる物でもあるまい、ふふふ、この星は面白いな多種多様な言語もあれば、面白い言い回しや表現がある


俺らにはない文化だ、平和だからこそ、多種多様に発展したのだろうな、種族一丸となって絶滅の危機に瀕することもなかったのだろう


なんて羨ましい世界なんだ。


「なぁ」

ん?どうやら起きたようだな

「うちのな、お尻を揉みながらなにしとんのかな?って思ってみてたんやけどな、指先それどうなってるん?」


…ふぅむ、隠し立てはよくないよな、しかし、受け入れてもらえるものだろうか?


「美月さんはどう見える」

美月の好きな声色で囁くように言うと恥ずかしそうに

「もう、そんな声で、うちからやと指先が消えたり見えにくかったりするんやけど?なんやの?スピカはんは手品師なん?」

えーっと手品師…ふむふむなるほど、トリック使いか!暗器を使ったり巧みな体捌きによって幻覚を見せたり視覚作用を使ったり聴覚作用を使ったりする術士だな!


だとしたら、俺は手品師ではないな、しっかりと否定しておかないとな

「いいえ、違います、美月」

抱きしめたまますっと上半身を起こすと

「わ、わ?…ぇ?スピカはん、どんだけ筋肉あるん?」

初動作なく、すっと上半身を起こしたことに驚いているが、そうか、この世界の人類は弱いのだったな


「すごいでしょう、でもね、もっともっと、凄いこと、俺は出来るんですよ、でもね、これは誰にも言いたくないんです」

真剣な顔で美月を見つめると悲しそうな顔で

「そ、それはうちにも、なん?」

愛する人に目の前で秘密にされるというのは嬉しい行為ではないのは、重々に理解している。


だが、本当のことを言っても信じてくれはしないだろう


この世界に、この星に、俺ほどの魔力を持つ人はいない、つまりは、魔術が無い、魔法が無い、そういった世界だ。

その代わりにこの星の人類が得た超越なる技術が【科学】だ、この世にある摂理、理を理解して様々な道具を用いて事象を再現する

非情に素晴らしい技術だが、残念なことに魔力がないことで事象を生み出す為には、資源を必要としている。


過去に、渡ってきた世界でも同じようにこの世の理に基づいた理論をベースにして発展してきた技術を持つ星があったが。

そこで生きている人類の殆どが体を、この世界でいうところの機械の体になっていて面白味がない世界だったな

怨敵の痕跡も薄く、純粋に、通り過ぎただけの世界だったな、故に俺も素通りしたんだったっけな。


「美月さん、お願いです、信じてくれますか?今から俺がすることを」

真剣なまなざしで、美月の目を真っすぐ見つめると

「なんやの、もう、そんな真剣な目をして、あれなん?そうやって色んな女性を、秘密だから~君だけに教えるんだよ~?って殺し文句にしてへん?」

頬を赤らめながら潤んだ瞳で此方を見てくる美月の発言を思い返してみると、うむ、確かに使ったことがあるな女性を口説くときに…


「あ!一瞬目をそらした!どこのどいつや!どこのどいつにこの色男セリフつこーたんや!」

先ほどまで潤んでいた瞳ががらりと変わって牙をむいてくる、鋭い女性だ。


頭を撫でながら

「過去のことはいいじゃないですか、今は、貴女一筋です。いいえ、過去も未来も現在も俺をここまで恋焦がしたことがあるのは美月だけですよ、なので未来永劫、美月、貴女だけを見続けますよ」

