第6話「死刑台へ」

生きてさえいれば

やがて幸せになれると

何を根拠に言ってんだと

ただ憤りを覚え


全て壊してやった


誰もいない市街地

動かなくなった父

もうゼロにして


コンクリートを殴り続ける

血みどろになった体躯が

それでも綺麗な血を流すから


腹を搔っ捌いて

黒いはらわたで

ブラッドオレンジを飲んだ


ああ、この世界に

なぜ生きねばいけないか

その説明を神に迫るが


神さえ道楽の一種に我々を作ったと

無責任な事を言い出し

だったらあんたの力で人類を滅ぼせと


祭壇にナイフを添えたが

それさえ傲慢に

働かない神だった


僕らは生きる偉大さに

死ねる幸福に


ただ命を使い果たしていく

だったら生まれる前に

殺してくれと


それを法律にして人類を終わらせろと

バカな願いを言い放ったが

およそ世界には響かなかった


だったらこっちから

一人残らず殺してやると

核兵器のスイッチを押したが


人は抗い

僕は捕まり


ただ監獄の中で

やっぱ人って臆病なんだと

死刑台に上った。

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