メギを訪ねて世界樹へ
「メギー! どっかにはいるんでしょー?」
世界樹にいるであろうメギを訪ねることにしたのはいいけど、メギは居留守を使って姿を現してくれない。
ちなみに居場所はメニュー画面の『住民』の項目で居場所を調べたらマップの世界樹に表示がされてるから違う場所にいるってこともないはず。
ここにいることは間違いないんだけど、あの夜のことで人のことを信じれなくなってるのかな……。他に隠れる部屋がるのかもしれないけど、私はこの世界樹では祭壇くらいしか部屋を知らないから祭壇に来ていた。
「別に姿見せなくてもいいんだけどさ、世界樹の枝とか分けてもらえない? まっすぐで丈夫である程度の長さがあれば根とか蔓とかでもいいからさ」
返事は帰ってこない。でも、聞こえてるって前提で話を続ける。
「できるならあるだけ欲しいんだけど、なければ最悪1本でもいいからさ。顔見たくないならまた明日くるから、入り口かあの藁のベッドの上にでも置いといてよ」
返事は無い。
返事は無いけど、部屋の上の蔓がギシギシと音を立てている。地団駄踏んでるような、なにかに抗議するような意思を感じる……。
「おっけーってことでもいい?」
ギシギシと激しく部屋の上で蔓が軋む。
「文句があるなら、明日祭壇にいてよ。私には面と面むかって言ってももんだいないでしょ? 愚痴があるなら話も聞くし」
軋みが静かになる。
「サクナは……変」
「あ、いるなら姿見せてくれてもいいのに、どこにいるの? そのあたりに部屋があるの? 変って思うのはどうして?」
「詮索しなくていい。サクナはずっと変。なんでニンゲン達の町で過ごすの? なんであんなに失礼な態度とられてなんともないの?」
「あ、世界樹出てったこと怒ってる? だってあの藁のベッド寝心地悪いからってだけで他意はないよ。失礼な態度って子供たちのこと? 子供に礼儀とか求めるのも酷ってもんでしょ」
「……女神なのに」
「だって、私は女神以前に、もともと人間だしね。敬われて距離感あるより、敬われなくても距離感近い方がいいなって思うもんなんだよ」
「変……」
「まぁ、私があの不敬なニンゲン達の代わりに世界樹元気にするからさ、もう少しそこからでも私のすること見ててよ」
「長くは待てない」
「どうして? 世界樹の体力の減少はもう止まってるでしょ。あんまり長いことまたせないからさ」
「待つのは嫌い」
「会えないのが寂しいなら定期的にここに来るし。夜が寂しいならこっちに泊まるからさ」
「別にいい。待ってって言うなら待つ。枝が欲しいなら明日来て。探しておくから」
「ありがとね。何か欲しいものある? 用意できそうなものなら探してみるよ?」
「奉納の野菜のこと? なんでもいい。もう時間も気にしなくていいし」
「違う違う。メギが食べたいものない? お腹はすかなくてもさ、何か食べる楽しみとか見つけないとずっとここにいるのは暇でしょ?」
「…………フルーツならなんでもいい。甘いの食べたい」
「りょーかい。ハグミに聞いてみるよ」
「あ、なら枝と物々交換にする。フルーツくれたら世界樹の枝をあげてもいい」
「それでもいいけど。夏の月に間に合うかな……」
「もうフルーツ食べる気分になったから、前言撤回は許さない。あの廃墟の町を更地にする」
「もう誰もいないようなもんだから対して困らないと思うけど……、まぁ何とか準備してみるよ」
余計な気遣いをしなければよかったって思わなかったと言えば嘘になる。でもメギが私への関心すらないなら。無視してもよかったし、いらないの一言で良かったはず。
せっかく反応を返してくれたんだ。欲しかったものを手に入れる障壁にはなってしまったけど、これはメギへのご機嫌取りも兼ねているってことにして、いったんは木の枝を諦めてハグミが帰って来るのを待つことにする。
もし、商会でフルーツが用意できるならそれでもいいし。私が任されてない畑の中にフルーツを育ててるってこともあるかもしれない。
ハグミは今住民の受け入れ先を確保してるって言ってたし、帰って来るならちびっ子たちや村の人達がいなくなっちゃうかもしれないけど、結果的にハグミと二人になったとしても、それはそれで受け入れる。
もしハグミもこの町を離れるっていうなら……、ちょっと悲しいけどそれもそれで受け入れないといけない。
でも……、もしそうなったら私は自分で奉納ができないし……。最悪を想定して私に何ができるか考えておかないとだ。
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