⑤二度目の挑戦はどうなる?

「私がこれからかけるのは、『好きな人に会えなくなる呪い』よ。これはとても強い呪い。呪いを解く方法がまだ見つかっていないの。乗り越えられるかしら?」


「我が愛は燃え盛る炎より熱く——」


「じゃあ、かけるわね」


 俺のララーノへの熱い想いは皆まで語らせてもらえなかった。言い直そうとしたときに、突如目の前に現れた闇に飲まれる。ああ、この感覚、懐かしい。前の呪いをかけられたときもこうだった。


「これであなたには呪いがかかった。さあ、ララーノはこの扉の奥にいるわよ。会いに行ってみたら?」


 くつくつ笑って、ラナーバは言う。言われずともだ。闇が晴れた途端に俺は、力強く一歩踏み出した。そのときだ。


 ぽとりと、そんな音がした気がした。頬に生ぬるい感覚がある。なんだ? 指で触れてみた。直後、俺は絶叫する。


「うわああああー!」


 指に付着したのは、紛れもなく鳥の糞だった。この俺の美貌に粗相なんて、いかに鳥類と言えど、どういう神経をしていたらそんな罪深き行いができるというのか!


「あははっ、最高!」


 ラナーバは腹を抱えて笑っている。あまりの出来事に呆然としていた俺は、その笑いが止むまで立ち尽くし続けることになった。


「ねえ、その顔で最愛のララーノに会いに行くの? 燃え盛る炎より熱く愛しているララーノに? 鳥の糞がついた無様な顔で?」


 鳥の糞を女につけてやりたいと思ったのは初めてだ。そもそもそんな状況に陥ることなど普通はないのだろうが。


「これより我は帰還し、この穢れた身を神に祝福されし聖水で清め、再び来訪せん!」


 家に帰ってシャワーを浴びてからまた来る、という言葉がこうなるのは流石の俺でも恥ずかしい。とにかく今はこの糞をどうにかしよう。俺は一目散に家へと帰還した。


 次こそは必ずや、ララーノと会いおおせると誓って。


(問)想い人に会う二度目の挑戦は、どんな風に失敗する?

(期限)2023年12月19日(火)23:59

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