第5話 あんた誰?

不思議体験はここから始まる。


うつらうつらしていた時、頭の上側になる縁側を歩く足音が聞こえた。

奥の座敷側からこちらに歩いてくる足音。

足音はちょうど頭の上の場所、障子を挟んだ縁側でとまった・・・

家には僕しかいないはず。鍵はかけているので、誰かが入ってこれるはずはない!


思わず声を上げて飛び起き、僕は障子を勢いよく押し開いた!!


そこには・・・誰もいなかった。


夢か、勘違い?


いやいや、眠りに入りかけていたけどまだ意識はしっかりしてたから、夢やなにかの聞き間違いでは決して無い。

たしかに誰かが縁側を歩いていた!


流石にそれからしばらくは寝られなかった。

一応、各部屋の明かりを点けて一廻りして誰もいないことを確認。


じっちゃんがいた頃は、こんな事は無かった。

何だったんだ?


しばらく起きていたが、それからはなにも起きそうにないので、改めて布団に横になり僕は眠りについた。


僕の冒険の始まりは、まず小手調べのようなこの事件から始まった。


じっちゃんが生きていた頃よく泊まりに行ってたんだけど、一度も怪奇現象に出くわしたことなぞなかった。

それなのに、初日、二日と自分以外に誰かがいる気配に悩まされ続けた僕は、ついに屋根裏部屋から床下まで確認する大捜索作戦を発動した。


一日かけて、鍵の状態を含めて各出入り口の確認、壁や屋根などに生き物の入ってくる穴などがないか、劣化したところなどないかチェックしたが、結局異常な所は見つからなかった。


じっちゃん家に来て三日目の晩、夕食の茶碗類を洗ったあとテレビを見ながらぼんやりしていた時、視界の隅に一瞬人の影のような物が横切った!


慌てて確認のため、奥の居間に飛び込んだが、明かりを点けた八畳間はがらんとして一瞬見えた人影は微塵も無かった。


確かに何がいる気配は感じるが、なかなかその何かが判らない気持ち悪さに気が滅入った僕だった。


が、振り返ると茶の間のテーブルの横に、一人の男が座っている・・・お茶を自分でさしながらまったりとした様子で寛いでいた。


え?

あんた誰?

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