追放宣言されましたので、受け入れて国捨てます~わたくし、国を守ってる聖女なのですがねえ~

蒼本栗谷

ご機嫌よう。さようなら

「アリシャ! お前、何てことをしてくれたんだ!!」

「あらあらあらあら?」

「うぅ……アリシャ様が、うぅぅ……」


 あら~なんと可哀想な子。わたくし、ただ一人でワイン飲みを楽しんでいたのですが、この可哀想な子がわたくしに突っかかってきて、正論を言ったら泣き出してしまいましたわ。

 

「わたくし、正論を言っただけですわ~」

「嘘を言うな! 彼女はこの国を安定してくれる聖女、メアリだぞ!!」

「だからなんです? わたくしに関係あります?」


 う~ん、あの子がまともに聖女をしてる様子、見た事ないのですが。結界を貼ってる様子もありませんし……あの子がしてる事と言えば、色んな人に恋仕掛けしてるだけでは?

 だからわたくしは言ったのですわ。聖女の役目をしていない貴方にわたくしに文句を言えるのですか? と。

 そしたらそれは面白かったですわ。顔を真っ赤にして泣き出したの。本当、可哀想な子。

 何処かで拾われた子らしいですが、聖女の力を使わなければ意味ないと思うのです。


「アリシャ! 聞いているのか!」

「ん~? 申し訳ありません、聞いていませんでしたわ~」

「おっ、まえ……!!」

「で? その可哀想な~……メアリさんが何ですって?」

「あ、謝ってください! 今なら許します!」


 許します? 何を言っているのかしらこの子は。わたくしが謝る必要性は一つもありませんわ。だってわたくし、正論しか言ってないのですよ?

 そしてあの子は口だけの可哀想な子。あら~? わたくしが謝る事何もないわね~?


「ふふ、可哀想な子。口だけ達者ねえ~」

「アリシャ!! いい加減にしろ!!」

「いい加減に? それはそこの子に言うべき事では? 聖女の仕事をまっとうにこなしてない、可哀想な子……に、ね?」

「アリシャ! もういい! お前はここから出ていけ! もう俺達の前に姿を現すな! そしてこの国にもう来るな!」

「あらあら。いいのですの? 困りますわよ?」

「黙れ! さっさと出ていけ!」


 あらあらあらあら。頭に血が上ってまともな判断が出来ていないのかしら? なんて可哀想。

 

「ふふ、分かりましたわ。皆様ご機嫌よう。さようなら」


 聖女の力をもう使わなくていいなら受け入れますわ~~。早くお家に帰りましょう!

 ああ! 久々に帰れる! お父様とお母様、どんな反応してくれるかしら、強い聖女、ちゃんといるかしら?

 あら?


「そこの可哀想な子。泣くなら最後まで泣きなさい~。笑ってる顔が見え見えですわ~~」

「っ……!!」

「それじゃあ、今度こそさようなら~~」


<>


「おとっうさま~~!! アリシャ、只今帰宅しましたわ~~」

「――アリシャ!? どうしたんだ、何があった?」

「追放されました。わたくし、国に強力な結界を貼っていたのですがねえ。あの国の人達は見る目がないようですわ」


 ああ本当、笑いが込み上げてきますわ! あの国はもう駄目でしょうねえ。ただでさえ沢山の聖女で国を守っていたのに、今はあの可哀想な聖女しかいませんもの。

 あの子が国に強力な結界を貼っていると勘違いしてしまっていますもの。わたくしとあの子は同期、ですから。

 

「そうか。アリシャ、おかえり。あの国とはもう関わらないでおこう」

「ただいま。そうですわね。国にもう来るなと言われましたし。さあ、結界を貼りましょうねえ」


 何も気にしなくて済む楽しい日々が戻ってきましたわ~~~!!!!


<>


「アリシャ様。こちら手紙が届いております」

「あら~? 誰からかしら?」


 何かしら~? あら、これは……あの国の手紙ですわ。全く、何のようなのでしょう?

 何々……? 国に帰って来てくれ……ですって? 国に魔物が入ってきて大変……あら~。あの女は役立たずだった。

 

「やっぱり、こうなりましたわね~。でも戻りませんわ~~~!!!」


 びりびりっと手紙を破いちゃいましょう!

 こんなものもう興味ありませんわ~~~!!


「さあ! お茶会の準備をしましょう! この街の聖女達を集めてきなさい。たっっくさん楽しみますわよ~~~!!!」


 ああ! 今日も楽しい!

 

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追放宣言されましたので、受け入れて国捨てます~わたくし、国を守ってる聖女なのですがねえ~ 蒼本栗谷 @aomoto_kuriya

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