第13話 仙域創造
午後は、まず座禅をさせられ、精神集中の練習。
次に気の循環、練りあげ方を練習。
目を閉じたままで周囲の気配を探る。と、昨日の様に目で見ていないのに周囲の様子が頭の中に現れて来る。
意識を向けると武道場の外の様子も手に取る様に分かる。
体を巡る気の流れ、身の回りに渦巻く師匠の仙気が手に取るように感じられた。
師匠の仙域にいる限り、他の仙人は仙術を使うことは出来ない(師匠の中に居るのだから当たり前か?!)
ただひたすら体術、精神集中、気の練り上げを練習する。
現し世に戻った時、仙域創造、拡張に必要だということで、一ヶ月休まず修練を続けさせられた。
ひと月後、やっと現し世へ戻る許可が出た。
そういえば、結城先輩は既に自分の仙域を持っていて、師匠の下へは本当に修練の為だけに通っているそうだ。
さて、許可もらったんで帰るとするか。
現し世へも、師匠の仙域へも移動した瞬間に戻ってこれるので蒼への挨拶は必要ないな。
と言うか、わざわざ許可貰わなくても時間のロス無しで移動出来るんだよな。
じゃあ、これまでも戻ってよかったんちゃう?
でも、言ったり来たりを繰り返してたら時間感覚がめちゃくちゃになりそうだ。
武道場からあの鳥居の広場へ向う。転移門はあの広場中央だ。
さて山の家へ帰るとするか。
広場の中央の輝く柱の中に入っていくと、そこは懐かしい山の家。 襖を背後に茶の間に立っていた。
ふと、本当にじっちゃんの家か? 師匠の仙域に出発した僕らが生きてきた世界に戻って来たのかとの疑問が湧いた。
師匠の話、仙域での経験から、世界は無数の時空間が絡み合う多元宇宙だということ、僕と結城先輩、蒼の出身時空がそれぞれ異なる事などから、非常に疑り深くなって当たり前だ。
時計の時間、テレビのニュースを確認して出発した日時に帰ってきた事に間違い無いことを確認。
そして、テーブルの上の湯呑み、急須はまだ温かい。
ほぼ僕の現し世に帰ってきたのは間違いなさそうだ。
とりあえず湯呑みと急須を洗い、玄関から外に出て夜の空を眺めることにした。
師匠の仙域に入った時から、視力がものすごく良くなっているのを感じていたが、星を見て再確認できた。
全天の星が降るように空を覆っていた。六等星どころか七等星まで見えてるんじゃないか?
仙人になると、こんな風に見えるんだ。
山の木々から淡い光が出ているのも見える。 空を飛び交う光は妖精、精霊とかの自然霊達か?
一つの光がこちらへ近づいてくる。光の中に小さな人影の様なものが見える。妖精と呼ばれる者達の一体だろう。僕の周りを一廻り回ったらまた戻っていった。
さて、仙域創造とやらに挑戦してみようか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます