第4話 見た目重視の攻略法

 古今東西、かっこいい男や可愛い女がモテるのだ。これは仕方のないことである。みんな見た目がいい方がいいに決まっている。それを重視するかしないかは差があったとしても無視することはほとんどないだろう。逆に中身が多少残念だったとしても許されることがあるのだ。


 理由は顔が好み。こんな単純なことは珍しくはない。人の印象は55%が見た目の法則もあるそうだが、視覚情報は8割くらいを占め聴覚が1割で、あとは残りと言った感じだ。目から入る情報の重要性は否定できない。そして合否の判断もコンマ何秒という世界だ。正直、合コン等で当たり外れは一瞬で決まっている。出会って数秒で仲良くなれそうな雰囲気が無ければその後に頑張ってもあまり上手くいかないことの方が多いだろう。


 例えば余るほどお金を持っているとか、ずば抜けてトークが上手いとかでもなければポイントがプラスに加算されていくことは少ない。逆にちょっとでも気に入らなければ減点されて、耐えられなければ最悪の場合強制的に退場させられる。


 さらに言えば見た目はほぼ生まれ持ったものが大きい。足が長いとか顔が小さいとか、条件を細かく言う人ほど努力ではどうしようもない部分について要求してくる。好きな芸能人やアイドル基準でハードルを設定してくる。相手が一般人ならまずそんな特別な容姿の人間に出会うことはないだろう。


 でも心配する必要はない。そんな見た目だけを求める人は多くはない。よっぽど惚れてしまって何とかしたいと思っている手遅れ状態でもなければ関わらないで、確率の高い別の人を狙った方が確実である。良いに越したことはないが、自分と同レベルを求めることが多いだけで、ベストを要求する人間は少ない。選択肢が少ない場合に妥協することを覚えるのだ。


 とは言え自分と同レベルを要求する人は少なくない。最低限これくらいの服という基準は無意識で持っているものだ。見た目の重要性でも説明したが、着ている服のブランドや価格帯くらいは予想が付くし、コストや気を使っているかのチェックは入るのである。


 見た目を重要視しない人種と言えど、まるで気を使っていないようなくたびれた服装で会いに来たと思われれば安く見られていると拒否されることだろう。最低限のアドバイスは清潔感があることと一般的には言われている。安くても新しくて奇麗な服を着ていたら多少はマシだろう。


 無理にカラフルな組み合わせにするよりも、無難にモノトーンで落ち着いた色の方が減点は少ないのかもしれない。お店で展示してある組み合わせをまとめて買ってしまうのも手である。あとはトーク力を磨くか、札束でも撒いておけばいい。


 そんなのを全て覆すのが生まれ持ったものだ。かっこいい人間に何を着せてもかっこよく見えてしまうなんてチートは現実でも良くあることだ。私の美貌はこの学園でも飛びぬけていてトップクラス。ほとんどの人が見た目について要求してくる中で、問題なくその基準を軽々超えている。


 デートに誘えば断られることはないし、ちょっと優しくすればすぐにときめいてくれる。百発百中とはいかなくても容姿を磨くのは悪いことではないよ。

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