第一章 フラッシュモブ 十一話

 三時間近くかかって、小春は帰路に着いた。


 幾度も、銃声と悲鳴を聞いた。その度に一瞬躊躇ためらって、小春は駆けた。


 絶えず神経を張り詰めさせなければならなかったのは、言う間でもない。通りすがる人々のことごとく、銃を懐に忍ばせてるような気がしてならず、小春はしっかりと鞄を抱えて、いつでも銃を取り出せるようにしていた。


 今朝はその存在だけで気が狂わんばかりになっていたのに、今では鞄がなければ、恐怖と不安で一歩として歩けなかっただろう。そう思うと、可笑しくて可笑しくて、小春は場違いに笑い出したくなるのだった。


 そうして小春が上向いた空を、幾筋もの流星が燃え落ちていった。

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