第12話 四宮家 2
story teller ~冬草涼~
リビングのソファに座り、テレビをぼーっと眺めていた。
テレビでは最近売れているらしい芸人がドッキリを仕掛けられている映像が流れている。
「お姉ちゃん!チャンネル変えていい?」
今年小学生に上がった弟がそう聞いてくるが、私がいいよという前にチャンネルを変えてしまう。
まぁテレビはつけているだけだったので、チャンネルを変えられても構わない。
それよりも今の私は、今日会ったばかりの男の子の事で頭がいっぱいだった。
第一印象は、イケメンだなとだった。だがそれ以外は特になにも感じなかった。
問題なのは放課後のショッピングモールでの一言。
私は普段、月や光と一緒に居ることが多いので、その言葉を聞く頻度は多い方だ。
でもその言葉が私に向けられる事は非常に少ない。
そのせいなのだろうか。
可愛いと思うぜ
ただその一言で私は彼、秋川堅治の顔が見れなくなった。
自分でも単純だと思うし、彼は社交辞令で言ったのも分かっている。
それでも私は久しぶりに抱くこの感情に抗えなかった。
秋川くんだけじゃなく、月や光にもバレていなかったか気になる。
月と光にはバレても問題はないかもしれないが、やはり久しぶりのこの感情が人にバレるのは少し恥ずかしい。
また一緒に遊んだり出来るだろうか。
******
story teller ~四宮太陽~
「ねぇ、お二人さんが楽しそうなのはいいんだけどさ、さすがに3時間無視され続けるのは暇なんだけど。」
俺と春風さんがモニターに映るゲームに集中してると、後方から夏木さんが声をかけてくる。
「あっ、ごめんなさい。無視してた訳じゃなくて、、、つい楽しくて。」
「いや、別に月は楽しそうにしてたし、いいんだけどさ、四宮まで月ばっかり構うからさ」
「へっ、いや、そんなんじゃなくて、そのアドバイスとかしてたら、、、」
ついつい俺まで一緒になって楽しんでしまっていた。
少しアドバイスをする予定が久しぶりに起動したゲームだったためにストーリーにのめり込んでしまった。
「はいはい、一応わたしもいる訳だし、2人だけでイチャイチャしないでよね」
「イ、イチャイチャなんてしてないよ!?ねっ?四宮くん!」
「そっ、そうだよ、夏木さん!イチャイチャとかしてないし!」
夏木さんが変なことをいうから、春風さんが真っ赤になって俺に同意を求める。俺もそれに乗っかって否定する。
「そ、そうだ、じゃあ次は3人で一緒にできる対戦ゲームとかしよっか」
俺は恥ずかしさを誤魔化すように壁際にある本棚に並べてあるゲームの中から有名なレースゲームを取り出す。
「あっそのゲームなら知ってる。兄ちゃんがやってるの見たや」
「夏木さんって、お兄さんがいるんだ」
「あれ?言ってなかった?大学生の兄ちゃんがいるよ」
よかった、話題が逸れた。そう思い、そうなんだーと返す。
そのまま先程のゲーム機から入っていたゲームディスクを取り出し、手に持っているレースゲームのディスクを入れる。
モニターの下にあるコントローラーを2台取りだし、夏木さんにも渡す。
「操作わからないんだけど」
そういう夏木さんの横に座り、体を近づけてコントローラーを覗き込むと。
「わ、私も操作わかりません!」
急に大きな声で春風さんが宣言してくる。
少しびっくりしてコントローラーから目線を上に上げると、頬を膨らませた春風さんが目にうつる。
なにこれ、可愛い。
「ちょっと待ってね、夏木さんに教えてから春風さんにも教えるから」
「ごめんごめん月。四宮、わたしはやりながら覚えるからさ、月に教えてやって」
夏木さんはクスクス笑いながらそう言ってくる。
そんな夏木さんをみて、むーと余計に頬を膨らませている。
じゃあと春風さんの横に座りると、よろしくお願いします。と春風さん。
コントローラーを覗き込む為に体を近づけ、春風さんに操作方法を教える。
後ろで笑っている夏木さんが気になるが気にしないでおこう。
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