第253話 葛原の手のひらの上
story teller ~桜木先生~
「桜木先生に話があるんですが・・・」
そう言って、話始めた四宮はとても申し訳なさそうだった。
四宮の元カノが文化祭で何か事件を起こすかもしれない。
そんな話をされて、たった1人の高校生が文化祭相手に何かをしでかすなんてにわかには信じられなかった。だが、事情を話す四宮たちの目は真剣だった。それに彼が嘘をつくような生徒ではないと知っている。
どうしたものか。
入場制限を設けるか。もしくは入場希望者の顔写真付きの身分証を確認してから入場させるか。
いや、今更入場を制限しますと告知しようにも、急すぎて校長や教頭は許可しないはずだし、PTAの了承を得るのも間に合わないだろう。それに、過去に行われた文化祭では大勢の人が訪れた履歴があるので、訪れた人一人一人の身分証を確認するのも現実的ではないだろう。
それなら他の先生にも会場の見回りを強化してもらって、俺はなるべく四宮たちの傍から離れないようにする方が圧倒的に楽だ。
よし、そうしようと思い立ち、まずは校長と教頭に話をする為、電話を手に取る。
******
story teller ~斉藤天綺~
昨日に引き続き、原田くんは今日も休んでいた。私の送ったメッセージにも既読はつかない。
実行委員の話があるからと言って、担任の前田先生から聞いた住所を訪ねる。
インターホンを押すと、はーい!と家の中から声が聞こえ、原田くんの母親と思わしき女性が顔を出す。
「こんばんわ。原田幸祐くんの自宅で間違いないでしょうか?」
表札には原田と書かれているが、念の為確認すると、女性はそうですと答える。私の制服を見て、息子と同じ学校に通う生徒だと判断したようで、不審がられている様子はない。
「夕飯時に申し訳ございません。私、幸祐くんと同じクラスの斉藤と言います。幸祐くんはいらっしゃいますか?」
「ご丁寧にどうも。幸祐の母です。幸祐はまだ帰ってきてませんよ?」
やっぱりか。
なんとなく予想はしていたが、やはり彼は登校する振りをして学校を休んでいるようだ。
「そうですか。じゃあこれを渡しておいて貰えますか?幸祐くんは私が渡す前に帰ってしまったもので」
そう言って、言い訳のために用意していた1枚の紙を母親に手渡す。その紙は、昨日の夜私が作っておいた物で、文化祭準備のスケジュールが記載されている。
もし原田くんが学校を休んでいる事を私が伝えたとしたら、きっと彼は親に注意される。そして、私の考えが正しければ、原田くんは葛原さんと会っているはずなので、私まで葛原さんに警戒される可能性がある。そうなると、原田くんを監視するのは難しくなるだろう。
だから、ここに来ると決めた時点で、もし原田くんが自宅に居らず、親に嘘をついていた場合は、その嘘に話を合わせる事にしていた。そして、もちろん、スケジュールの紙は他のクラスメイトにも配ってある。
「あら、わざわざありがとうございます。帰宅したら渡しておきますね」
「お願いします。・・・私はこれで失礼します」
手を振って見送ってくれる原田くんの母親に背を向けて帰路に着く。
******
story teller ~葛原未来~
「優梨愛さんは本当に可愛いですね。素敵です」
原田は昨日まで女性に対して免疫のなさそうな態度だったのに、1日中一緒にいるから慣れたのか、平気でそんなセリフも吐くようになった。
「ありがとう。凄く嬉しい。幸祐もカッコイイよ」
心にもない言葉を原田に浴びせ、彼の首元から胸に手を滑らせる。
彼のやせ細った体には、筋肉どころか必要な脂肪すらもなく、わたしの指が彼のあばら骨の上を波打つように跳ねる。
気持ち悪い。
そう思いながらも、ねぇ、もう1回しよ?と甘えた声で問いかけると、彼の立派とは言えない物が見栄を張るように持ち上がる。
原田は落ちるのが早かった。これであの
は原田を監視し始めるはず。そして、太陽くんたちも同じように原田を疑い始めて、
原田にバレないよう、細く微笑みながら脚を開き、原田を受け入れると、乾いた中が無理やりに擦れて痛みを感じる。
女性に慣れてきたとはいえ、まだこの行為には慣れていないようだ。前戯を教えなかったわたしも悪いが・・・。
これから先、彼と行為に及ぶ女性は可哀想だなと、勝手に想像して、勝手に同情するのだった。
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