第5話

『2人組でペアをつくれー』


先生が、授業が始まるなりそう言った。

私は適当にペアを作ってペアで固まっていたが、どうやら葉月がまだペアを見つけられていないようだ。


私は、ペアの子に謝って葉月の方へ行った。


『葉月、一緒にペア組もう』

『でも....もう、みのりちゃんにはペアがいるんじゃ』

『いないから来たんだよ』


私がそう言うと、途端に葉月の表情は明るくなった。葉月が笑うと自然に私も口角が上がり、笑顔になる。

やっぱり葉月は人を笑顔にする魔法使いなのかな?と内心本気でそう思ってしまった。


今日の体育は50m走をするらしい。

ペアの子と交互にタイムを測る

一番最初は私が走る


『位置について、よーい、....どん!』


その合図で私は思いっきり地面を蹴って走り出した。運動は勉強に比べたらまだ出来るほうなので自信はある。


記録は7.7秒まぁまぁの記録だ。


『すごいよ!みのりちゃん』

『これくらい普通だよ。』

『次、私の番だから応援しててね!』

『わかった。』


まぁ、どっちみち私は計測するので見ないといけないんだけどね。


葉月のタイムは10.5秒だった。

うん。遅い、思ってた以上に遅い。


『やっぱり、運動ってキツいねー、全然走れないやー』

『そんな事ないよ、葉月は顎が上がり過ぎてるから走りにくいだけだよ』

『そっか、ありがと』


葉月は小さい頃から運動だけは、苦手だった。でも、もう少し努力すれば上手くなるのだけれど。


『葉月、顔に汗がついてる』

『え?どこ?』

『ここだよ』


私は葉月の顔についていた汗をタオルで拭き取った。

すると、途端に葉月の顔が赤くなった。


『みのりちゃん、そういう事誰にでもしないでね』

『いや、葉月にしかしないけど』

『ホントそう言う所だからね.....//』


葉月は、足早に更衣室へ戻ってしまった

何か気に触ったのだろうか。

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