第2話 定期的に見返すのは新しい気づきを得られる。②

この世界に渡ってきて、もう何日が経過した?

毎日毎日、何か無いかと色んな場所に飛び立ってみたが、恐らくだが、この星を一周回ったかもしれない。


感じたことは、この星は大きい。


そして人が、ものすごく多い、生き物の種類も非常に豊富で命に溢れている、だが、バランスが悪いな。

まぁ、知ったことではないがな、魔力が薄いのだから星を管理するものがいないのだろう、生命の樹もないしな・・・


これは非常にまずい、どうやってこの星から抜け出せればいいのか本当にわからなくなってしまった、現時点でわからないのであれば、必然的に時間がいる。

尚更だ、腰を据えてしっかりと研究をしたいのだが、いかんなぁ、金がない。


どこぞの山奥でひっそりと研究するのも一興かと思ったがな、人の手が一切入っていなくて水も空気も緑も全てにおいて綺麗な場所はあるにはある、だが、数少ない

だがまぁ、ないことはない。あることはある。あるのだが…


他の方法も当然模索してある。

他にだと、星が保有する魔力にアクセスしてぶんどってやろうかと、不埒な考えを考えてしまった愚かな俺を笑うがいい。

怨敵のように星に害する行動は控えねばな、魔力が豊富過ぎてちょこ~っと拝借するぐらいならいいのだが、この星で魔力を星から拝借しようと思えば、かなりの大作業になりかねない、そうなると生態系に大きな影響を生んでしまうから、できぬなぁ…


そして、どんな場所に赴いても帰ってくるのは、当然、ここ、一番最初に降り立った街に戻ってくる

この星にある様々な、土地を見てきたが、この土地は最重要都市ってわけでもなく、何処にでもある可もなく不可もない土地だったのだな

地下に奴隷がいるわけでもなく、空に奴隷がいるわけでもなく、この星の人達が持つ技術によって地中や天空を制覇しているのだな。


っふ、無知はいかんな。


他の大陸を見てわかったのだが、全ての大陸が平和というわけではなく、争いが絶えない場所もあった、その現状を見てきたからこそわかる、この土地は比較的、いや、かなり治安が良いのだろう。


その為、俺の出来る仕事がない。


かといってだ、人類同士で殺しあうような場所で活躍したいなどとは思わない、戦士としての誉れがある、どんな大義があるのかどちらの陣営にあるのかなど、調べる気もせんからな。迂闊に手を貸すわけにはいかない、後々、大罪人側に加勢していたと知ってしまえば俺の戦士としての誉れが汚れる。


当然、戦士としての誇りがある俺にとって、物乞いや盗人などに身を落とす気などない!!

なにか、なにか探さないといかんなぁ…


海にでも行って魚でも取るか?大きな大きな海があるから魔法でってのは考えたが、要らぬ混乱を招きそうでな、この星の人類を見ていると、どうも好戦的な人種っぽいから、迂闊に混乱を招いてしまうと後処理が大変だからな、なるべく荒波を立てるのは良くないだろう。

他の星にすぐにでも旅立つのであれば知ったことかっと大暴れするのもまた、一興なのだろうが、そこまで、この星に苛立ちを感じたことは無い、それに、長期戦になると状況判断が告げているので、迂闊なふるまいは己の首を絞めることになるからな。

この星全ての人間が愚かで救いようのない者たちであれば躊躇わないのだが、この土地に住む人たちの多くが善性だからな、清き存在は貴重だ、汚すわけにはいかぬ。


ううむ、海を割るか?魔術で細かく制御すれば最小の被害でどうにかなると思うのだが、魔術も魔法も得意の部類ではないからなぁ…


だから、闘技大会で負けたのだがな!

魔術は制御が難しく小賢しい、魔法は魔力消費量が途轍もなく激しいが魔力さえあれば発動は容易…つまり、発動が用意の魔法を用いて海を割って、魚とか食べれそうな生き物を槍で仕留めて持って帰って焼いて食う!っという短絡的な方法もないことはない!


