第十八話 ヤンデレの気配
「では、作戦会議を始めるわ。」
自己紹介も終わり僕達は渚主導のもと作戦会議を進めていた。
「まず今回、貴方達が攻略する迷宮は『挑戦の迷宮』よ。この中で一度でも挑んだことのある人はいるかしら?」
すると1人…翡翠が手を挙げる。
「私が1度だけ。もっとも20階層が限界でしたが…」
「OK。では今回の迷宮攻略にあたるリーダーは貴方に任せるわ。異論はないわね?」
そう言って周囲を見渡すが1人なにか言いたそうな奴を見かけた渚が質問を投げかける。
「白馬くん、何か異論があるのかしら?」
渚がキリっとした目つきで白馬を睨みつける。すると流れるように手を上げた白馬が1言。
「僕リーダーやりたいです。」
「却下―以上。」
バッサリ切り捨てられていた。それからの渚の有無を言わせない雰囲気でリーダーは無事真咲に決まった。
「さて…作戦と言っても危惧すべきことは2つしかないわ。一つは迷宮の階層の深さよ。」
「私が潜ったときの限界20階層…少なくともそれ以上はあるとなるとかなりの長期戦になりますね。」
「あぁ…それに他の国々で攻略された≪S≫ランク迷宮はどれも50階層以上あったそうだ。」
「…となると今回も50階層以上はほぼ確定と見ていいでしょうね。」
豪傑の発言に頷く渚。そこに真咲が気になるとばかりに質問をする。
「それで、2つ目は何なんですか?」
「2つ目はスタンピードよ。」
大氾濫…通称スタンピード。迷宮を攻略しないでいると迷宮内から強化されたモンスターの大群が溢れ出しできてしまう状態のことを言う。
そんなスタンピードだが滅多なことでは起こらなく、過去にスタンピードが起こったのは3回だけ。だがその威力は凄まじく一度起こっただけでも一つの国が滅ぶほどの災害だと言われている。
現にこれまでに起こったスタンピードの影響で2つの国が滅んでしまっている。
「正直言って『挑戦の迷宮』は氾濫を起こす寸前よ。日本にあるたった一つのSランク迷宮…その難易度は凄まじいわ。だからこそこれまで攻略しようという人がほとんどいなかったのね。」
「そのせいで氾濫…つまりスタンピードが起こる可能性があると…」
おいおい…会議の内容がどんどん深刻なものになってるけど…白馬、場を和ませろよ。そういう時はお前の役目だろ!?
そう思いながら白馬の方をちらりと見るが…
だめだあいつ…手を挙げたまま硬直してやがる…
・・・・
皆さんどうも、セーリアです。
現在、私はなっちゃんに頼まれた仕事をこなしている途中なのですが、これがどうも時間がかかりそうで…気晴らしにと今日のことを思い返していました。
どれを思い返しても楽しい思い出が蘇ります。景色を見て顔をほころばせるななしの。自分の記事を見て恥ずかしそうに顔をふせるななしの。ご飯が来るのを楽しみにしているななしの。ご飯が食べられなくて落ち込むななしの。全部が愛くるしい!
―でもなっちゃん…ちょっとななしのと距離が近いですよね?どうして?なんで?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで…
いやいや女の子と仲良くするなってことではないんですよ?ただ適切な距離を保ってほしいということであって……これってどうしたらいいんですかね…
「皆さんはどう思います?」
セーリアの足元には縛られて動けなくなっている暗殺者たちがいた。
「な、何なんだ!お前は!?この!イカレおん―」
『ブシュ』そんな生々しい音が響き渡る。
「あーあーやっちゃった…紅葉ちゃんにまた怒られちゃう…まあしょうがない。切り替えよっと。さっさと終わらせてななしのと会いたいな〜」
そう言ったセーリアの顔はいつにもまして真っ赤に染まっていた。
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