どこにもない駅

なんと純度の高い悲しみだろう

こんなに空が高い町にいたら

わたしの悲しみはさらに純度を高めて

どうしようもなくなる

映画に共鳴して

劇場を飛び出すしかなくなる

跡形もなく消えてなくなりたい

わたしを通りすがりの人間として

認識してくれ

勝手に失望されるのはもう懲り懲りだ

泣いて悲しみを証明しなければならなかった

泣かなければ悲しみは

存在しないことと扱われた

もうとにかく切符を切ってくれ

もうここにはいられない

どこにもいたくない

とにかく遠い場所へ

どこまでも行ける切符に鋏を入れて

どこにも終点のない路線に

どこにもない駅に

わたしは早く辿り着きたい

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