【18・パン続】

 二次発酵をさせている間に、マスカさんにはホーンラビットの肉をミンチにしてハンバーグパテを作ってもらった。


 僕はとって置いた元ダネを使って食パン作り。食パンといえば、型を作ってもらうのに苦労したよ。なんせ、薄くて熱伝導が良くないとダメだからさ。


 切って丸めて型に並べて二次発酵するだけ。焼き上がりのタイミングが丸パンと違うだけ。


 そして、二次発酵をさせていた食パン、丸パン共に熱して置いたオーブンもどきに入れた。しばらくすると、小麦の焼けるいい匂いがして来てた。



「……これで、上手く焼ければいいなぁ」


「ここまで上手く出来たのですから、大丈夫ですよ」


「うん。あ!そろそろ型に入ってるパンは出すね」



 パン屋としての勘で食パンを出して台で叩くとコロンと食パンが出てきた。


 ぉおー!食パンだ!



「おぉ……す、少し冷めてから切ろう」



 感動しちゃったけど、まだ早い。次は丸パンだ!



「坊ちゃん、こっちもいい具合だと思いますよ」



 マスカさんの言葉にオーブンを覗くと焼き目が着いてこんがりしてるのが見えたので、すかさず、布巾を渡した。



「はい!こっちに置いて!」



 台に置いてもらった丸パンを見ると、こっちもいい出来上がりだ。



「一個だけ味見しよっか」


「え?いいんですか?」


「勿論!作った人の特権だよ!」



 食パンを切って端の一切れ、丸パンを一つ。それぞれを2人で半分にしていざ試食!



「「う、美味いっ!!」」


「やった!成功だ!」


「こ、これが、坊ちゃんの言っていたふわふわ柔らかパン!凄いです!今まで食べてきたパンの中で間違いなく一番です!」



 初めて作るパンが、こんなにも上手く出来るとは思わなかったから、余計に嬉しい。味はシンプルでも、発酵が上手く出来ていて、ちゃんとふわふわ柔らかになってる。


 マスカさん、感動し過ぎだけど、そんなに喜んでくれたなら苦労したかいがあるよ。


 これが、食べたかったんだー!うぅっ……。ここまで、長かった……。



「頑張ったかいがありましたね!」


「うん!さぁ、サンドイッチも仕上げるよ!」



 勢いに乗って千切りキャベツならぬ千切りキャベッツ。ハンバーグのタレとして、デミグラスソースもどきも作って食パンに挟んだり、ジャムや他の昼食の準備もスピードをあげて手分けして用意した。


 そして、今日は天気がいいからと庭を眺められるテラスにそれぞれを乗せていざ、皆の元へ!!


 皆、びっくりしたり、喜んでくれるかなぁー?


 そんなことを思いつつ、僕は皆が待っているテラスへと向かったのだった。

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