真剣に伝えると先ほどと同じように頬を染めて何も言わなくなってしまった

表情がコロコロ変わる、感情が表に出やすい人だ、リーディングしなくても感情が伝わってくるのは非常に好ましい


「今から見せることは絶対に他言無用ですよ?」

こくりと頷いたので床に落ちている美月の携帯電話という端末を魔力で力場を発生させ持ち上げる。

この世界でいうところのサイコキネシスっというやつだな。


どうやら美月は気が付いていないみたいでずっとこっちを見ているので

「美月」

とんとんっと抱きしめている手の方で肩を叩き携帯電話が浮いている方向に指を指す、

指先に誘われるように視線を携帯電話に向かって、視線を向けると


「…?」

何が起こっているのかわからないようで携帯電話に手を伸ばし、携帯電話の上空や下や左右、空間を切るような仕草で腕をぐるぐるとまわしている

「ぇ?糸で釣ってない?なんで?どうなってるん?まってな、答え考えるから……磁石や!どっかに磁石しこんでるんやろ!」

目を輝かせてこちらを見てくる、なるほど、磁力という力場を発生させているのだと考えているのだろう。

残念ながらはずれだ、証明するのであれば、金属だな、確か磁力は金属と干渉するはず、いや、磁力は磁力とも干渉したな、確か、うむ。あるな。


冷蔵庫にぺたりと張られている丸い顔で何かのキャラクターを模している磁石がついたピンを魔力で掴み、こちらに引き寄せていくついでに、携帯電話の周りをぐるぐると一周も二周もさせてから


「美月、手を出して」

此方の言葉通りに純粋に何も考えずに手のひらを広げるので美月の手のひらに磁石が付いたキャラクターのピンを乗せてあげる

「は?ぇ?ありえへん、これって…夢?」

どうやら現実を受け止め切れていないようだ、何かを考えている様子なので答えを待とう


「…うちしってる、これ手品やないわ、スピカはんってエスパーやったんや!」

どうやら美月の中で答えが出たようだ、うーん、エスパーか…リーディングしてどういったものか知ったが、まぁ、あながち間違ってはいないか、だが、訂正はしておかないと


「美月、惜しいけれど違うんだ、俺はこの星の住人じゃない、君たちの言うところの宇宙人だ」

俺の言葉をきいた美月から表情が完全に消えて何処を見ているのかわからない目をしている。


「ははは、スピカはんは冗談がうまいなぁ、これって手品やろーエスパーなんやろーそれに宇宙人って設定はもりすぎやでーあかんあかん」

どうやら軽くパニックを起こしているみたいなので、わからせるか…


床に落ちてる下着とか服とかを手早く美月に着せていき、俺も服を着る

まだ頭がパニック状態の美月をお姫様抱っこで外に向かう、その途中で念のためにソナーを打っておく、見つかったら面倒だ。


ここはとあるマンションの一室で確か6階だったかな?一瞬だけソナーを打つ、朝も早いので誰も起きてきていない

外に数名反応があるがまぁ、気が付きやしないだろう


この先の行動は確実に美月は叫ぶだろう、なので。

音を遮断する魔術を展開

急上昇による負荷を軽減、いや、無効だな打ち消す為の防御魔法を展開

急な酸素量の低下や気圧の変化を防ぐための空間掌握の魔法を発動


この魔法を維持し続ける限り美月にとって最も過ごしやすい外気温と酸素、気圧を保持する。


ドアを手を使わずに開ける「へぇ?う、うちのドアって自動ドアやったんやなぁ」美月のパニックは収まっていない

そのままスタスタとあるき、手すりを乗り越え物が落ちないようにしてある壁を軽くジャンプして飛び越える


当然、飛び越えた先は上空だ

「…は?」

美月はこの瞬間、落下する未来を予測して顔を真っ青にしている。不安がらせてはいけないな

「安心しろ、何があろうが俺が守ってやるさ、この世の全てからな」

軽くおでこにキスをしながら天空へと上昇する


声にならない悲鳴を上げ続ける美月をしり目に雲を突き抜けても、なお上昇をとめない

一瞬何かに観測される気配を感じたのでありとあらゆるものから認識できないようにする魔法を発動する。


気配の先をみると、なるほど、宇宙にも何かしらの機械があるのか、それに一瞬反応させてしまったのだな。

世知辛い世界だ。常に大地と上空が監視されているとはな


ぎゅっと俺にしがみついている美月に優しく声を掛ける

「美月、大丈夫だよ」

声に反応してゆっくりと目を開けて周りを見渡す美月


きっと、今まで見たことがない景色に心奪われているのだろう手が震えているからな。


「ぁ、ぁ、へ、あ?う、うそやん、ど、ぇ?うち、、、死んだん?」

っむ、どうやらまだパニックを起こしているようだ。

まぁ致し方があるまい、こういう時に精神に作用する魔術を使っても咎められはせんだろう


美月に心を落ち着かせて冷静になる魔術をゆっくりとかけてやるとバクバクと激しく音が鳴る心臓も平常時と変わらないリズムになっていく


「ぇ、うそやん、こんな非現実な状況なのに、なんで急に落ち着いていくんや?ぇ?なにこれ?うそやん…」

震えている手の震えが収まり、もう一度、確かめるように周りを見、恐る恐る地面がある方向を覗き見ると、怖かったのかぱっと顔の位置を戻し俺の胸に顔を埋めてくる

いいな、こういう頼られ方は嫌いじゃない。


「どうだ、美月。これは、夢でも幻でもない現実だ、信じたか?このようなことがお前たちの星では誰でもできるのか?出来ないだろう?」

顔を埋めている美月が小さく呟く「うん」か細い声だったので落ち着くまでぎゅっと力強く抱きしめる


美月の中を見た時に【高所恐怖症】っというワードが出てきた、その言葉を見て自分の行動を反省する。

この星の人間は本当に弱い。高いところがダメな人が居るのだな、しかも、たったの5センチでも高い処から下を見るだけで気絶するような生き物がどうやって生きてきたのだ?



