第8話
私は、意識が朦朧とする中で葉月の声を聞いた。きっと幻聴だろう。そろそろ私にも死期が近づいているのかな?なんて馬鹿な事を考えながら、葉月がお見舞いに来てくれたことを嬉しく思っていた。
でも、体中あちこち痛くてベットから起き上がれない。とりあえず、部屋まで葉月が来るのを待とうか、メッセージでも送ってみる?でも、同じ家の中にいるのにそれは変かな。
私は隣の部屋の扉が開く音がしたので大人しく待つ事にした。
『みのりちゃん。大丈夫?』
『.......ん』
『とりあえず、スポーツドリンクとプリン買って来たけど食べる?』
『............ん』
葉月が何か言ってるみたいだけど、何を言っているのかいまいち分からない。相当やばいな私。
『お口開けれる?』
『.......んー』
『ほら、あーん』
口の中に冷たい感覚のものが入ってきた。ひんやりしてて、気持ちいい。今は、とにかく冷たいものが欲しかったので葉月の手を掴んで自分の頬に当てた。
『み、みのりちゃん!?あ、そうか。頭冷やさないとね』
頬に当てていた葉月の手が離れて行きそうになったので思わずギュと引っ張ってしまった。その拍子に葉月が私に覆いかぶさる形になった。
『....どこにも、いかないで....』
『.......大丈夫!どこにも行かない。ずっとそばにいるよ』
その言葉を聞いて安心したのか、それとも体力の限界だったのか私の意識はそこで途切れた。
んー、頭が痛い。ちょっとはマシになったけどまだ痛む。ぼんやりとした意識の中ようやく覚醒した私が見た光景はまず、私の手を握って眠っている葉月の姿だった。
『確か葉月がお見舞いに来てくれて、それで.....』
だんだん思い出してくる恥ずかしい記憶。ベットのうえでやってしまったと悶える。いくら体調が悪くなっていたからって大胆すぎだろ私。
まぁでも、葉月が居てくれたおかげで良くなったしいっか。なんて考えていたら、葉月の瞼が若干あいた。
『おはよ』
『....おはよう....。元気になったんだ。良かった』
『おかげさまで』
時刻はもう10時半と可愛い葉月を1人で返すには少し心配な時間だ。明日は土曜日なので今日は、家に泊まって行ってもらおう。
『もう遅いから今日は泊まっていきなよ』
『うん!そうする』
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