学年で1番可愛い子が俺に一目惚れしていた話

第18話 作戦会議

story teller ~秋川堅治~

　あれから何度か夏木さんと話したが、お互いに、言えない、説明出来ないで埒が明かない。

　春風さんの気持ちが分からない以上、太陽に近づくなとは言えないし、太陽と春風さんはそんなオレの気持ちを知らずにどんどん仲良くなっていく。

「どうしたもんか」

　そう呟くと同時に机の上のスマホが鳴る。

　夏木さんからのメッセージだ。

（'夏' やっぱり説明できないの？）

（'堅治' すまないが、オレの口からは言えない。そっちこそ、教えてくれないのか？）

（'夏' それこそ月本人に聞けばいいじゃん）

　ずっと同じようなやりとりが続き、トーク画面が埋まっている。

　本人に聞けと言われても、今の関係的にも聞にくい上に、春風さんと会う時は大抵太陽も一緒なので余計に。

　もし、春風さんが太陽の事を男性として好きだった場合、最終判断は太陽に委ねるが、太陽は優しいから春風さんを拒絶することはしないはず。

　春風さんがあいつと同じかどうかはわからない。でも今の太陽がまだあいつとの事を引きづっているとしたら。

もし必要ならオレが悪役になってでも春風さんを太陽から引き離さないと。

　******

story teller ~四宮太陽~

　調査隊結成の次の日。

　朝起きてからスマホを確認すると、昨日作ったグループチャットの内容をみて驚く。

（'MOON' どうしようか）

（'すず' そうですね。まずは本人たちに直接聞くのがいいんじゃないですか？）

（'MOON' 光が素直に答えてくれるとは思わないんだよなぁ。素直に答えてくれるなら、まずは私たちに相談すると思うし。）

（'すず' 確かに。それもそうですね）

（'MOON' 四宮くんはどう思う？）

（'MOON' 寝ちゃった？）

（'すず' ずっと既読も着きませんし、寝てるかもしれませんね。じゃあ、私か月のどちらかが秋川くんに聞くというのはどうでしょう？）

（'MOON' うーん、それも素直に答えてくれるかどうか）

（'すず' 遊びに誘ったりした時に、それとなく聞くとか？光も一緒だと答えてくれないかもしれませんが、私と月になら相談してくれるかも知れませんし？）

（'MOON' でも光の友だち2人から言い寄られたら、答えにくくないかな？）

（'すず' それなら私か月のどちらか片方が遊びに誘うのはどうですか？）

（'MOON' 私はえっとそのぉ･･･）

（'すず' あっ、では私が誘ってみます）

（'MOON' ありがとう！一応四宮くんも確認してから大丈夫なら誘ってみよ！）

（'すず' そうですね）

　昨日は早めに寝てしまったせいでメッセージを確認できなかった。堅治には花江さんという彼女がいるので、さすがに女の子と2人で遊びにいくのはまずいのではないかと思う。

（'SUN' 2人ともおはよう。昨日は早めに寝ちゃってて、すぐに確認出来なくてごめん。）

（'MOON' 四宮くん、おはよう！大丈夫だよ！私たちの作戦見てくれた？）

（'すず' おはようございます。勝手に話を進めてしまいましたが、どうでしょうか？）

　やっぱり堅治は彼女が居るってことをちゃんと伝えた方がいいよな。

（'SUN' えっと、盛り上がってるところ悪いんだけど、堅治、彼女がいるから女の子と2人で遊ぶのは難しいと思う。）

（'すず' えっ！？そうなんですか！？）

（'MOON' えーーー！そうなの！私たちとも普通に遊んだりするからいないもんだと思ってた）

（'すず' じゃあ別の作戦考えないとですね）

（'MOON' そうだね！なにかいい作戦ないかなー）

　でもなんだかんだ直接聞く以外のいい作戦が思い浮かばず、学校に向かう時間になった。