第5話 別れ
「暫らく会えないでゴワスな・・・」
隆盛が寂しそうに呟いた。
「す、すぐ・・帰ってくるから・・・」
利通は泣きそうな表情で言葉を返した。
「ち、ちょっと・・・
欧州や米国を訪問するだけだから・・・」
隣で岩倉具視も頷いている。
その自信あふれる表情に、隆盛は安堵のタメ息を漏らした。
利通が帰ってくるまでに。
日本国を守る責任に、押しつぶされるような想いを抱いていたのだから。
だが。
利通の肩越しから。
飛んでくるイタズラな視線に。
一瞬で、不安が広がっていた。
「ふふふ・・・」
小悪魔的な笑みを浮かべている。
伊藤博文。
今回の岩倉使節団に同行する。
何か月、いや、何年もの間。
利通と。
寝食を共にするのだ。
隆盛の大きな目が。
薄っすらと、潤んでいくのを。
利通は。
切ない気持ちで見つめていた。
その後ろから。
博文が笑みを浮かべているのにも気づかないで。
岩倉使節団が船の中に消えていく。
それが。
隆盛と利通の。
運命を変える。
旅路になるとは。
この時。
二人には想像もつかなかったのである。
※※※※※※※※※※※※※※※
オイッ・・・!
(作者の心の叫び)
何か。
まとめようと、していないかぁ・・・?
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