…はぁ、やはり、人のいない場所で静かに魔術や魔力を研ぎ澄ますのがいいのかもしれないなぁ


暫く考え込むが、ここでじっとしていてもなぁ?

……取り合えず、近くの人が多い場所にでもいくか、毎日、何か無いかと散策しているが、特に何もない。

だけどな、あのような場所であれば俺のような異国の人でも違和感がないので行動もしやすいというものだ。


通称、駅前っと呼ばれる場所を中心として何かきっかけでもないかと放浪する。

っふ、世界が世界であれば浮浪者か、不審者だな、憲兵や門番、見回り隊に声を掛けられてしまうのだが、この街が平和なのだろう、声を掛けられたことは無い

記憶の盗み見で、ポリスっと書かれている、あの建物が詰所みたいなとこで、しっかりと武装しているやつらが、憲兵なのだろうな。


多少絡まれても、魔術で記憶の改ざんでもしてしまえばいいのだが、先にも述べたように俺は魔術が得意な方ではない、記憶を見るくらいなら、まぁまぁ大した影響はないが、改ざんとなると人格崩壊を招きかねない、何の権限があって、見知らぬ罪も無き民の人生を狂わせてしまってはいけない、褒められた行為じゃない。そんなことをするのは非道も非道、外道だ。


そんなわけで街をぶらつく、俺のような人物が街をぶらついても特に視線を集めない理由は、恐らくだが、この土地の人間はみんな黒髪で黒目だ、例外もいるが、それはこの土地以外から来た人種なのだろう、他の大陸では黒髪黒目の方が珍しい土地もあったからな。


そう、俺の髪の色は黒色だ、目の色も黒に近い。顔立ちが少々、雰囲気が違う。

だけど、些細なレベルだろう。誤差も誤差、別段、気にすることもなかれだ。


それにな、その、なんだ?…ええい認めろ!わかっている、この街から離れにくい理由の一つが


この土地に住む女性たちが、祖国の人達と雰囲気が似ているのもあって何かこう…同郷のような気分になってしまって居心地がいいのだ…

声の質も凄くいい、耳に爽やかに残るのだ、あと、好みの出で立ちの女性が多いのだ…ぐぐぅ、この魅惑に俺の心が本能が、帰巣本能が引っ張られているのがわかる!!

潤いが、人生の潤いがこの街に、この土地にある!!ゆえに!!離れれない!!


そんな日々を、あてもなく、何もなく、誰かに声をかけられることもなく、本当に何もなく過ぎていく…


腹が減った、喉を潤すのは簡単だった、あの大河で飲むという行為が間違いだった!リーディングした結果!水であればしっかりと飲めることが出来る様にしっかりと処理を施した場所がある!そこの水を飲めば良いのだ


だが、食べ物は別だ、金が要る…絶対に必要だ、物乞いをするわけにはいかない、盗人に落ちるわけにもいかない!!!


かといって、破棄されるのだとわかっている食べ物に手を出すのはもっと出来ない!!俺の戦士としての矜持と誉れが、その三つの行為を許さない!!!


飢え死にする前に、大災害覚悟で海を割るか?海に潜って取ればいいだろうという、短絡的な考えは無しだ。

海というのは成分が特殊なことが多い下手に濡れてしまって魔力を大海原に融かされてはかなわん!飛べなくなってしまったらあの大海原を泳ぎ切らないといけない。


うん?別に大海原にいかずに、浜辺で確認を取ればいいのか?いかんなぁ、どうも、思考が定まらない、考える力が低下している気がする…


ううむ、野にある果物でも手に入れても良いのだが、下手に知識を手に入れてしまったせいもあって知ってしまったのだ

この星にある、木になる果物や、大地に根付く野菜などの殆どが野生ではなく人が育て、日々の糧としているわけで、それを許可なく取って食うという行為は盗人となる。


迂闊に手が出せんのだ!!


我が祖国でも栽培された畑のものを勝手に食べようものなら腕を落とされても文句は言えない大罪だからな!

