第10話「大丈夫と」

生きるのが怖いから

死にたいと思ってしまう

それでも死が最善策ではないと知ってる

でも僕に生きろなんて

無責任だ


君は僕じゃないのに

どうしてそんな事が言えるんだ

この孤独を

使いまわされた粗悪品を

君は何故泣きながら

大丈夫?なんて、言ってくるんだ


君が泣くから

僕は慌ててしまって

大丈夫だよ、なんて思ってもないこと言ってしまう


ああ、君はほんとに罪作りだ

死にたい僕に

あまりにもまぶしすぎる光だ


君のためにまた一日生きてしまった

ああ、これじゃいつ死ねるか分からない

この肥大化した傷跡を

この無法地帯のように蔑まれる現実を


ただ君も直感してて

その痛みを一緒に考えてくれる君が

あまりに優しすぎて

僕はもらい泣きしてしまう


ああ、君は本当に優しい

ありがとう、

まだ終わるには早すぎるかもしれない


君の言った大丈夫って言葉に

いつか辿り着くために


生きてみるよ。

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