雪の涙
雪になれるのだとあなたは言った
小川の底より澄んだ空から降ってきて
私の瞼にひとたび腰を下ろすと
代わりに涙として目尻から流れてやろうと
あなたは言って、雪になってしまった
どうして冬はこうも悲しいことばかり
あなたのことばかり思い出すのか
何もうまくいかないばかりか
私はあなたがいなければ何もできなかった
鏡を見ると泣いているように見えるのに
どうしてレンズには瞳の水が映らない
善い人になりたいんじゃないけれども
善い人になるしか生きる道はなかった
許されなかった許せなかった
生死に大した意味などないと知ってるのに
そればかり考え続けてきたものだから
それでしか人と繋がれなかった
誰も死を見つめてなどいなかった
あなたが雪になっても生きなければならない
私の日々は望まなくとも続いてしまう
これほどにも辛いことが他にあるか
ああ、もっとたくさん降ってきてくれ
私の上に、天から花のように降ってきてくれ
そうして私の代わりに
叫ぶことすらできない私の代わりに
泣いておくれ
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