苗を育てる。

 1日ほどかかってしまったけど、ひとまず畑を耕し終えることができた。


 ってことで次は種まきっていきたいところだけど、種から芽が出た直後は思ってもなかった霜にやられたりして全滅ってこともたまにあるから、まずは安全に屋内で種から苗を育てることにした。


 夜の間も適度にあったかくて霜はおりそうになかったけど、知らない世界では元の世界の『大丈夫そう』が通じン愛かもしれないし、念には念をってことにする。


 育苗容器に種を入れてパッパッとおしまいってできたら楽なのになーって思うけど、この世界ではそんなものは発明されていなかったから、仕方なく別のもので代用する。


 ビニールポッドみたいな1個ずつ小分けにできそうなものは無かったから、大きな木箱をそれなりの量を買って、木箱の中に土を入れて来た。


 1ヘクタールを一つの区切りとして……、30センチ間隔で植えようかな。

 となると、一区画……3万を超えちゃうのか。多いな……。1メートル間隔で植えても1万。


 まぁ、それくらいならって妥協点をそれくらいにして、1箱辺り100個の種を撒いた育苗箱を10個用意した。


 土に指で穴をあけて、1穴辺り2~3粒の種を入れて、それでようやく1箇所。始めは乗り気だったけど、後半は畑を耕すのよりも苦行に感じる時間だった。


 予定分の育苗箱を用意し終わったときには、達成感とかやりきったぞって気分なんてものは沸いてこない、久々に感じた虚無を感じる作業に気がめいったし、次はもっと楽な方法を考えるか、ましな道具を作らないとダメかもしれない。


 作業にキリをつけるために、最後のひと踏ん張りでじょうろで育苗箱に水をたっぷりかけて、あとは芽がでてある程度育つのを待つだけの状態を作る。これでひとまず、畑仕事はやることがなくなった。


 始めの準備こそ大変だけど、育苗箱の中の土が乾かないようにだけ気を付けておけば、畑仕事の時間をかなり削減できるのもこの育て方のメリットの一つ。


 夏はできることが多いから時間ができたところで休む時間が無いのが残念だけど、幸いこの身体は疲れ知らずだから、休んだり遊んだりはせずに、明日は街に出かけようと思う。


 地中の窒素を増やすための肥料とトウモロコシの実りを良くするためのリンの栄養素が補給できる肥料を作りたいし、肥料づくりを楽にするために家なり畑なりでペットを飼いたい。


 ハグミに何を言われるかわからないけど、許可なしでペットを飼うのはまずいと思うし、戻って来るのを待とうかな。


 夏の月の2日目も終わる。畑はとりあえず耕し終わって、種まきも終えて苗が育つのを待つ段階。普通に作業してたら1週間以上掛かっててもおかしくないだろうし、ペースとしてはかなり上々。自分でもかなりいい出だしに満足の結果になった。

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