守ってやらんとな、美月。お前だけは何があろうと守ってやるさ、怨敵であろうとな…美月を殺させはしないさ。



暫く、この星の人達が作り出した天空を走る人や荷物を運ぶための矢に近い構造の機械が飛んでいくのを見ていると

「ありがとうスピカはん、そしてごめんな、疑ってもうて、その、ずっと持ってるのつらない?大丈夫?うち重たいやろ?」

どうやら、頭の中を、ぐるぐると色んな思考が駆け巡っていたのが落ち着いている。ようやく、頭の中で今の状況を理解し受け入れたのだな。


「こんなすごい状況なのですから、誰だって、現実を受け入れづらいですよ、それに美月は軽いので大丈夫ですよ、片手で持てますから」

比喩ではない、美月くらいの重さであれば魔術を用いなくても小指一本で持ち上げれる。


「そ、その、うちも空に降りれるっていうのも変やな、立てたりする?」

どうやら、降りたいみたいだな、まぁ力場を発生させてそこに立ってもらえばよいか

「構いませんよ」

美月の足の裏に力場を発生させ地面と遜色変わらないように魔術を使いゆっくりとお姫様抱っこから地面におろすようにおろしてあげる。

「うわ、うわ!?なんやこれ!?空に浮いとるんやなくて、空に地面がある!?ぇ?うそやん…」

何度も地面を踏みしめるように爪先立ちになったり、足踏みしたり屈伸したりしている。


「どうだい、人類では誰も成しえたことのない装備も機械も何もなしで到達してみた気分は」

この絶景をゆっくりと見回した後

「…うち、物語のお姫様になった気分や、こんな、こんなことがうちに、うちの人生で起きるなんて思ってもみーひんかった」

目を輝かせながら色んな方向を見ていく、一頻り満足するまで見回した後

「うち、スピカはんを好きになって心の底から嬉しい、あの時、勇気を出して、勇気を振り絞ってよかった、こんな、こんな人と出会えるなんて思ってもみーひんかった」

がばっと抱きついてくるのでしっかりと受け止め抱きしめた後、熱い熱いキスをする


美月は意外と情熱がある、感情表現もストレートだし自分が思ったことを素直に実行したい人なのだろう、とても魅力的だ


ずっとこうしていたが美月が「ありがとう、凄く嬉しかった、でもな、うちそろそろ大学に行く為に準備したいんやけど、これって、降りれるの?」

心配そうに覗き込んでくるので

「もちろん、安全に降りれるよ」にっこりと笑顔で言うと

「ぁ、あんな?うちな、今更、冷静になって気が付いたんやけど、うち、ジェットコースターとか無理やねん」

膝を震わせている…なるほど、降下する現象が苦手なのだな


「では、目を瞑ってください」美月の目を塞ぐように手をかざした瞬間に


空間跳躍の魔術を使い一瞬で美月の部屋にある玄関に降り立つ


「はい、目を開けてください」塞いでいた手をどけて、目を開けるように伝えると

「へぇ?ぇ、ううそや、ぇぇ?あの距離をい、一瞬で?」自分が部屋に戻ってきたのが信じられない様子だった。


「催眠術とは、違うと思うし、ほ、ほんまに何でもありやな、ほへぇ…」ゆっくりと玄関から家の中に入っていく、心なしか足元がふらふらとしている。

現実を受け止めているようで受け止め切れていないのだろう。


美月が昨夜はずっとアレをしていたので、綺麗にするためにお風呂に入る。


そうだな、何もしないのも、つまらないものだ、美月が風呂に入っている間に何か食べれるものでも作ってやるとしよう


冷蔵庫の中を見ると、見知らぬ食材がある。

ううむ、昨日、美月が作っているのをみて、大体がどんな食材なのか把握している。


これは卵で、鳥の卵らしい、どんな鳥なのかは知らないがそんなに大きくないのだろう、取り合えず卵を冷蔵庫から、4個ほど取り出して、卵の中に力場を発生させ中身をかき混ぜる

球根の野菜、玉ねぎっといったかな?これは炒めると甘くなる性質があるとリーディングで知りえているので、空中に浮かせて力場を使って細切れにし、程よく熱を発生させ火を通す、む、すぐに火が通るなこげないように気を付けないといかんな。


後は、ふむ、適当に野菜を取り出して玉ねぎと同じように細切れにして、火を通し全て火を通し終えたら一か所に集め、その周りに卵から液体を取り出しきざんで痛めた野菜たちを包み込むようにし、その状態で空中にあるまま魔術によって熱をうみだし全体に火を通すように焼いていく。


表面に膜が出来るくらいに火が通ったのでお皿を取り出し、皿の上に盛りつけておく

出来た料理をテーブルの上に置くと「ごめーん、つこうてごめんやけどなー、タオルとってもろてもええかなー?」

お風呂場から声が聞こえてくるので体をふくためのタオルを風呂場の中に転送すると「おわ!?ちょ、いきなり目の前に!?ぁ、ありがとなー」

うむ、お礼が言えるのは、とても良いことだ、どんなことでもしっかりと感謝の気持ちを伝えられる人は、なかなかいないぞ、清き心だ、さすがは俺が惚れた女だ。


「ふひーさっぱりしたぁ」お風呂場から下着姿で出てくる、どうやら下着は持っていたのだな、転送してやろうかと思っていたのだがな


冷蔵庫から何か飲み物を取り出してこちらに歩いてくると「わ!美味しそうな、オムレツかな?スピカはん料理も出来るんやな!!」

嬉しそうな声と共にテーブルの前に座り、冷蔵庫から取り出した飲み物の蓋をあけるとプシュっと音が出る、ごくごくっと半分くらい飲む

「ぁぁー風呂上がりの炭酸水はしみるわぁ」すごく幸せそうな顔をしている。


「よかったら冷めないうちに食べてくれ」テーブルの上にスプーンも置いてあるので

「ええのぉ!?嬉しいなぁ、誰かにご飯作ってもらえるなんて、実家いらいや!」


スプーンを手に取り卵を焼いたものにスプーンを差し込むとトロリと液体が流れてくる

「わ!?半熟やんすごいな!うちのやっすい焦げ付きやすいフライパンでよーつくったなぁ!!すごいやん!!」

嬉しそうに掬い口に運ぶ・・・・口の中でもぐもぐとしたあと微妙そうな顔で

「作ってもろうたのに、こんなん言うのは失礼やと、重々わかってるんやけどな、スピカはん」

こちらを真っすぐに見つめてくる、話の流れ的に何かまずいことでもあったのだろうか?


「味せーへんねんけど…」

味?卵の味がするだろう?


思ったことを伝えると唖然として「し、しおは?」塩?・・・・リーディングした記憶から探し出す、ああ!なるほどな

「塩あったんですね…」調味料などは料理人でもなければ持っていないことが多いだろう?


