目の前で百合っ娘に胸を揉まれ続ける幼馴染
「阪口先輩、小田ちゃんこんにちは~」
プールに響いた高音の元気な挨拶。百合っ娘こと、
「おう」
「こ、こんにちは」
「あ、阪口先輩! そのまま動かないでもらえると助かります!」
ふむ。雪路は氏姫をロックオンってことか。俺を膝枕してるからすぐには逃げられないと思ったんだろうな。氏姫はどっかの義妹と違って、俺の頭を振り払って立ち上がるようなことは絶対にしないだろうし。
いや、そもそも二葉は膝枕なんてしてくれな――微妙なとこか? 交換条件を出されるだろうけど、割としてくれそうな気が……あの性格だけどブラコン気味だし、向こうからのスキンシップは意外とあるな。そう考えると可能性はゼロじゃないのか。まぁ俺は迷わずに氏姫の太ももを選ぶけど。
「わたしはシャワー浴びてくるわね」
そしてさっさと逃げ出す二葉と。あっという間にシャワーや更衣室がある方へ歩いて行ってしまう。
「ひっ、か、一樹くん、そろそろまたプールに入りたい気分なんですけど」
場の空気を敏感に察して同じく逃げ出そうとする氏姫。申し訳ないが……このままで。雪路が更衣室で二葉を相手に狙ったのが胸ということは、今日はそういう気分なんだろう。
とくればだ……このまま膝枕されていれば俺は特等席で見られるって訳だ。
「もうちょっとだけ膝枕してくれると嬉しい。氏姫の太もも落ち着くし」
邪な意図も多分に含むとは言え、これも俺の本心に違いない。氏姫のお尻から脚にかけての肉付き具合が……好みのド真ん中なんです……。
「うぅ……それは構わないんですけど……いまは困るって言いますかぁ……」
だからこそ、氏姫は困ってる。彼女としても膝枕をすること自体は満更でもないからだ。ただ、別の危機が迫っているから悩んでいる。自分が動けない状況でやる気モードに入っている雪路に近づかれた場合に受ける被害と膝枕を比べた結果、一旦は逃げを選びたいと。
しかし、俺が内心でこれからセクハラされるだろう氏姫を見たいという気持ちを抱いてることにも長年の付き合いから見抜いてしまっていて、天秤が再び動いてるといった感じに見える。
……ほんと、幼馴染って大変だよな……。お互いに。
「にひひっ!」
雪路が浮かべるは思わず引きそうになる笑み。完全に変態ですと自己紹介しているような表情だった。涎を幻視してしまいそうなレベルだ。
同好会の仲間として1年の付き合いがあっても、正直あんまり見ていたくないよなぁ……なんて冷静に居られるのは、俺はどう頑張っても雪路の対象外だからなんだけどな。
一応、ターゲットを誰にするかは雪路なりにしっかり考えて気を使っているらしい。例えば泣いちゃうような相手だったり、彼氏持ちには手を出さないようにしているとか。
それなら同好会メンバー最後のひとり。
そういう意味では二葉はしっかり抵抗して、なるべくダメージを減らそうと――他を生贄にするとも言う――するタイプだ。反撃も忘れない。恐らく今日もなにかしら行動に出る気がする。可能なら俺の居ないとこでやって欲しいモノだ。この1年で何度その場面を目撃して気まずい思いをしたことだか……。
俺の居るところで制服のスカートを捲くられたからって、その場でやり返すからな? あの義妹は。
しかも二葉は制服のスカートを校則違反レベルで短くしているためスパッツ着用なのに対して、普通に生パン披露の雪路の図だ。気まずいなんてもんじゃない。
更に問題なのは、雪路のヤツ……反撃されることを覚悟の上らしく――見られても問題ない可愛い下着つけてます! とか堂々と言い放ちやがるからな……。
そんな光景に自分のスカートの裾をしっかり押さえて距離を取る羽山。これは正しい反応だと思うから別にいい。
カオス具合を加速させるのは幼馴染なのが頭痛い。氏姫は逆に雪路に近づいていくからな!?
不機嫌3
羞恥3
期待4
くらいの比率だと読める微妙な表情を意味深に俺に向けながらだ。氏姫ってば二葉に対抗してなのか引っ張られてなのか、こっちは校則の範囲内とはいえスカートをだいぶ短くしてるんだよな……。
それでいて二葉と違い特に重ね履きしていないから――結構、普段から心配だったりする。ひとことで纏めちゃえば独占欲なんだろうな……氏姫に対する。あ。そのときは水色でした、はい。
その後は3人に追われる羽山が可哀想だなとも思いました。その日に限ってタイツを履いてなかったせいである意味レアな光景を見られましたとさ。もちろん速攻で目を逸したぞ? 俺がじっくり堪能するのは氏姫だけだ。
そう言えば……あのときは二葉だけパンツを晒してないな。ちゃっかりしてるわ。
「……水着の上から、胸までですからね」
氏姫のそんな言葉で我に返った。こんなエピソードが1年間という活動期間で大量にあるのがヤバいよな……。てかもう1年はこの同好会に顔を出すことが確実なわけなんだが……。氏姫に対する期待よりも頭痛がしてくる不思議。
「許可が出たから早速失礼しますーっ!」
氏姫の背後に膝をついて、腋の下を通して手を回す雪路。そのまま躊躇なくふたつの膨らみを下から支えるようにして――
「……っ」
触れた瞬間、氏姫が漏らした吐息がやけに耳に残る。
「おぉっ、ボリュームは普通ですけどなんとも言えない絶妙な柔らかさ!」
言葉のとおりに目の前で雪路の指の動きに合わせてむにゅむにゅと形を変える乳房。氏姫は俺の視線を意識して羞恥で頬を染めつつも、されるがままだ。
「……そんな凝視されると恥ずかしいです」
見るなとは言ってこないんだよな……この幼馴染。俺も俺で目を逸らすつもりもなければ膝枕の体勢のまま動くこともしない。
「阪口先輩も片方どうですか? 望むなら右胸を譲ります!」
とんでもないこと言い出しやがったなこの後輩は!
「俺がやったらアウトだろうが」
「……そういうことにしておきましょうか」
明らかに言いたいことがありますって顔をしているけど、無視だ無視。真っ先に拒否するべきの氏姫が無言なのにも触れないからな!
俺の目の前で百合っ娘に胸を揉まれ続ける幼馴染。そんな光景がしばらく続くことになるのだった。
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