第13話 四宮家 3
story teller ~春風月~
すっごく面白い!
やっぱりこのシリーズのゲーム、ネットで調べた時も評判が良かったけど、実際やってみるとその面白さがわかる。
ゲーム自体を触るのが初めてではあったものの、ターン制バトル?というシステムを取り入れたゲームらしいので、初心者の私でもゆっくり選択肢を選ぶ事が出来る。
もちろん、困った時にそばで教えてくれる四宮くんのおかげでもあるけれど。
四宮くんの部屋で、四宮くんとゲームしてると一度意識してしまうと操作を間違えてしまう。
顔が熱い気がする。意識しないようにゲームに集中しないと。
そう思えば思うほど、隣に座ってゲーム画面を見つめる四宮くんが気になってしまう。
ゲームが会話パートに入った時に、チラッと四宮くんを見る。
楽しそうな雰囲気ながらも、真剣に画面を見つめる、普段の学校では見られない顔をしていた。
やばい、どうしよう、かっこいいよぉ!!
心臓がバクバクする。
四宮くんに聞こえてないよね?
もう少し四宮くんを見たい、でもバレてしまうかもしれない。
今日はもうゲームに集中することだけに意識を向ける事にした。
******
story teller ~四宮太陽~
パーティ系やレース系。パズル系など、3人で様々なゲームで遊んだ。
対戦ゲームだと操作に慣れてきた頃には夏木さんが勝ち越し、春風さんは負け続ける。
何度か俺がゲームから抜けて、春風さんにアドバイスを出しながら一緒に操作したりもしたが、なぜかそういう時は必ず操作ミスをする。
夏木さんは、お前のせいだよと笑っていたけど、なんのこっちゃ?
気づけば、時間は午後6時過ぎになっていた。
2人が家に来たのが、午前11時頃なので、7時間近くもゲームをしていた事になる。
「そろそろ帰らないとね」
「確かに、思ったより長居しすぎた」
2人がそう口にしてコントローラーを置く。
「家まで送ろうか?」
俺がそう聞くと、まだ明るいから大丈夫だよと2人は答える。
「じゃあ片付けは俺がやっておくから、玄関まで見送るよ」
俺たちはそれぞれ立ち上がり、部屋から出る。と同時に玄関が開く。
「たっだいま〜、母のご帰宅でーす!」
最悪のタイミングだ。
普段なら休みの日に出かけた母さんは、もう少し遅く帰宅する。しかし今日に限って早めに帰ってきたらしい。
「あら、女の子の靴が2足?」
母さんはそう口に出したかと思うと、玄関のすぐそばにある階段の上を見上げる。
「あらあらあら、可愛い女の子が2人も」
春風さんと夏木さんをみて明らかに母さんテンションが上がっている。
______
俺たちは母さんに捕まり、リビングに移動していた。
「初めまして、四宮くんのクラスメイトの春風月といいます。」
「同じく、夏木光です」
「太陽の母の陽子です。いつも太陽がお世話になってます。」
L字型のソファに座り、3人はお互いに自己紹介をしていた。
「ごめんね、月ちゃんと光ちゃんが来るって知ってたらもっとちゃんとおもてなししたのに」
「い、いいえ、お構いなく、こちらもお母様がいらっしゃらないのに勝手にお邪魔してしまって。」
「あらあら、お母様だなんて、もしかして月ちゃんは太陽の彼女なのかしら?」
「へっ!?ち、違いますよ、彼女だなんてそんな」
顔を赤くして春風さんが焦って体の前で手を開き振っている。そんな彼女の横に座る夏木さんは笑いを堪えて肩を揺らしている。
「母さん、春風さんたちに迷惑だから」
「なーんだ、お母さんてっきり、月ちゃんか光ちゃんのどっちかが太陽の彼女だと思ったのに」
どっちもただのクラスメイトだからと言いながら、ケラケラと笑う母さんから目をそらす。
俺なんかの彼女と思われたら2人に迷惑だろうに。
ほら見たことか、春風さんなんて、俯きながら
か、かの、彼女、、、。なんて言っているぞ。
ほんとごめん、春風さん
「でも太陽にも女の子のお友だちがいたのね」
「1ヶ月くらいから少し仲良くさせてもらってるだけだよ」
「そうなのね。あっそうだ!」
母さんがパンっと手を鳴らす。
嫌な予感がする。
「2人とも、うちで晩御飯食べて行きなさい!」
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