「ぁ、そ、そやね、えっとな…ケチャップとか醤油って知ってる?」

ん?…ああ、それも記憶を読んだときにあったな、だが、具体的にどれがどれだかわからない


言葉を選んでいると

「せ、やね、文化が違うんやもんな、あんな、スピカはん、これに味、足してもええかな?」

どうやら、美月の中で何か答えが出てきたのだろう、味をつけたすのであれば答えはYESだ、どんなものでも自分の好みにするのは良いことだ

「ええ、大丈夫ですよ!ちなみにどう変化するんですか?」

美月の好きな味は俺も把握しておきたいからな。どの様に変化するのか知りたい。


「せやな!ちょいまち持ってくるわ!」

床から立ち上がり、キッチンの下や、冷蔵庫から何やら黒い液体と赤い液体を取り出して持ってくる。


小皿に二つの液体を、赤い方は固形に近いのか匂いからして、これは、トマトだな、食材売り場にあるのを嗅いだことがある、その香りが僅かにするな、黒い方は…わからぬ

「お好みでつけて食べよう!ほらほらスピカはんも食べてみてーや!うちはケチャップ派やな~」

ついでに箸という食べる為の食器を持ってきて器用に焼いた卵を半分に切ると

「わ!オムレツやと、おもうたら具入りやん!玉ねぎに人参、後はなんや?ピーマンかなこれ?具沢山でええなぁ!うちこういうの好きや~」

中から具が出てきただけで喜ぶなんて可愛い人だ。


端っこの方から器用に一口分だけ切って抓んで赤い液体のような固形のようなケチャップというソースにつけてから口に運ぶと

「塩味たらんけど、十分美味い!焼き加減が絶妙や~」嬉しそうにパクパクと食べていくので

俺も食べようとスプーンを受け取り、ケチャップをつけて食べてみる

「おお、美味いな!そうか、これが初めての二人だけの食事会でいった居酒屋という店で食べたソースの片割れか!」

思い出したぞ、この味!揚げたポテトに備えてあった白いソースと赤いソース!美月は混ぜる派やねんって混ぜて食べていたから

気が付かなかったが、これがケチャップ単品の味か!塩味は確かにあの店で食べたものに比べたら足りないが


ああいう店は専門のルートがあるから塩とかが手に入るのだろう?


今度、そういう一般家庭の情報を街ゆく人々からリーディングしてみるのも良いのかもな。


「ケチャップどない?」心配そうにこちらを見ているので「ああ、実に美味しい優しくもあり豊潤な味わいを感じる」素直な感想を述べると

えへへ~っと嬉しそうにしている


次は、黒い液体をつけて食べよう、醤油というものだな。

ふむ、これは塩味がしっかりとするが、一番いいのが香りだ、この味わい深い独特の風味、素晴らしい…


「俺は、味はケチャップの方が好きだが、醤油といったかな?これの香りが凄くいい、こちらの方が卵の味を味わいつつ香りを楽しめるので、焼いた卵に合わせるのなら醤油の方が好みだな」つい敬語を忘れてしまう程に、味の変化に驚いていると


「お気に召してもらえて、よかったわぁ、うん、スピカはん」

真面目な顔でこちらを見つめてくる、大事な話だろうか?

「敬語いらへん、素で話してほしい、うちはそっちのほうが好きや」

照れくさそうにあははっと誤魔化し笑いをしながら本音を伝えてくれるその姿勢、好感が持てる、自分の意見をしっかりと相手を気遣いながら話そうとする、その姿勢がたまらなく愛おしい。


「ああ、わかった、そうさせていただこう」

じっとお互い見つめ合うと自然と距離が近づいていきキスをする、その流れのままキスを続けていると

「あかん!今日は絶対に、でなあかん講義やの!あかん!愛欲に溺れたらあかん!!」

顔を真っ赤にしてばっと引きはがされてしまった

「ぅぅぅ、醤油味、大変おいしゅうございました…」

顔を真っ赤にしながらもう一つある机に座って出かける準備をしていく、この星の女性はみな化粧をする

大変裕福な家庭が多いのかと思ったら、どうやら化粧をするのがデフォルトらしい。


試しに化粧品売り場を覗いてみると確かに安い物も用意されていた。


どんな世界でも女性への贈り物として化粧品は欠かせないから情報だけでも仕入れていようと思ったが


諦めた、種類が豊富すぎる、これさえあれば、どの女性でも喜ぶ!っという手堅いものがないのだ…

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