第4話 あれぇ~・・・?
「だ~れだぁ・・・?」
低いダミ声が耳元で囁いた。
利通はくすぐったく感じながら、両目を隠す手の温もりを心地良く感じていた。
それでも、その手はいつもより幾分、冷たいと思ったが。
後ろから抱きつくようにした相手の両手首を掴むと無理に引きはがした。
「ちょっと、たかもりぃ・・・」
その名を声に出した瞬間、目の前で微笑む顔に愕然とした。
「い、いとう・・・?」
「ひろぶみっ・・・て、呼んでください」
戸惑う利通の声にかぶせるように、熱い息が返された。
さっきのだみ声とは、まるで違う。
高く、透き通った響きだった。
騙された。
そう、思った時は遅かった。
すぐ、間近に。
潤んだ瞳が揺れている。
利通の胸の鼓動は早鐘の如く脈打って。
唇がワナワナと震えていた。
「ぷっ・・・」
博文は思わず吹き出してしまった。
余りにも。
目の前の男が可愛くて。
それで。
小悪魔の表情で、見上げるような視線を利通に投げるのだった。
「あれぇ~・・・?」
まとわりつくような熱い息が首筋をくすぐる。
「たかもりってぇ・・・?」
「い、いや・・・」
シドロモドロな呟きと。
定まらない目の動きに。
博文は勝利を確信した。
「せ、ん、ぱ、い・・・」
利通の耳元で囁く。
背伸びした踵が浮いているのを目の端で男は気づいた。
同時に利通の右腕にぶら下がるようにする体重にも。
「いつも、こんな風にぃ・・・?」
「ち、ちが・・う・・・」
その時。
利通の髭に隠れた唇が。
言葉の途中で、ふさがれたのでした。
※※※※※※※※※※※※※※※
ガ、ガゥッー・・・!
(作者の心の叫び)
続く。
・・・の、かぁ?
本当にぃ・・・?(笑)
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