第11話 拝領屋敷

橋を渡るとすぐ左手の屋敷二棟が、じっちゃん達。 対面の右手が結城さんの、そして僕がもらった屋敷は結城さんの隣になる。


屋敷の操作は僕に調整してあるそうなので、念じれば門や扉は自動ドア宜しく開閉してくれると教えられた。


みんなと別れて門の前に立つ。

開けゴマでいいのか?

あ、師匠の真似をしよう。 右手を上げて開けと念じてみた。 ゆっくりと門が開いてゆく。感動だ!


屋敷の中は、奇麗に整っている。掃除が行き届いている玄関から廊下に上がり、屋敷の中を探検しようと歩き始めた。

と、奥から誰かが走ってくる。 子供のようだ?

「お帰りなさいませ!」

彼女は僕の前に来るとちょんと正座をして頭を下げた。


「はいっ?」


僕の声に彼女は

「私はこの屋敷のお手伝いを申しつかっている蒼といいます。新しいご主人様ですね?」


ドギマギしながら挨拶を返す。

「よ、宜しくお願いします。 相良泰光です」


彼女は微笑みながら、返事する。

「宜しくお願いします。 この屋敷内の管理は任せてください。 頑張ります」


彼女、蒼は僕の世界とは異なる世界で生まれ両親と共に師匠の仙域に招聘された。

街外れの呉服店で育った彼女は、15歳になったので成人して不老不死の存在に成るまでの間、色々な仕事を経験しているとの事。

師匠の世界では、子供は大人になるため輪廻転生の形で招聘され、大人になると希望者は不老不死を与えられるそうだ。

もし大人なる前に事故などで輪廻転生する事態になった場合、一般人として不老不死を望まない人達の間の子供として転生できる。

ただし師匠の世界の魂の数は外から招聘しない限り増えない為、冥界にて魂のクリーニングを終えないと子供として誕生出来ない。

しかし冥界時代は十分長いので、知り合いが生まれ変わってくるインシデントは防がれているそうだ。


蒼が茶漬けの準備をしてくれた。

アルコールが抜けていないので、お風呂は明日にした。

居間で茶漬けをいただき、歯を磨き寝室へ。


「おやすみなさい」

蒼が襖を閉めて下がる。


なんか流れに任せてしまいこんなところまで来てしまった。 明日はどうなることやら・・・

今日一日のことを思い出していたらいつの間にか眠っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る