祭りのその後。

 何もせずに世界樹の祭壇に引きこもっていろいろと考えた。


 まずは今後のこと。メギが口をきいてくれなくなる前、もうこの世界のことは忘れて元の世界に帰ってもいいって言ってくれた。けど今の私の中でそれは無いかなって考えてる。


 理由は単純。まだこの世界に来て何も役目を果たせてない事と、あの夜のメギのことを思うと放っておけないって思ったのが大きい。


 なら、当初の目的みたいに世界樹を元気にしようかって思ったけど、町から住民がほとんどいなくなったのもあるし、そもそも女神として許されないような町の破壊をしてしまったから、町の人からの信仰も無くなってしまったと思う。


 となると一人で奉納用の野菜を育てようかって考えたんだけど、女神は自分で奉納できないって説明を受けて、今の状況だと私は何もできないってことに気が付いた。


 幸い、女神の身体はお腹がすかないらしい。眠気も来ないし、疲れも来ない。だから飲まず食わずで過ごしても一応はずっと生きていけるんだけど、3日くらい引きこもったあたりで時間がもったいないし、何より暇だから何かしたいと身体が求める。


 だから、迷惑をかけてしまった町を片付けに行こうかと考えた。けど、また私があそこに行けばまた大騒ぎになると思ったから無理だと思った。


 次にリーエの畑の手伝いが思いついたけど、ハグミとリーエが私の前に姿を現さなくなったのが合いたくないってことかと思うと怖くて足がすくむから無理。


 そして最後に思い出したのが、メニュー項目のいくつかをまだ見てないってこと。


 これだとこの祭壇の部屋でもできるし、この世界のことの理解も広がるし、今の落ち込み気味の気分でも無理なくできるだろうと思い、メニュー画面を開いた。


ーーーーー

『世界樹㊳』

『魔法』

「地図』

『施設』

『人物』

ーーーーー


 …………????


 いつの間にか莫大な奉納の通知が来ていて驚いた。祭壇はこの部屋で、私はずっとここにいたから誰も奉納してないはずなのに、いったいどうやって?


 もしかして、この祭壇からじゃなくても奉納ができるってこと?


 何か詳しいことを知ってる人になんでこんなことになっているのかを聞きたい。そうこう考えていると、通知が㊵㊸とどんどん増えていく。


 訳が分からない。いったい誰が祭りをあんなにめちゃめちゃにした私なんかを信仰してくれているんだろう。


 だれか……、何か知ってそうな人……。


 考えて頭に思い浮かぶのはやっぱり1人。実際に私の前の前で奉納をしてくれたハグミだった。開きっぱなしのメニュー画面の項目を見て、昔のゲームとメニュー画面の内容を頭の中で精査する。


 『地図』言葉の通りの地図が開かれるんだろう。

 『施設』は街にあるお店の概要を紹介してくれたり、取り扱ってる商品カタログをみれたような。


 うん、やっぱりこのメニュー画面は私が触ったことがあるゲームをモチーフに再現されているようだ。ってなると『人物』って項目は多分村人リスト。タップして項目を押すと次の操作画面が現れる。


ーーーーー

『村の住民』

『住民の追跡』

ーーーーー

 思った通り! ゲームしてるときはプレイヤーが住民の居場所を逐一把握できるシステムは気持ち悪いって思ったけど、いざ使う立場になればとてもありがたい。


 早速リストを開いてハグミの名前を操作画面から探して見つける。


 どこに隠れても、私からはプライバシーを守ってもらえないってことだし、少し同情する。まぁ、使ってることを隠せば本人にもばれないと思うし、伝えて本人が嫌がればこの追跡機能の多用は自重すればいいかってことにした。


 追跡を開くと地図が移った操作画面が広がって、地図上の矢印と、視界に映る表示で大体の場所が把握できた。


 えっと、場所は……、世界樹のそば?

 近くまで来てるなら顔見せてくれたら少しは安心できるのに。


 そとで何をしてるのかも気になるし、ちょっとの祭壇の外に出てみよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る