第三章 ユエと結え 十四話

 小春のいる隅田川沿いの要塞から、西に15キロほど隔てた、あるマンションの一室で、パソコンと向かい合っていた男が、叫ぶ。


「隊長! 荒川あらかわ汐入しおいりが、東の元暴力団の連中の襲撃を受けているとのこと!」


 その男の跡を継ぐように、真也は進言する。

「いい機会です。あそこは立地が優秀だし人数も多いから、あいつらも手古摺てこずるはず」

「良し! すぐに車を出せ!」


 真也は、銃を腰に引っ提げて、部屋を飛び出した。後ろで、何人もが続いて出てくる気配がする。

荒川あらかわ汐入しおいりには、彼女がいるって噂だけど……でも、最近は話を聞かなくなってたからな……)

 真也は首を振って雑念を振り払い、廊下を駆けた。

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