第1単位 留年確定の男

「知らない天井…」


ここ病院だよな。軽トラに轢かれて運ばれてきたのか…


「それにしたって寒いな。まだ夏だろ。にしてものどが渇いたな」

 ちょっと水分補給がてら散策しますか」


「(よっこらせっと)」と心の中で呟きながら立ち上がったとき違和感に気づいた。


「なんか怪我無くね。それに身長も伸びてね…」


カレンダーその文字が頭を巡り警鐘を鳴らした。


「か、カレンダー見ないと」


ふらりと前に進む。その瞬間ときだった。

ブチッ 腕に擬音が走っていく。

「いってぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇえええええ!!!」

点滴の針がブチっと外れた。


・・・・・・・・・・・・・・・・

「しるべくん、急に動いちゃダメでしょ」

「はい…すいません」

「そりゃあね起きたらもう受験もおわってて、3月なんて聞いたら焦るだろうけど、

 体は資本、大切にしないとね。親御さんもそろそろ来るからね」


家族が来てくれると聞いて少しだけおちついt、ぇ今何て言った?。


「今、なんて言いました?」

「え?親御さんもうそろそろ来るよ」

「いやその前」


冷や汗が全力疾走している。


「だからね、体を大切にしなさいって」

「いやその前!」

「受験も終わってもう三月だかr」

「僕がこの病院来てからどのぐらいですか…」

食い気味に聞いた。

「一年と七か月よ。もしかして伝えられてない?」



「あははははははははははははは…

 アバbbbbbっばばばっばヴぁばばばばばば!」


その日僕はバグった。



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息子の目覚めの知らせが届いて、会社の前でタクシーを捕まえて全力で来た。

早く息子の元気な顔を見たい、その一心だった

「あっどうもこんにちは。しるべくんのお母さまですね。しるべくんがお目覚めに

なりましたよ!病室までご案内します」

「いつもの病室じゃないの!?何かあったの!?」

少し声を荒げすぎた、けどそれでもこの焦りは収まらない。

「健康面では問題はないのですが…え~っとですね。とりあえずついてきて

ください」


看護師さんも私の気持ちを汲み取ってか小走りで案内してくれた。

冷や汗が止まらなかった。いつも軽口ばかり叩いていたしるべの顔が見たい。

無事に家に帰れたら家族みんなで写真を撮ろう、なんてことを思いながら

病室にたどり着いた。


ガラッ





「あばばばばばっばばbっばばbbbっばばばばばっばばっばばっばっばばば

中卒だ~い!オワコンやな~ぁぁぁぁ⤴就職就職就職チャチャチャ」

「あんた何してんの」

母さんの声がする。そうかようやく俺もそっち側に行けるんだね…パヂンッ

「ブフィォ!母さんなんでここに!?っていうか今ビンタしたよね!?

さすがに親といえどいまのはないとおm」

「まったくもぉぉ心配させてぇぇ」

かなりきつめに抱きしめられた。この年になるとさすがに恥ずかしい。

「ちょっと母さんそんなに泣かないでよ」

「よかったですね~」

看護師さんも少しはなだめてくださいよ、なんて思う。いやいまはそんなことより。

「母さん、残り数週間だけどさ卒業したら就職するよ。受験も終わったしうちもまだ貧しいままでしょ。働いてせめて入院費ぐらいは稼ぐよ。

「え゛?それなら心配いらないわよ゛。教育委員会にお願いして3年からだけど

やり直せるようにしても゛らっだがら゛」

涙と鼻水で顔がすごいことになっt って、ん?

「3年から?」

「うん」

「留年」

「やり直しだよ。ある意味留年」


「へ~~~~~~~~~~~




あばっばばばばっばばばばばばばばばばばばあばばばばっばばばばばばばばばばばっばばばっばばばばあっばばあっばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばっばば」


ってな感じで留年しました。








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バトルし始めるのかなり先になりそう。

by作者












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