世界樹林ができるまで4
世界樹の枝で世界樹を増やす計画もあと少しで形になりそうなのに、あの後は奉納をどれだけしても、もっと日当たりのいい場所に持って行って植えなおしても、その先の成長は止まってしまった。
時間はかかるし、今の地力のサイクルだけで世界樹が回復するビジョンは見えて来たけど、それはあくまでも魔法を使わないでいるからで、多分以前のような生活をすると、また世界樹が枯れ始めるのは目に見えてる。
魔法は地力を消費しても供物にもならないし、消費の方が多すぎるから全然割に合わない……。けど、やっぱり土地のレベルを引き上げたり、光を発生させ続ける魔法で夜の町を明るく照らしたりっていうのは、何かと便利そうで、一言で悪とは言えそうにないと思えるようになってきた。
なにより、地力を使って土地に豊作の実りをもたらしたり、海から大量の海の幸が取れるようになる。そんな地力を使って魔法を使って、巫女でも何でもない人達が身近で便利で親しみやすい奇跡を行使する。
私が元居た世界にそんな便利なものなんてなかったし、今この世界では女神の私がみんなに魔法を使う許可を出したり権限をはく奪できたりする。ってことは、本来魔法は使えてもいいのが本来の姿で、今の魔法の制限をしている方が異常なんだろう。
そのような思考の海に潜っていると、そういえば私にも魔法が使えたと思い出す。
あの夜町を破壊した『タケミカヅチ』と、女神としての証拠のつもりで使おうとした『アマテラス』だけど、これってかなり地力消費するんだよな……。
──あれ?
アマテラスってどんな効果だっけと思って効果を見ると。
『聖なる光で大地を照らして、枯れた土壌や荒れた土地すらも緑が芽吹く豊穣の土地へと作り替える。豊穣の土地に使った場合は作物の品質を引き上げ、植物たちの病を払い、病気に強い植物へと作り変える』って書いてある。
女神様が現れて、奇跡を祈って……、日当たりのいい場所を指示してあって……。
もしかして、世界樹にはこのアマテラスで光を当てるのが条件だったりするのかな……。
でも、試せるものは試してみようか……。この土地で使えば一応アマテラスの魔法の効果は損するものでもないだろうし……。
使うと決めたらきちんと使うにあたっての理想的なシチュエーションを作りたい。
畑にはたくさんの野菜が植えてある状態で、世界樹の枝もこの方法で育つかもしれないなら1本だけじゃなくて、同時に何本も育てれるのかの実験も兼ねてたくさん植えておきたい。
そう思って、3日ほどかけていい感じに畑と差し木の準備を終えて、見晴らしのいい世界樹の丘に一定間隔で世界樹の枝を埋めていく。
この世界樹の土地のあたりは、一応根っこが地下にあるし肥料を撒けば回復する量も増えるかもなんて甘い考えでいろんな肥料を撒いていたけど、それが良かったのか悪かったのか、私が作り替えてた土壌はとんでもないポテンシャルを持ってしまったみたいで……。
私が『アマテラス』を発動させて、世界樹に魔法の光を当てた直後。
世界樹の丘はとんでもない樹海へと生まれ変わった。
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