第3話 完璧容姿の未来人

 楽勝と言えば楽勝。女性から要求されるスペックはほぼ超えているステータス。人生イージーモードとはよく言ったものだ。声を掛ければ女性が振り向いてくれる。誘えば断られることはほぼない。それに加え未来の記憶を備え、相手の情報を把握している。次に起こることとその対処法について私は知っている。


 もう十分チートだと思っても実はこれ以上の能力を持っている。時間を巻き戻す力があるのだ。好きなタイミングの記憶に好きなタイミングで移動できる。約15個――それがおそらく私が保持できる記憶の数だ。使用した時の副作用などは今のところ分かってない。


 これだけあればプレイスタイルも変わってくる。難易度の高そうな幼馴染の攻略は進めつつ、全ての女性と上手くやろうじゃないか。余裕からくる「舐めプ」である。王道は攻略対象以外を出現させないというもの――。


 システムの壁。この世界における最大の障害――それは制限されたものは一切融通が利かないことだ。記憶の力によって13人の女性が存在していることは知っているのだ。そしてその出会い方も当然知っている。だがそれ以外では絶対に出会うことはできない。その条件とは?


 平日に特定の行動をするのが共通する。部活に行ったり、勉強したり、絵を描いたり、運動したり普通に暮らしていると出会うことには苦労しないだろう。逆に出会い過ぎることを普通は懸念するのが、そこは問題ない。


 まあ考えていても仕方がない。まずは学生生活を楽しもうじゃないか。誰か知らないがせっかく与えてくれた恋愛の機会をじっくり味わわせてもらう。一人一人出会うことから始めるとするか。


 まずは容姿を気にする美人から、早速おしゃれに気を使ってみる。完璧容姿の私にはこれ以上良くなることはないのだけれど……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る