そのような誉れ無き行為は断罪される…


長いこと、ベンチに座ってぼーっとしていると、声を掛けられることがあるのだと最近知ったのだが、その殆どが自分の店に人を連れ込むキャッチと呼ばれる仕事をしている人達だと知る。すまないな、その魅惑的な提案に乗りたいのだが、先立つものがないんだ。


話の内容をつい想い出してしまう。

っくっそぉ絶品の美女だとぉ!?ごいすーなちゃんねーだとぉ!?気になって仕方がない!!ぐぎぎぎぎ、性の欲求も揺さぶられるわ、生命の欲求も揺さぶられるわ、なんて欲にまみれた街なのだ!…金さえあれば楽しめるということは、どの世界も変わらぬな。


この場所に居ると永遠とその手のやつに絡まれそうで相手をするのも億劫だ、移動するか。

ベンチから立ち上がり、ぐるりと周りを見渡すと殆どの店が閉まっていて、夜しか開いていないその手の店か、酒が飲める店しかないな。


ぐるりと見てからあの、河川敷っと呼ばれている場所にでも行くとするか


駅の近くにある商業エリアと呼ばれている場所に足を運ぶと、荒げた声が聞こえてくる。

ふむ、この平和な街で揉め事か珍しいな、場所はどこだ?耳を澄ますと頭の中にあるこの街のMAPと照らし合わせると、声がする場所は、たしか、民衆賭博店だっけか?

球を飛ばしてどうのこうのコインをいれてどうのこうのというのを記憶から見たことがあるな。


その店の前で何か揉め事か?っふ、賭博で負けたやつが難癖付けて文句を言っているのだろう。

何処の世界でもあの手のどうしようもない屑はいるものだ、どれどれ、どの様に難癖付けているのか、野次馬っというのだろう?試しにしてみようではないか


揉め事の様な声がする店の前に近づくと男が二人か?うむ、酒の気配がするな酔っているのだろう。

「ちょ、頼んますから、近寄らんといてもらえます?」男の影で見えんが、男二人に詰め寄られているのが声の感じからして女性なのだろう

「ええやんけ、お前んとこでしこたま負けとんねん、その金額分くらい相手してくれや」

ふむ、どうやら女性はその賭博店で働く女性なのだろう、賭博店で働く女性と言えば給仕さんだろうに、店の経営とは完全に無縁じゃないか、酒場の給仕に難癖つけてあわよくばってやつか、何処の世界にもいるものだなどうしようもない誉れも誇りも無い救いようのない生き物だ。


「触んなや!ほ、ほっま、警察よぶで!」ふむ、声がどんどん大きくなるが、威勢は弱くなっているな、これも何かの縁というやつだろう?

「呼べるもんならよんでみーや、お前んとこ不正ばっかりでサツが近くに来たら評判おちるでー」ちがいねぇなっと薄汚い笑いが耳障りだな


「おい」とんとんっと肩を叩いてこちらに注意を呼び掛ける

「ぁあん?んだこら?」ぅぅむ、酒の匂いが凄いな、歯並びも悪いし、造詣が既に悪だな、相手をするのもめんどくさい魔術で手っ取り早く解決するか

相手の目を見て魔術を発動する、俺の目から相手の目へと魔術を通す、相手の思考回路を操作して、ふむ、やはり魔力のない世界の住人は魔術に対する耐性がないな、すんなりと通る。


「もういいだろ、酒でも飲んで来い」これで、俺の命令に逆らえない、っといっても、この一時だけに設定してあるがな

「ぁ、ぁぁ、そうだな、お前の言うとおりだ、酒でも飲みに行こう」

さっきまで、声を荒げていた臭くてかなわん悪臭のごときゴブリンにも劣る生物がふらふらとその場から離れていく。

もう一人の方も相方が豹変したことで驚きながら、付いて行く、独りでは何もできぬ自分では何一つ成しえて事がない半端物か…


「ぇ、ぁ」何が起こったのか女性はわかっていない様子だった

「気を付けるんだな」っふ、ここは誉れ高い戦士、かっこよく離れればいいさ


きびつを返して、その場から離れていく…今宵の月は、まん丸だな、この星の月は良い、形と大きさが色が良い、故郷の月を思い出す。


「腹が減ったな・・・」


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