リーエが目を覚ました。
「サクナ、リーエが帰って来たと聞いて戻ってきました! リーエはどちらに?」
木材集めに出かけていたハグミだけど、リーエが村に来たって話を聞いてからは集めた木材はその場に放置、そんなことしてる場合じゃないからって全速力で帰って来た。
「慌てなくてもいいよ、リーエはそこ。気絶してるみたいだから部屋まで連れていきたいんだけど、私だと誰かを抱えるのは厳しくて……」
「あぁ、それで私を呼び戻したんですね。任せてください」
言うなり、リーエが魔法を発動させる。リーエの魔法は消費が少ないし、電源のonとoffみたいに切り替えの時しか魔力を消費をしないからってことでこの土地で唯一の特例で魔法の使用許可を出すことにした。
ハグミは「さて、よいしょっと」って掛け声で軽々とリーエを肩に担ぐ。
「リーエは客室に通します? それとも世界樹の家の方にお招きしますか?」
「人目が気になりそうな話題もあるし、私の家に連れて行こ」
「わかりました、サクナは自分で戻りますか? 私と行きます?」
ハグミの魔法は『身体強化』で、筋力とかスタミナとか脚力とかがかなり常人離れしたものになる。だからこの質問は『私と一緒に楽して家に帰りますか?』って聞いてるのと同義なんだけど──
「遠慮しよっかな……」
「では、先に戻っておきますね」
──ものすごい速さで飛んで跳ねて、木々の枝を飛び移ってって移動だからめちゃめちゃ怖い。
あぁ……、今も気絶したリーエの身体が、飛び上がりとか着地に合わせてぐわんぐわんなりなってる……。
私も1回運んでもらったことがあるけど、めちゃめちゃ怖いんだよね……、あれ。
私が家に帰るころにはリーエはベッドで寝かされてて、そのまま起きることもなく日が暮れる。
いつ起きてもいいように、簡単な夕食を適当に作って起きてご飯を食べれるようにはしたんだけど、リーエが起きて来たのは結局次の日の朝だった。
起きて来たって言うよりか、ハグミがリーエの顔に水をかけて無理やり起こしたらしいんだけど……、二人なりのスキンシップなんだろうなってことで気にしないことにする。
ずぶぬれにしたし、昨日はそのまま寝てたしってことでリーエはお風呂に案内されて、私とハグミは昨日作っておいた夕食の残りリビングの食卓にならべてリーエをまっていた。
「もう、ハグミがお風呂って言うから楽しみにしてたのに水で身体洗えるだけじゃん……」
ハグミの服を借りたのか、ここに来た時とは違う恰好のリーエが部屋に入って来る。リーエを見るなりメギがしっぽをぶんぶん振りながら突進する。
「リーエ! もう会えないかと思ってた」
「あ、メギさん……」
「メギでいい、それより帰ってきてくれたの?」
「そういう訳でもないんだけど……、みんなの様子の視察に来た感じかな」
「視察?」
「家畜の餌買ってたり、ベリーとかハーブとか買ったのに3か月たっても何も売りに町に来ないからどんな様子なんだってモーケル商会の偉い人達が気にしてるのさ。んで、あたしはみんなと面識もあるからってことでこの土地に来たの」
「え、リーエ……。そんなこと話してもいいんですか?」
「だって、あたしもうあの商会にあんまり思い入れないし。あの夜からあたしはハグミ達と世界樹を元気にしたいって思ってるからさ、むしろ気持ちとしては向こうのことを話に来たんだけど……」
「けど?」
「この土地、なんでこんなことになってるの?」
「あー、それは話すと長くなりますよ……、サクナの思い付きはいろいろひどかったので……」
「なら、夏の月の中期から何があったのか1つずつ振り返っていこうか」
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